ジェノグラムとは?書き方・記号の意味をわかりやすく解説

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「ジェノグラムって聞いたことはあるけど、家系図と何が違うの?」「記号がたくさんあって書き方がわからない…」そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

ジェノグラムは、家族の構造だけでなく関係性や出来事まで一枚の図で可視化できる強力なツールです。

この記事では、ジェノグラムの基本的な意味から記号の一覧、具体的な書き方の手順までわかりやすく解説します。

ジェノグラムとは

ジェノグラム(Genogram)とは、3世代以上の家族の構造・関係性・歴史を記号で表した図のことです。日本語では「家族図」「家族構成図」「家族関係図」とも呼ばれます。

[ジェノグラムの例]

一般的な家系図が血縁関係と名前を記録するのに対し、ジェノグラムでは婚姻・離婚・死亡・同居といった生活上の出来事や、家族間の感情的な関係(親密・葛藤・断絶など)まで記号で表現できるのが特徴です。

ジェノグラムの歴史

ジェノグラムのルーツは、精神科医マレー・ボーエン(Murray Bowen)954〜1959年に米国国立衛生研究所(NIMH)で行った家族システム研究にさかのぼります。ボーエンは家族の関係パターンを視覚化するために「ファミリーダイアグラム(family diagram)」と呼ばれる図を用いていました。

出典: https://digital.ffi.org

マレー・ボーエン(Murray Bowen)

「ジェノグラム(genogram)」という用語は、ボーエンのもとで学んだフィリップ・ゲリン(Philip J. Guerin)が1970年代初頭に命名したとされ、1972年に学術論文で初めて使用されました。「世代(generation)」と「図表(diagram)」を組み合わせた造語です。

その後、モニカ・マクゴールドリック(Monica McGoldrick)ランディ・ガーソン(Randy Gerson)が1985年に出版した『Genograms in Family Assessment』によって記号体系が標準化され、世界的に普及しました。現在では医療・福祉・教育・心理臨床など幅広い分野で活用されています。

ジェノグラムの名称

「ジェノグラム」の英語表記はGenogramです。Generation(世代)もしくはGene(遺伝)とDiagram(図表)を合成した造語で、「ジェノグラム」のほかに以下の名称で呼ばれることもあります。

名称

説明

家族図

最も一般的な日本語訳

家族構成図

家族の構造に焦点を当てた呼び方

家族関係図

感情的関係まで含む場合の呼び方

ファミリーダイアグラム

ボーエンが使っていた元の呼び方

世代図

generationの訳を反映した呼び方

ジェノグラムの記号一覧

ジェノグラムでは、標準化された記号を用いて家族の情報を表現します。ここでは基本的な記号をカテゴリ別に紹介します。

人物を表す記号

ジェノグラムの基本となる記号は人物の性別と状態を表す図形です。

記号

意味

正方形

男性

女性

菱形

性別不明・未確定

二重正方形

男性の主訴者(IP:Identified Patient)

二重円

女性の主訴者(IP:Identified Patient)

三角形

妊娠中

×が入った図形もしくは黒塗り

死亡した人物

小さな黒丸

流産

×付き三角形

死産

主訴者(IP)とは、ジェノグラムの作成対象となる中心人物のことです。二重の枠線で示すことで、図のどこを基点に読めばよいかが一目でわかります。

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婚姻・パートナー関係を表す線

二人の人物の間を結ぶ横線で、関係の種類を表現します。

線の種類

意味

実線(─)

婚姻(結婚)

二重線(═)

婚姻(強調表記)

破線(- - -)

内縁・同棲・事実婚

実線+斜線1本(/)

別居

実線+斜線2本(//)

離婚

夫は左側、妻は右側に配置するのが一般的な慣例ですが、厳密なルールではありません。

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親子関係を表す線

婚姻線(横線)の中央から下に伸びる縦線で親子関係を表します。

線の種類

意味

実線の縦線

実子(血縁のある子ども)

破線の縦線

養子

点線の縦線

里子・委託関係

子どもは左から右へ出生順(年齢順)に配置するのが原則です。双子の場合は、婚姻線から分岐する形でV字型に描きます。

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感情的関係を表す線(オプション)

