連関図法とは?作り方の5ステップと図の読み方、特性要因図との違いを徹底解説

「原因はいくつも思いつくけれど、どれが本当の根っこなのか分からない」「対策を打っても、別の場所からまた同じ問題が出てくる」——こうした"もぐらたたき"状態に悩んだことはありませんか?
問題の原因が一つだけならシンプルですが、現実のビジネスでは複数の原因が互いに影響し合い、絡み合っているケースがほとんどです。このような複雑な因果関係を「見える化」し、真の根本原因を突き止めるのに役立つのが連関図法です。
この記事では、連関図法の基本的な考え方から具体的な作り方、図の読み方、特性要因図との違い、さらには無料のオンラインツールを使った作成方法まで、初めての方にも分かりやすく解説します。
この記事の内容(目次)
連関図法とは?
連関図法(れんかんずほう)とは、ある問題(テーマ)に対して、関連する要因を洗い出し、要因同士の因果関係を矢印で結んで図にする手法です。新QC7つ道具の一つに数えられ、品質管理の現場だけでなく、プロジェクトマネジメントや経営課題の分析など幅広い場面で活用されています。
英語では「Interrelationship Diagram(インターリレーションシップ・ダイアグラム)」や「Relations Diagram」と呼ばれます。
連関図法の最大の特徴——「要因同士」をつなげる
多くの分析手法では「問題 ← 原因」という一方向の関係を整理しますが、連関図法は要因同士の因果関係も矢印で表現できる点が最大の特徴です。
例えば、「納期遅延」という問題に対して「人手不足」と「ノウハウの属人化」という2つの要因があったとします。連関図法では、「人手不足 → 一人あたりの負荷増大 → ミスの増加 → 手戻り → 納期遅延」のように要因を数珠つなぎにできるだけでなく、「ノウハウの属人化 → 人手不足(代わりがいない)」のように要因から要因への矢印も引けるのです。
このネットワーク型の構造によって、問題の背後にある複雑な因果の連鎖を明らかにし、「本当に手を打つべき根本原因はどれか」を論理的に特定できます。
連関図法が扱う「言語データ」
連関図法は新QC7つ道具の一つです。従来のQC7つ道具が数値データを扱うのに対し、新QC7つ道具は「言語データ」——つまり会議の意見、現場の報告、顧客の声など、数字では表しにくい情報を整理するためのツール群です。連関図法はその中でも、因果関係の構造分析に特化した手法という位置づけです。

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連関図法と特性要因図の違い
連関図法と混同されやすいのが特性要因図(フィッシュボーン図)です。どちらも「問題の原因を整理する」ための手法ですが、構造と得意分野に大きな違いがあります。
比較項目 | 連関図法 | 特性要因図(フィッシュボーン図) |
|---|---|---|
構造 | ネットワーク型(自由配置+矢印) | ツリー型(魚の骨状に枝分かれ) |
要因同士の関係 | 表現できる(要因→要因の矢印) | 表現できない(すべて「結果」に向かう) |
向いている問題 | 要因が複雑に絡み合っている問題 | 要因のカテゴリが明確な問題 |
分析の深さ | 根本原因の特定に強い | 要因の網羅的な洗い出しに強い |
作成の手軽さ | やや時間がかかる | 比較的短時間で作れる |
チーム人数 | 3〜6人が最適 | 5〜10人でも可能 |
使い分けの目安:
原因のカテゴリ(4Mなど)が明確で、モレなく洗い出したい → 特性要因図
原因同士が影響し合い、根本原因を突き止めたい → 連関図法
実際には、まず特性要因図で要因を幅広く洗い出し、次に連関図法で要因間の因果関係を深掘りする——という組み合わせ活用も非常に効果的です。

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連関図法の作り方——5つのステップ
連関図法は、以下の5ステップで作成します。チームで取り組むのが基本ですが、個人での分析にも使えます。
STEP 1:テーマ(問題)を設定する
分析の中心となるテーマ(解決したい問題)を設定します。連関図の中心に配置される最も重要な要素です。
