ジェノグラムの離婚・再婚の書き方|ステップファミリーの描き方ガイド

「離婚した場合、ジェノグラムではどう書けばいいの?」「再婚相手や連れ子の位置はどこ?」離婚・再婚を含む家族構成は、ジェノグラム作成で最もつまずきやすいポイントです。
この記事では、離婚・別居・再婚・内縁の記号ルールから、ステップファミリー(連れ子のいる再婚家庭)の描き方まで、具体例付きでわかりやすく解説します。
この記事の内容(目次)
離婚・再婚に関する記号のおさらい
まず、ジェノグラムで離婚・再婚まわりに使う記号を確認しましょう。基本的な記号はマクゴールドリック(McGoldrick)の標準に準拠しています。
線の種類 | 意味 | 表記イメージ |
|---|---|---|
実線(─) | 婚姻(現在の結婚) | □─○ |
二重線(═) | 婚姻(強調表記) | □═○ |
破線(- - -) | 内縁・同棲・事実婚 | □- - -○ |
実線+斜線1本(/) | 別居 | □─/─○ |
実線+斜線2本(//) | 離婚 | □─//─○ |
ジェノグラムの記号全体について確認したい場合は、ジェノグラムとは?書き方・記号の意味をわかりやすく解説を参照してください。
別居と離婚の違い
別居と離婚は混同されやすいですが、ジェノグラムでは明確に区別されます。
別居(斜線1本 /): 法的には婚姻関係が継続しているが、生活の場を分けている状態
離婚(斜線2本 //): 法的に婚姻関係が解消された状態
別居中の夫婦が正式に離婚した場合は、斜線1本から斜線2本に書き換えます。現在の法的な状態を正確に反映するのがジェノグラムの原則です。
内縁・事実婚のパートナー関係
法律上の婚姻届を出していないパートナー関係は破線で表します。
内縁関係が解消された場合は、破線に斜線2本を加えます。離婚線と同様の考え方で、関係の種類(破線)+解消の印(//)を組み合わせます。
離婚の書き方
基本の離婚表記
離婚は、婚姻線(実線)の上に斜線を2本(//)引いて表します。
離婚した夫婦に子どもがいる場合
離婚した夫婦の間に子どもがいる場合、子どもは離婚線の下に通常どおり配置します。
子どもが複数いる場合も、左から出生順に配置するルールは変わりません。
親権(同居親)の表し方
離婚後にどちらの親と暮らしているかを示す方法として、子どもの記号を同居している親の側に寄せて配置する方法があります。
この例では、子どもが母親側に配置されているため、母親が主な養育者であることがわかります。ただし、この表現方法は慣習的なもので、より明確にしたい場合は同居の囲み線を使って母親と子どもを一緒に囲む方法もあります。
再婚の書き方
再婚の基本ルール:時系列で左から右へ
ジェノグラムでは、婚姻関係を時系列順に左から右へ配置するのが原則です。最初の結婚が左、再婚が右になります。
パターン1:片方が再婚
父が離婚後に再婚した場合の基本パターンです。
父を中心に、左側に前妻(最初の結婚)、右側に後妻(再婚)を配置
前妻との関係は離婚線(//)で結ぶ
後妻との関係は婚姻線で結ぶ
パターン2:双方が再婚
離婚した両者がそれぞれ再婚した場合は、以下のように配置します。
前妻にも新しいパートナーがいる場合は、前妻の左側にそのパートナーを配置します。こうすることで、時系列が左→右の原則を保ちつつ、全員の関係を1つの図に収められます。
パターン3:複数回の離婚・再婚
3回以上の結婚歴がある場合は、左から順にすべての婚姻関係を並べます。
婚姻が3回以上になると横幅が広がるため、段差(ステップ)を使った配置も有効です。段差配置では、2番目以降の結婚を1段下にずらして描くことで、横方向のスペースを節約しつつ時系列を維持できます。
ステップファミリー(連れ子のいる再婚家庭)の描き方
ステップファミリーとは
ステップファミリーとは、夫婦の一方または双方に前の関係で生まれた子どもがいる再婚家庭のことです。日本では「子連れ再婚家庭」とも呼ばれます。厚生労働省の人口動態統計によると、婚姻件数全体のうち再婚を含むケースはおよそ4件に1件とされており、ステップファミリーの描き方はジェノグラム作成において実務的に非常に重要です。
パターン1:片方に連れ子がいるケース
母親に前夫との子どもがおり、新しいパートナーと再婚したケースです。
連れ子(○)は前夫との婚姻線から下に配置
新しい子(□)は後夫との婚姻線から下に配置
連れ子と新しい子は異父きょうだい(母は同じ、父が異なる)の関係
連れ子と後夫は直接の血縁関係がないため、連れ子は前夫との婚姻線に接続します。これがステップファミリーのジェノグラムで最も重要なポイントです。
パターン2:双方に連れ子がいるケース
夫にも妻にも前の関係で生まれた子どもがいるケースです。
夫の連れ子は前妻との婚姻線から下に配置
妻の連れ子は前夫との婚姻線から下に配置
二人の間に生まれた子どもは、現在の婚姻線から下に配置
このケースでは3種類のきょうだい関係が生まれます。
関係 | 説明 |
|---|---|
異母きょうだい | 夫の連れ子と二人の子(父が同じ、母が異なる) |
異父きょうだい | 妻の連れ子と二人の子(母が同じ、父が異なる) |
ステップきょうだい | 夫の連れ子と妻の連れ子(血縁関係なし) |
ステップきょうだいは血縁関係がないものの、同じ世帯で育つ兄弟姉妹です。ジェノグラム上では、それぞれの元の婚姻線から配置されているため、血縁がないことが図の構造自体で表現されます。
パターン3:養子縁組をした場合
連れ子と再婚相手が養子縁組をした場合は、養親と連れ子の間に破線を引いて養親子関係を追加します。
この場合、連れ子は前夫との実親子関係(実線)と、後夫との養親子関係(破線)の2つの親子線を持ちます。
配置で気をつけるポイント
ステップファミリーのジェノグラムは登場人物が多くなりがちです。見やすい図にするためのポイントをまとめます。
子どもは必ず「実の親の婚姻線」から下に配置する — 連れ子を再婚相手との婚姻線から下に描くのは誤り
時系列を守る — 最初の結婚は左、再婚は右に配置
養子縁組の線を忘れない — 養子縁組した場合は実親の実線に加えて養親の破線を引く
同居の囲みを活用する — 現在同じ世帯に暮らしている人物を点線で囲むと、実際の生活状況がわかりやすくなる
年齢を記入する — 連れ子の年齢を記入することで、どの婚姻関係で生まれた子どもかが明確になる
兄弟の配置ルールの詳細は以下の記事を参照してください。