家族間の感情的なつながりを表す線です。基本的なジェノグラムでは省略されることもありますが、臨床場面ではこの情報が重要になります。

線の種類

意味

二重線

親密・良好な関係

三重線

密着・過度に近い関係(融合)

赤のギザギザ線

葛藤・対立関係

太線+ギザギザ線

親密だが葛藤もある複雑な関係

点線(途切れた線)

断絶・疎遠な関係

波線

虐待・暴力のある関係

感情関係の線は、記号体系が完全に統一されているわけではなく、使用する機関や地域によって多少の違いがあります。そのため、ジェノグラムに凡例(記号の説明)を添えることが推奨されます。

ジェノグラムの書き方【5ステップ】

実際にジェノグラムを書く手順を、5つのステップで解説します。

ステップ1:中心人物(IP)を決める

まず、ジェノグラムの中心となる人物(IP:Identified Patient)を決めます。この人物を図の中央付近に配置し、二重枠の記号で描きます。

ジェノグラムを「誰の視点で」「何のために」作るのかを最初に明確にしておくと、必要な情報の範囲が定まります。

ステップ2:世代ごとに家族を配置する

最も上の世代(祖父母)から順に、横一列に配置していきます。

  • 第1世代(祖父母世代): 図の上部に配置

  • 第2世代(父母世代): 図の中段に配置

  • 第3世代(子ども世代): 図の下部に配置

同じ世代の人物は水平方向に横並びになるように配置します。これにより、世代間の関係が視覚的にわかりやすくなります。

ステップ3:婚姻・パートナー関係の線を引く

配置した人物の間に、婚姻やパートナー関係を示す横線を引きます。

  • 現在の婚姻関係は実線

  • 離婚した関係は実線+斜線2本

  • 内縁関係は破線

再婚がある場合は、左から時系列順に並べるのが一般的です。

ステップ4:親子関係の線を引く

婚姻線の中央から下方向に線を引き、子どもの記号につなぎます。

  • 実子は実線で結ぶ

  • 養子は破線で結ぶ

  • 子どもが複数いる場合は、左から出生順に配置

ステップ5:属性情報を追加・同居を囲う

各人物の記号の近くに、以下のような属性情報を書き加えます。

  • 名前(記号の下または横に記載)

  • 年齢・生年(記号の内部または近くに記載)

  • 死亡年(×マーク付きの記号に併記)

  • 疾患・特記事項(必要に応じて)

最後に全体を見直し、線の交差が少ないか世代の横並びが揃っているかを確認します。必要に応じて感情関係の線(親密・葛藤・断絶など)も追加します。

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また同居家族の情報もジェノグラムでは重要です。同居している家族はそれぞれを点線で囲って分かるようにしてください。

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ジェノグラムと家系図の違い

ジェノグラムは家系図と似ていますが、目的と表現できる情報の範囲が大きく異なります。

比較項目

ジェノグラム

家系図

主な目的

家族関係の分析・アセスメント

血統・系譜の記録

対象世代

通常3世代

制限なし(数十世代も可能)

記載する情報

関係性・感情・出来事・疾患

血縁関係・氏名・生没年

感情的関係

表現できる(親密・葛藤・断絶など)

通常は表現しない

離婚・再婚

記号で明確に表現

表記が統一されていないことが多い

標準化

マクゴールドリックらの記号体系

地域・文化によって多様

簡単に言えば、家系図は「誰と誰がつながっているか」を記録する図であり、ジェノグラムは「家族がどのような関係にあるか」を分析する図です。

家系図を作成したい場合は家系図メーカーをご利用ください。

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ジェノグラムとエコマップの違い

ジェノグラムと混同されやすいのがエコマップ(Ecomap)です。どちらも対人援助の現場で使われるアセスメントツールですが、可視化する対象が異なります。

比較項目

ジェノグラム

エコマップ

可視化する対象

家族内部の関係

家族と外部環境の関係

中心に置くもの

中心人物(IP)の家族構造

家族全体(または個人)

表現する関係

血縁・婚姻・感情関係

社会資源との関係(学校・医療・地域など)

主な用途

家族内の関係パターンの把握

支援ネットワークの把握

世代の表現

3世代以上を描く

世代構造は問わない

エコマップは、中心に家族(またはジェノグラム)を配置し、その周囲に学校・病院・職場・地域・福祉サービスなどの社会資源を円で描き、線でつなぐ図です。太い線は強い関係、破線は弱い関係、ギザギザ線は葛藤のある関係を表します。