テーマは「〇〇が△△である」のように具体的な現象として記述するのがポイントです。
曖昧なテーマ | 具体的なテーマ(推奨) |
|---|---|
品質が悪い | 製品Aの出荷検査不良率が前期比で1.5倍に増加している |
売上が落ちている | ECサイトの新規顧客のリピート率が過去6か月で20%低下した |
プロジェクトが遅れる | 開発プロジェクトの70%以上で当初の納期を2週間以上超過している |
STEP 2:一次要因を洗い出す
テーマに直接影響していると考えられる一次要因をブレインストーミングで洗い出します。この段階では量を重視し、「本当にそうか?」と疑うのは後回しにしましょう。
一次要因を漏れなく出すためのフレームワークとして、製造業なら「4M(Man・Machine・Material・Method)」、サービス業やオフィス業務なら「人・プロセス・ツール・環境」といった切り口が役立ちます。
STEP 3:二次・三次要因を掘り下げる
洗い出した一次要因それぞれに対して、「なぜそうなるのか?」を繰り返し問いかけ、二次要因、三次要因を深掘りしていきます。トヨタ生産方式で有名な「なぜなぜ分析(5回のなぜ)」の考え方と同じです。
例:
テーマ:「出荷検査不良率が増加している」
一次要因:「検査工程でのミスが増えた」
二次要因:「検査員の経験が浅い」「検査マニュアルが古い」
三次要因:「ベテラン検査員が退職した」「マニュアル改訂の責任者が不在」
STEP 4:要因間の因果関係を矢印で結ぶ
ここが連関図法の核心です。すべての要因を見渡し、**「AだからBが起きる」**という因果関係がある組み合わせを探して矢印で結びます。
矢印を引くときのルール:
矢印は「原因 → 結果」の方向に引く
テーマへの矢印だけでなく、要因同士の矢印も積極的に引く
一つの要因から複数の矢印が出てもよい
「本当にAがBの原因か?」をチームで確認しながら進める
このステップで、単なるリストだった要因が因果のネットワークとして立体的に見えてきます。
STEP 5:主要原因を特定する
すべての矢印を引き終えたら、各要因の矢印の本数を数えます。ここから、問題解決の鍵となる要因を特定します。
矢印の特徴 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
出ていく矢印が多い要因 | 多くの問題の根っこにある「主要原因」 | 対策の最優先ターゲット |
入ってくる矢印が多い要因 | 多くの原因の影響を受ける「主要結果」 | 問題の症状として現れやすい部分 |
出ていく矢印(出矢印)が入ってくる矢印(入矢印)より多い要因を優先的に対策すれば、1つの対策で複数の問題を同時に改善できる可能性が高くなります。これが連関図法の最大の分析メリットです。
連関図の「読み方」——完成した図から何がわかるか
連関図は作って終わりではなく、完成した図を正しく読み解くことが重要です。多くの記事では作り方だけが解説されていますが、ここでは読み方のポイントも押さえておきましょう。
読み方1:矢印の集中を見る
特定の要因に矢印が集中している場合、それが問題のハブ(結節点)です。出矢印が集中している要因は「根本原因」の候補、入矢印が集中している要因は「目に見える症状」の候補です。
読み方2:因果のループを見つける
「A → B → C → A」のように矢印が循環しているパターンがあれば、それは悪循環(負のループ)です。例えば、「人手不足 → 残業増加 → 離職率上昇 → 人手不足」のようなループが見つかったら、ループのどこか1箇所を断ち切る対策が有効です。
読み方3:孤立した要因に注目する
矢印がほとんど接続されていない要因は、「実は関係が薄い」か、「まだ分析が不十分で他の要因との関係が見えていない」のどちらかです。孤立要因が出てきたら、本当に関係がないか、もう一度チームで確認しましょう。
読み方4:主要原因への対策を考える
出矢印の多い主要原因が特定できたら、「この要因を解消する具体的な施策は何か?」を検討します。ここから先は、系統図法で対策案を体系的に展開したり、PDPCで実行計画を立てるなど、次のツールへつなげるとスムーズです。
【具体例】連関図法でサービス改善を分析する
製造業の例が多い連関図法ですが、ここではサービス業の事例を紹介します。