ジェノグラムの兄弟・双子の書き方|順番・配置ルールを図解
ジェノグラムで兄弟・姉妹を書く際の順番ルール(左から出生順)、双子・三つ子の表記方法、異父母きょうだいの配置方法を図解で解説。家族構成図の兄弟の並べ方がわかります。
感情関係線を加えてより詳細に表現する
離婚・再婚を含む家族は、家族間の感情的な関係が複雑になりやすい傾向があります。基本的な構造だけでなく、感情関係線を追加することで、家族のダイナミクスをより詳細に描くことができます。
離婚後の関係を表す感情線の例
線の種類 | 意味 | 使用場面の例 |
|---|---|---|
赤のギザギザ線 | 葛藤・対立 | 離婚後も親権争いが続いている |
点線(途切れた線) | 断絶・疎遠 | 離婚後に一切連絡を取っていない |
太線 | 親密・良好 | 離婚後も子どものために良好な関係を維持 |
太線+赤ギザギザ | 親密だが葛藤もある | 協力し合っているが摩擦もある |
ステップファミリーでよく見られるパターン
ステップファミリーでは、以下のような感情関係のパターンがよく見られます。
連れ子と継親の間の葛藤 — 新しい親子関係がうまく築けていない場合
元配偶者と現配偶者の間の緊張 — 子どもの面会や養育方針をめぐる対立
異父母きょうだい間の関係の差 — 一緒に暮らすきょうだいと別居のきょうだいで親密度が異なる
これらの感情関係線は必須ではありませんが、臨床・福祉の現場では支援方針を立てるうえで重要な情報になります。

