親和図法(KJ法)とは?作り方の6ステップから活用事例、無料ツールまで徹底解説

「アイデアがたくさん出たのに、結局どうまとめればいいか分からない」「問題の原因が複雑すぎて、何から手をつければいいのか見えてこない」——そんな経験はありませんか?
ブレインストーミングや会議で出た大量の意見や情報を、論理的に整理して次のアクションへつなげるのは、簡単なことではありません。 そこで力を発揮するのが、親和図法(KJ法)です。
この記事では、親和図法の基本的な考え方から具体的な作り方、ビジネスでの活用シーン、さらには無料のオンラインツールを使った効率的な作成方法まで、初めての方にも分かりやすく丁寧に解説します。 情報整理と問題解決のスキルを一段レベルアップさせたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容(目次)
親和図法(KJ法)とは?
親和図法とは、バラバラの情報やアイデアを「似ているもの同士(=親和性のあるもの)」でグループ分けし、問題の全体像や構造を明らかにする手法です。 新QC7つ道具の一つに数えられ、品質管理の現場はもちろん、企画立案やUXリサーチ、チームの振り返りなど、幅広い場面で活用されています。
英語では「Affinity Diagram(アフィニティダイアグラム)」と呼ばれます。
「KJ法」の由来——川喜田二郎氏の発想法
親和図法は、文化人類学者の川喜田二郎氏(東京工業大学名誉教授)が1960年代に考案した発想法がベースになっています。 フィールドワークで集めた大量の観察データを整理するために生み出された手法で、考案者のイニシャルから「KJ法」と名付けられました。
もともとは学術研究のために開発されたものですが、その汎用性の高さから、やがて品質管理や経営企画、教育の現場にも広がり、現在では世界中のビジネスパーソンやデザイナーに利用されています。
親和図法が扱う「言語データ」とは
従来のQC7つ道具が数値データ(不良品数、寸法のばらつきなど)を扱うのに対し、親和図法をはじめとする新QC7つ道具は言語データを扱います。 言語データとは、「顧客の声」「会議での意見」「現場で気づいたこと」など、数字では表しにくい定性的な情報のことです。
こうした言語データはそのままでは分析しにくいですが、親和図法を使ってグループ化・構造化することで、隠れたパターンや本質的な課題が見えてくるようになります。

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親和図法はどんな場面で使える?活用シーン5選
親和図法は「情報が多すぎて整理できない」場面であれば、業種や職種を問わず活用できます。 ここでは代表的な5つのシーンをご紹介します。
1. ブレインストーミング後のアイデア整理
ブレインストーミングでは「量を出すこと」が優先されるため、終わった後には大量のアイデアが散らばった状態になります。 親和図法を使えば、類似するアイデアをまとめて全体像を把握し、次に検討すべきテーマを絞り込むことができます。
2. 顧客の声(VOC)の分析
アンケートの自由記述欄やカスタマーサポートへの問い合わせ内容など、顧客の生の声を分類・整理するのに最適です。 個別のコメントだけでは見えなかった共通の不満やニーズが、グループ化することで浮かび上がってきます。
3. 品質管理の現場での問題整理
製造現場で「なぜ不良品が増えているのか」を検討する際、作業者やライン担当者から挙がった意見やヒヤリハット情報を親和図法でまとめることで、原因の全体像が見え、優先的に対処すべき課題が明確になります。
4. 新規事業・新商品の企画立案
「次にどんなサービスを作るべきか」といった、正解のない問いに取り組む際にも有効です。 市場調査やユーザーインタビューから得た情報を親和図で整理すれば、潜在的なニーズや事業機会を構造的に把握できます。
5. UXリサーチ・デザインシンキング
ユーザーテストやフィールドリサーチで得られた観察メモやインタビューデータをグループ化し、ユーザーの行動パターンやペインポイントを発見する——この作業は、まさに親和図法そのものです。 デザインシンキングのプロセスでも、情報を統合(Synthesis)するフェーズで親和図法が多用されています。
親和図法の作り方——6つのステップ
親和図法は、決まった手順に沿って進めれば誰でも作成できます。 ここでは基本的な6ステップを、具体例を交えながら解説します。