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実務ではジェノグラムとエコマップを併用するケースが一般的です。ジェノグラムで家族内部の関係を把握し、エコマップで外部とのつながりを把握することで、支援の全体像が見えてきます。

xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーでは、1つのキャンバス上でジェノグラムとエコマップの両方を作成できます。

ジェノグラムを作成できるツール

ジェノグラムは紙とペンでも作成できますが、修正や共有のしやすさを考えるとデジタルツールが便利です。

ブラウザで作れるジェノグラムメーカー

最も手軽なのは、ブラウザ上で動作する専用ツールです。 インストール不要で、すぐに作成を始められます。

xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーは、本記事で紹介した記号体系をすべてサポートしています。

xGrapherのジェノグラム・エコマップ作成画面

主な特徴:

  • 登録不要・無料で利用可能

  • 男性(□)・女性(○)・性別不明(◇)・妊娠(△)など全記号に対応

  • 婚姻・離婚・別居・内縁などのパートナー関係線

  • 実子・養子・里子の親子関係線

  • 感情関係線(親密・密着・葛藤・断絶・虐待)

  • 主訴者(IP)の二重枠表示・死亡マーク

  • 名前・年齢・生年・疾患の記入欄

  • PNG・JPEG・SVG形式で画像ダウンロード

  • エコマップ(社会資源との関係図)も同じキャンバスで作成可能

ジェノグラムの記号を一つずつ覚える必要はなく、左サイドバーからボタンひとつで人物や関係線を追加でき、種類もドロップダウンから選択するだけです。

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Excel・PowerPointで作る場合

ExcelやPowerPointの図形機能でもジェノグラムは作成可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 記号を手動で作成する手間 — 正方形・円・菱形・二重枠などの記号をすべて図形で自作する必要がある

  • 関係線の調整が煩雑 — 人物を移動すると線が追従しないため、配置変更のたびに線を引き直す必要がある

  • 感情関係の線種が限られる — ギザギザ線や二重線など、ジェノグラム特有の線種を再現しにくい

「社内の報告書に埋め込みたい」など、Office形式が必須の場合はExcel/PowerPointも選択肢になりますが、ジェノグラムを頻繁に作成・修正する場合は専用ツールの方が効率的です。

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よくある質問(FAQ)

Q. ジェノグラムは何世代まで書けばいい?

通常は3世代(祖父母・父母・子)が標準です。3世代あれば家族のパターンや傾向を読み取るのに十分な情報が得られます。必要に応じて4世代以上を含めることもありますが、世代が増えると図が複雑になるため、目的に応じて範囲を決めましょう。

Q. ジェノグラムの記号は統一されている?

基本的な記号(性別・婚姻・離婚・死亡)はほぼ共通ですが、感情関係の線種や色使いについては機関や文献によって多少の違いがあります。マクゴールドリックとガーソンの記号体系が最も広く参照されていますが、使用する際は凡例を添えることが推奨されます。

Q. ジェノグラムの作成にどれくらい時間がかかる?

シンプルな3世代のジェノグラムであれば15〜30分程度で作成できます。感情関係や詳細な情報を追加する場合は1時間程度かかることもあります。専用ツールを使えば記号の配置や線の接続が効率化されるため、手書きよりも短時間で仕上がります。

Q. エコマップとジェノグラムは一緒に作れる?

はい、実務ではジェノグラムとエコマップを1枚の図にまとめることも多いです。 中央にジェノグラム(家族図)を描き、その周囲にエコマップ(社会資源との関係)を配置します。xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーでは、同じキャンバス上に両方を自由に配置できます。

まとめ

ジェノグラムは、家族の構造・関係性・出来事を標準化された記号で可視化する図です。一般的な家系図とは異なり、婚姻・離婚・感情関係(親密・葛藤・断絶)まで表現でき、家族の全体像を一枚の図で把握できます。

書き方の基本は、中心人物(IP)を決める → 世代ごとに配置 → 婚姻線を引く → 親子線を引く → 属性情報を追加の5ステップです。

まずはxGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーで、実際にジェノグラムを作成してみてください。記号の配置から関係線の接続まで、ブラウザ上で直感的に操作できます。

xgrapher

コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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