エコマップとは?書き方・記号の意味と作成手順を解説
エコマップ(生態図)の意味・記号・書き方を解説。社会資源との関係を線の太さや種類で表現する方法、ジェノグラムとの併用テクニック、作成ツールの紹介まで網羅。
離婚・再婚ジェノグラムのよくある間違い
間違い1:連れ子を再婚相手の婚姻線から配置してしまう
最も多い間違いです。連れ子はあくまで実の親の婚姻線から下に配置します。
間違い2:再婚の時系列が逆になっている
最初の結婚が右、再婚が左になってしまうケースです。左から右へ時系列順に並べましょう。
間違い3:別居と離婚を区別していない
別居中(斜線1本 /)と離婚(斜線2本 //)は法的な状態が異なります。アセスメントの精度に直接影響するため、正確な状態を反映することが重要です。
間違い4:内縁関係の解消を表記していない
内縁関係も解消された場合は斜線2本を加えます。「結婚していないから線を消せばいい」と考えてしまいがちですが、過去の関係と子どもの存在を記録に残すためにも、解消の表記が必要です。
実践例:3世代の離婚・再婚ジェノグラム
ここまでの記号ルールを組み合わせて、3世代にわたる離婚・再婚のジェノグラムを作成してみましょう。
ケース設定
祖父(70歳)・祖母(68歳): 現在も婚姻中
父(45歳): 祖父母の息子。前妻と離婚し、現在の妻と再婚
前妻(43歳): 父と離婚後、新しいパートナーと再婚
現在の妻(40歳): 父の再婚相手
長男(20歳): 父と前妻の間の子。前妻と同居
長女(15歳): 父と前妻の間の子。前妻と同居
次男(8歳): 父と現在の妻の間の子
前妻の再婚相手(44歳)
前妻の再婚相手との子(5歳)
ジェノグラム
読み取れる情報
この1枚のジェノグラムから、以下のことが読み取れます。
父は離婚を経験し再婚している
前妻も再婚して新しい子どもがいる
長男(20歳)と長女(15歳)は父と前妻の実子で、前妻側と同居
次男(8歳)は父と現在の妻の実子
前妻の再婚相手との子(5歳)は、長男・長女にとって異父きょうだい
次男(8歳)にとって長男・長女は異母きょうだい
祖父母は婚姻を継続している(家族の安定基盤)
xGrapherでジェノグラムを作成する
離婚・再婚を含むジェノグラムは線が交差しやすく、紙の上で描くと修正が大変です。xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーを使えば、ドラッグ&ドロップで人物の配置を調整でき、離婚線・再婚線もワンクリックで切り替えられます。

離婚・再婚の描き方: 二人の人物を配置したあと、関係線をクリックして「離婚(//)」「別居(/)」「内縁(破線)」などの種類を選択するだけ。再婚相手の追加も、新しい人物を配置して婚姻線で結ぶだけで完了します。
PNG・JPEG・SVG形式でダウンロードできるため、報告書やカンファレンス資料にもそのまま貼り付けられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 離婚と別居はジェノグラム上でどう区別しますか?
離婚は婚姻線の上に斜線2本(//)、別居は斜線1本(/)を引いて区別します。法的に婚姻関係が解消されたかどうかが判断基準です。別居中の夫婦が正式に離婚した場合は、斜線1本から2本に変更します。
Q2. 再婚相手はジェノグラムのどこに配置しますか?
再婚相手は、時系列順に右側へ配置します。最初の結婚相手が左、再婚相手が右です。3回以上の結婚歴がある場合も、左から順に並べます。横幅が足りなくなった場合は、段差を使った配置も有効です。
Q3. 連れ子は再婚相手との婚姻線から描きますか?
いいえ。連れ子は必ず実の親の婚姻線から下に配置します。再婚相手との関係が良好でも、ジェノグラム上では血縁関係に基づいて配置するのが原則です。養子縁組をした場合は、実親の実線に加えて養親との破線を追加します。
Q4. 内縁関係の解消はどう書きますか?
内縁関係(破線)に斜線2本(//)を加えて表記します。法的な婚姻関係ではなくても、その関係から生まれた子どもがいる場合は、関係の記録として残すことが重要です。
Q5. ステップきょうだい(血縁のないきょうだい)はジェノグラムでわかりますか?
はい。ステップきょうだいはそれぞれの実親の婚姻線から配置されるため、ジェノグラムの構造自体から血縁関係がないことが読み取れます。同じ世帯で暮らしていることを示したい場合は、同居を表す囲み線を活用してください。
まとめ
ジェノグラムにおける離婚・再婚の書き方のポイントは以下のとおりです。
離婚は斜線2本(//)、別居は斜線1本(/)で区別する
再婚は時系列順に左から右へ配置する
連れ子は実の親の婚姻線から下に配置する(再婚相手の婚姻線からではない)
養子縁組をした場合は破線を追加する
感情関係線を加えると、複雑な家族ダイナミクスをより詳細に表現できる
内縁関係の解消も離婚と同様に斜線2本で表記する
離婚・再婚を含むジェノグラムは記号が多くなりがちですが、「子どもは実親の婚姻線から配置する」「時系列は左から右」という2つの原則を守れば、複雑なステップファミリーでも正確に描くことができます。
ジェノグラムの基本的な記号と書き方の手順はジェノグラムとは?書き方・記号の意味をわかりやすく解説で解説しています。
実際にジェノグラムを作成するには、xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーをお試しください。離婚・再婚の線もドロップダウンから選ぶだけで、複雑な家族構成を直感的に描けます。

)
)
)
)
)
)
)
)
)