STEP 1:テーマ(問い)を設定する
「何のために情報を集めるのか」ゴールを明確にするフェーズです。
まず、親和図で取り組むテーマを明確にします。 テーマが曖昧だと、集まるデータもぼんやりとしたものになってしまうため、具体的な問いの形にするのがポイントです。
曖昧なテーマ | 具体的なテーマ(推奨) |
|---|---|
職場の問題 | 「チーム内のコミュニケーションを改善するには?」 |
顧客満足度 | 「20代女性ユーザーの離脱率が高い原因は何か?」 |
新商品 | 「30代共働き世帯向けの時短家電に求められる機能は?」 |
STEP 2:データ(カード)を集める
事実や意見を、1枚のカードに1つずつ言語化するフェーズです。
テーマに関連する情報を、1枚のカード(付箋)に1つの事実・意見で書き出していきます。 ブレインストーミングで出し合う方法と、個人で書き出す方法のどちらでも構いません。
カード作成のコツ:
1カード1情報を徹底する(複数の内容を混ぜない)
「〇〇が△△だ」のように主語と述語を明確にする
抽象的な表現は避け、具体的な事実や意見を書く
枚数の目安は20〜50枚程度(多すぎると整理に時間がかかり、少なすぎるとグループ化が難しい)
発想を広げるという意味ではマインドマップも有効です。

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STEP 3:カードをグループ分けする
先入観を捨てて、カード同士の自然な結びつきを見つけるフェーズです。
書き出したカードを全て広げ、内容が似ているもの同士を集めてグループにします。 このとき重要なのは、あらかじめカテゴリを決めてから分類するのではなく、カードの内容を読みながら「なんとなく近い」と感じるもの同士を自然にまとめていくことです。
これが親和図法の核心であり、「ボトムアップ」のアプローチと呼ばれる理由です。 トップダウンでカテゴリに当てはめるのではなく、データから自然にカテゴリが浮かび上がってくるのを待ちます。
グループ分けの注意点:
1つのグループに入るカードは2〜5枚が目安
無理にどこかに入れず、どのグループにも属さないカードは単独で残す
最初から完璧を目指さず、何度でも並べ替える
STEP 4:グループに「表札」をつける
グループの本質を捉え、誰が読んでも分かる「見出し」をつけるフェーズです。
各グループの内容を端的に表すタイトル(表札)をつけます。 表札は「〇〇に関する意見」のような単なるカテゴリ名ではなく、グループに含まれるカードの本質を凝縮した一文にするのが理想です。
よくない表札 | 良い表札 |
|---|---|
コミュニケーション系 | 部署間の情報共有が属人化している |
顧客対応の問題 | 問い合わせ対応のマニュアルが現状に追いついていない |
良い表札をつけることで、グループの意味がひと目で伝わり、後の分析や報告が格段にスムーズになります。
STEP 5:グループ間の関係を整理する
個別の問題から一歩引き、全体の構造や因果関係を俯瞰するフェーズです。
表札がついたグループを俯瞰し、グループ同士の関係性を考えます。 関連の強いグループは近くに配置し、因果関係や対立関係があれば矢印や線で結びます。
この配置作業を通じて、「この問題とあの問題は実は根っこでつながっていた」「対策の優先度はここが最も高い」といった、個々のカードだけでは見えなかった全体の構造が見えてきます。
STEP 6:図解としてまとめ、共有する
整理された構造を視覚化し、次のアクションへ繋げるフェーズです。
最後に、完成した親和図を清書し、チームや関係者と共有します。 会議のホワイトボードに残すだけでなく、画像として保存しておけば、後日の振り返りや報告資料としても活用できます。
親和図法を成功させる5つのコツ
手順どおりに進めるだけでなく、以下のポイントを意識すると親和図の質がぐっと高まります。
コツ1:カードを書くときは「批判しない」
ブレインストーミングと同様に、データ収集の段階では「それは違う」「意味がない」といった否定は禁物です。 質より量を優先し、自由に書き出すことで、思いがけない気づきが生まれます。
コツ2:グループ分けは直感を大切にする
論理的に分類しようとしすぎると、既存の思い込みに引っ張られがちです。 「なんとなく近い気がする」という直感的なまとまりを大切にすることが、親和図法本来の力を引き出すコツです。
コツ3:表札は「文章」にする