テーマ:「飲食チェーンの顧客満足度が低下している」
あるチェーンの品質改善チーム(5名)が、顧客アンケートで「満足」と回答する割合が前年比で15%低下した原因を連関図法で分析しました。
洗い出した要因:
料理の提供時間が長い
メニューのバリエーションが減った
接客態度にばらつきがある
店内の清掃が行き届いていない
スタッフの離職率が高い
新人教育が不十分
シフトが慢性的に人手不足
食材コスト削減の圧力が強い
矢印で結んだ因果関係(一部):
スタッフの離職率が高い → シフトが人手不足 → 料理の提供時間が長い
スタッフの離職率が高い → 新人比率が上がる → 接客態度にばらつき
新人教育が不十分 → 接客態度にばらつき
新人教育が不十分 → 清掃が行き届かない
食材コスト削減 → メニューのバリエーション減少
シフトが人手不足 → 清掃が行き届かない
矢印分析の結果:
要因 | 出矢印 | 入矢印 | 判定 |
|---|---|---|---|
スタッフの離職率が高い | 3 | 0 | 主要原因 |
新人教育が不十分 | 2 | 1 | 主要原因 |
シフトが人手不足 | 2 | 1 | 中間要因 |
接客態度にばらつき | 0 | 2 | 主要結果 |
この分析から、「離職率の改善」と「新人教育の体制強化」が最も効果的な対策ポイントであることが分かりました。表面的な症状(提供時間、清掃など)に個別対処するよりも、根本原因に手を打つことで複数の問題が同時に改善されると期待できます。
連関図法を成功させるコツ
コツ1:事実ベースで要因を書く
「たぶんこうだろう」という推測ではなく、データや現場の事実に基づいた要因を記述しましょう。可能であれば、数値データ、写真、報告書などの裏付けを添えると、チーム内の納得感が高まります。
コツ2:矢印は「本当にそうか?」と確認しながら引く
思い込みで矢印を引いてしまうと、分析結果が歪みます。「AだからBが起きるのか?」「逆にBだからAではないか?」と、チームで一つひとつ確認しながら進めるのが重要です。
コツ3:要因は15〜25個が目安
要因が少なすぎると分析が浅くなり、多すぎると図が複雑になりすぎて読み取れなくなります。15〜25個程度を目安に、テーマの範囲を調整しましょう。
コツ4:一度で完成させようとしない
最初から完璧な図を目指す必要はありません。まず粗い図を作り、チームで見直しながら要因を追加・削除し、矢印を修正する——この反復的なプロセスが、質の高い連関図を生み出します。
コツ5:完成後は必ず「アクション」を決める
図の分析で終わらず、主要原因に対する具体的な対策案と担当者・期限を決めましょう。連関図法はあくまで分析ツールであり、実際に問題を解決するのは「その後のアクション」です。
連関図法のメリットとデメリット
メリット
メリット | 説明 |
|---|---|
根本原因を特定できる | 矢印の入出力を数えることで、対策すべき真の原因を論理的に絞り込める |
複雑な因果関係を可視化できる | 要因同士の影響を含むネットワーク構造により、問題の全体像が一目でわかる |
悪循環を発見できる | 因果のループパターンを見つけることで、構造的な問題に気づける |
対策の優先順位がつけやすい | 出矢印の多い要因から対策すれば、1つの対策で複数の問題に効果が波及する |
チームの合意形成に役立つ | 全員で図を作ることで、問題に対する認識が統一され、対策への納得感が生まれる |
デメリット
デメリット | 対策 |
|---|---|
作成に時間がかかる | 要因数を15〜25個に絞り、1回の会議は90分以内を目安にする |
矢印の方向に迷うことがある | 「AだからB」と声に出して確認する習慣をつける |
要因が多いと図が見にくくなる | グループ分けや色分けで視認性を高める。オンラインツールの活用も有効 |
定量的な裏付けが弱い | 矢印分析の結果を、データ(パレート図や散布図など)で補強する |
オンラインで連関図を作成するなら「xGrapher」
連関図法をホワイトボードや付箋で作成すると、要因が増えるにつれて矢印が錯綜し、修正にも手間がかかります。オンラインツールを使えば、こうした課題を大幅に軽減できます。
xGrapherは、無料・登録不要で連関図を作成できるオンラインツールです。

xGrapherの連関図ツールならではの機能
主要原因・主要結果を自動分析 — 各要因の出矢印・入矢印の本数を自動カウントし、主要原因と主要結果を色分けで可視化。手動で数える手間が不要
直感的な操作 — ノードの追加・接続・移動がドラッグ&ドロップで完結
自動レイアウト — ボタン一つでテーマを中心に要因を放射状に配置
矢印のカスタマイズ — 色、太さ、線の種類(直線・曲線)、ラベルを自由に設定可能
元に戻す・やり直し — 操作履歴を保持しているので、試行錯誤しながら作成できる
画像ダウンロード — PNG・JPEG・SVG形式で書き出し。報告書やプレゼン資料にそのまま使える
基本的な使い方
xGrapherの連関図作成ページにアクセス
画面右下の「+」ボタンからテーマ(問題)ノードを追加
同じく「+」ボタンから要因ノードを追加していく
ノードにカーソルを合わせ、青い接続ポイントをドラッグして別のノードにドロップ → 矢印が追加される
設定パネルで「矢印カウント表示」をオンにすると、各要因の出入矢印数が表示される
完成したら画像としてダウンロード
特に矢印カウントの自動表示は、手書きやExcelでは実現しにくい機能です。要因を追加・削除するたびにリアルタイムで分析結果が更新されるため、チーム会議中にその場で「どの要因が主要原因か」を確認しながら議論を進められます。
よくある質問
Q1. 連関図法はどんな問題に向いていますか?
原因が一つではなく、複数の要因が互いに影響し合っている複雑な問題に向いています。例えば、「慢性的な品質不良」「離職率の高さ」「プロジェクトの遅延」など、単純な原因特定では解決しない課題に特に有効です。逆に、原因が明らかで対策もシンプルな問題には、連関図法ほどの手間は不要です。
Q2. 連関図法と親和図法はどう使い分けますか?
親和図法は「バラバラの情報をグループ化して整理する」ための手法で、連関図法は「要因間の因果関係を分析する」ための手法です。問題の全体像がまだ見えていない段階では親和図法で情報を整理し、要因がある程度出揃ったら連関図法で因果関係を分析する——という順序で使うと効果的です。
Q3. 連関図の要因は何個くらいが適切ですか?
15〜25個が目安です。10個未満だと分析が浅くなりがちで、30個を超えると矢印が複雑になりすぎて図が読みにくくなります。テーマの範囲を具体的に設定することで、要因数を適切にコントロールできます。
Q4. 矢印の方向が決められない場合はどうすればよいですか?
「AだからBが起きる」と声に出して確認するのが最もシンプルな方法です。それでも判断がつかない場合は、一旦矢印を引かずに保留し、他の要因との関係を整理する中で改めて判断しましょう。チーム内で意見が分かれたら、多数決ではなくデータや事実に基づいて議論することが大切です。
Q5. 連関図法の後は何をすればよいですか?
主要原因が特定できたら、次のアクションにつなげます。具体的な対策案を体系的に展開するなら系統図法、実行計画のリスク対応を考えるならPDPC法が適しています。また、特定した主要原因が本当に問題を引き起こしているか、散布図やパレート図などの定量的なツールで裏付けを取ることも重要です。
まとめ
連関図法は、複雑に絡み合った要因の因果関係を矢印で「見える化」し、根本原因を特定するための強力な分析手法です。
この記事のポイントを振り返ります。
連関図法は新QC7つ道具の一つで、要因同士の因果関係をネットワーク型で表現できる
特性要因図が「モレなく洗い出す」のに強いのに対し、連関図法は「根本原因を特定する」のに強い
テーマ設定 → 一次要因の洗い出し → 深掘り → 矢印で接続 → 主要原因特定、の5ステップで作成する
完成した図は出矢印の多い要因=主要原因として優先的に対策する
xGrapherなら矢印カウントの自動分析機能付きで、無料・登録不要でブラウザ上から作成できる
まずは身近な業務課題をテーマに設定し、チームで一度作ってみてください。「ずっとモヤモヤしていた問題の正体」が、きっと見えてくるはずです。

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