「人材」「コスト」のような単語ではなく、「若手社員の教育体制が整っていない」のように主語と述語を含んだ文にしましょう。 文章にすることで、グループの意味が明確になり、次のアクションにつなげやすくなります。
コツ4:少人数(3〜6人)で取り組む
1人で行うと視点が偏り、大人数だと議論がまとまりにくくなります。 3〜6人のチームで多様な視点を持ち寄りながら進めるのが、最もバランスの良い人数です。
コツ5:完成がゴールではなく「次のアクション」を決める
親和図を作って満足するのではなく、「この結果をもとに何をするか」を必ず決めましょう。 例えば、優先度の高いグループに対して特性要因図で原因をさらに深掘りしたり、系統図で具体的な対策案を展開するなど、他のツールと組み合わせることで問題解決の精度が高まります。
【具体例】チーム会議で親和図法を使ってみよう
ここでは、実際のビジネスシーンを想定した具体例を見てみましょう。
テーマ:「リモートワーク環境の改善点を整理する」
ある企業のチーム(6名)が、リモートワークの課題を親和図法で整理することになりました。
STEP 2(カード書き出し)で集まった意見の例:
「チャットの通知が多すぎて集中できない」
「会議が長引きがちで作業時間が減る」
「雑談の機会がなくなり、チームの一体感が薄れた」
「自宅のネット回線が不安定で会議が途切れる」
「オフィスの椅子に比べて自宅の作業環境が悪い」
「業務の進捗が見えにくく、誰が何をしているか分からない」
「新人が気軽に質問できる雰囲気がない」
「評価基準がオフィス時代と変わらず、成果が見えにくい」
「運動不足で体調が悪化した」
STEP 3〜4(グループ分け+表札)の結果:
グループ表札 | 含まれるカード |
|---|---|
コミュニケーションの「質」が低下している | チャット通知過多、雑談機会の喪失、新人の質問しにくさ |
物理的な作業環境に個人差がある | ネット回線不安定、自宅の椅子・デスク問題、運動不足 |
業務の可視化と評価制度が追いついていない | 進捗の見えにくさ、評価基準の未更新、会議の長時間化 |
このように整理すると、個別のカードでは見えなかった3つの本質的な課題が浮かび上がり、それぞれに対する具体的な対策を検討しやすくなります。
親和図法のメリットとデメリット
親和図法は強力なツールですが、万能ではありません。 メリットとデメリットの両面を理解した上で活用しましょう。
メリット
メリット | 説明 |
|---|---|
暗黙知を可視化できる | 個人の頭の中にある漠然としたアイデアや懸念を、目に見える形で共有できる |
チーム全員の認識が揃う | 図を囲みながら議論することで、認識のズレや思い込みが解消される |
新しい発見が生まれる | ボトムアップのグループ化により、既存のカテゴリでは見えなかった関係性に気づける |
特別な知識が不要 | 統計の知識やツールの操作スキルがなくても、付箋とペンがあれば誰でも実践できる |
他の手法と組み合わせやすい | 特性要因図、連関図、系統図など、次の分析ステップへスムーズに接続できる |
デメリット
デメリット | 対策 |
|---|---|
時間がかかる | 事前にテーマを絞り、カード枚数の上限を決めておく。また、議論が長引かないようタイムキーパーを置くのも有効です。 |
ファシリテーターの力量に左右される | グループ分けの議論が脱線しないよう、経験者がリードする。「事実」と「意見」を明確に分けてカードに書かせる工夫も必要です。 |
主観に偏るリスクがある | 多様なメンバーで取り組む、定量データと併用するなどしてバランスをとる |
再現性が低い | 同じデータでもメンバーが変わると結果が変わる。プロセスと判断の根拠を記録しておく |
親和図法と他の手法の違い
似た目的で使われる手法との違いを押さえておくと、場面に応じた使い分けができるようになります。
手法 | 主な目的 | アプローチ | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
親和図法(KJ法) | 情報の整理・構造化 | ボトムアップ(データ → グループ) | 漠然とした問題の整理、アイデアの分類 |
特性要因図 | 原因の洗い出し | トップダウン(問題 → 原因を分解) | 原因が「ありそう」な問題の深掘り |
連関図法 | 原因同士の因果関係の把握 | ネットワーク型 | 原因が複雑に絡み合っている問題 |
マインドマップ | 思考の発散・整理 | 中心から放射状に展開 | 個人のアイデア出し、学習ノート |
親和図法は「何が問題なのかすら分からない」状態から始められるのが最大の特徴です。 一方、原因がある程度分かっている場合は特性要因図の方が効率的です。

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オンラインで親和図を作成するなら「xGrapher」
ここまでの説明では、付箋やホワイトボードを使ったアナログな方法を中心に紹介しましたが、リモートワーク環境やチームの人数が多い場合には、オンラインツールを使うとより効率的です。
xGrapherは、無料・登録不要で親和図(KJ法)を作成できるオンラインツールです。

xGrapherで親和図を作るメリット
ブラウザだけで完結 — インストール不要。 PCでもスマートフォンでもアクセス可能
直感的な操作 — カードの追加・色分け・ドラッグ&ドロップでのグループ分けが簡単
グループの自動配置 — カードをグループに割り当てると自動でレイアウトが整う
画像として書き出し — PNG・JPEG・SVG形式でダウンロードでき、報告書やプレゼン資料にそのまま使える
基本的な使い方
xGrapherの親和図作成ページにアクセス
サイドバーからカードを追加(テキスト入力+色を選択して「+」ボタン)
グループを作成してラベルを設定
カード一覧のドロップダウン、またはドラッグ&ドロップでカードをグループに分類
完成したら画像としてダウンロード
会議中にリアルタイムで作成し、その場で画像として保存・共有するといった使い方がおすすめです。
よくある質問
Q1. 親和図法とKJ法は同じものですか?
厳密には、KJ法は川喜田二郎氏が考案したオリジナルの手法名であり、親和図法は新QC7つ道具に取り入れられた際の名称です。 実務上はほぼ同じ手法として扱われていますが、KJ法にはグループ化後の「図解化」「叙述化」など、より詳細なステップが含まれています。 ビジネスの現場では「親和図法=KJ法」と考えて差し支えありません。
Q2. 親和図法に必要な人数は何人ですか?
3〜6人が理想的です。 1人でも実施できますが、視点が偏りやすいのがデメリットです。 一方、7人以上になると議論がまとまりにくくなるため、大人数の場合はサブグループに分けてから結果を統合する方法がおすすめです。
Q3. カード(付箋)は何枚くらい用意すればよいですか?
20〜50枚が目安です。 10枚以下だと分類が難しく、100枚を超えると整理に膨大な時間がかかります。 テーマを具体的に設定し、カードの枚数が多くなりすぎないよう調整しましょう。
Q4. 親和図法はどんな業種で使えますか?
業種を問わず活用できます。 製造業の品質管理はもちろん、IT業界のUXリサーチ、マーケティングの顧客分析、教育現場でのワークショップ、医療・福祉分野の課題整理など、「定性的な情報を整理したい」場面であればどこでも有効です。
Q5. 親和図法の後に使うべきツールはありますか?
親和図法で問題の構造を明らかにした後は、目的に応じて次のツールにつなげるのが効果的です。 原因をさらに深掘りするなら特性要因図、原因同士の因果関係を分析するなら連関図法、具体的な対策を体系的に展開するなら系統図法がおすすめです。 これらはいずれも新QC7つ道具に含まれており、組み合わせて使うことで問題解決の精度が大きく向上します。
まとめ
親和図法(KJ法)は、バラバラの情報やアイデアを「似ているもの同士」でグループ分けし、問題の全体像や構造を浮かび上がらせる手法です。
この記事のポイントを振り返ります。
親和図法は新QC7つ道具の一つで、言語データ(定性情報)を整理するのに適している
テーマ設定 → カード作成 → グループ分け → 表札づけ → 関係整理 → 共有、の6ステップで作成する
ブレインストーミング後の整理、顧客の声の分析、品質問題の整理など、幅広いビジネスシーンで活用可能
成功のコツは「批判しない」「直感を大切にする」「表札は文章にする」
xGrapherを使えば、無料・登録不要でブラウザ上から簡単に親和図を作成・ダウンロードできる
まずは身近なテーマで一度試してみてください。 頭の中のモヤモヤが整理され、次にやるべきことが明確に見えてくるはずです。

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