ジェノグラムの死亡の書き方|記号・年齢・死産・流産の表記方法

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「亡くなった人はジェノグラムでどう書くの?」「死産や流産も記録するべき?」ジェノグラムでは、死亡した家族も含めて家族全体の構造を記録することが重要です。

この記事では、死亡を表す記号(×マーク・黒塗り)の使い分け、死亡年齢・死因の記入方法、死産・流産・中絶の表記ルールまで、具体例付きで解説します。

死亡を表す基本の記号

ジェノグラムで人物が死亡していることを示す方法は、大きく分けて2つの流派があります。

×(バツ)マーク方式

人物の記号の中に×印を書き入れる方法です。マクゴールドリック(McGoldrick)の標準記号体系に準拠しており、国際的に最も広く使われている方式です。

黒塗り(塗りつぶし)方式

人物の記号を黒く塗りつぶす方法です。日本の医療・福祉現場で使われることがあります。

どちらを使うべきか

方式

メリット

デメリット

×マーク

国際標準で汎用性が高い。手書きでも描きやすい

記号の中の年齢が見づらくなることがある

黒塗り

死亡が一目でわかり視認性が高い

性別の区別(□と○の形状)が見づらくなる。記号内に情報を書き込めない

迷ったら×マーク方式を推奨します。国際的な記号体系に準拠しているため、異なる機関間でジェノグラムを共有する際にも通じやすく、記号の中に年齢を書き込むことも可能です。

いずれの方式を使う場合も、ジェノグラムに凡例(記号の説明)を添えることで読み手の混乱を防げます。

ジェノグラムの記号全体については、ジェノグラムとは?書き方・記号の意味をわかりやすく解説を参照してください。

死亡年齢・死亡年・死因の記入方法

死亡の記号だけでなく、いつ・何歳で・なぜ亡くなったかを記録しておくと、ジェノグラムから読み取れる情報量が大幅に増えます。

死亡年齢の書き方

死亡した人物の年齢は、記号の内部または近くに記入します。

生存中の人物と区別するために、死亡年齢の前後に「d.」(deceased)を付ける表記もあります。

生年・没年の書き方

より詳細に記録する場合は、生年と没年の両方を記入します。


記号の下に「生年–没年」を記載するのが一般的です。スペースに余裕がない場合は没年のみを記入しても構いません。

死因の書き方

死因は、記号の近くに括弧付きで簡潔に記入します。

死因(病気・事故・自殺など)の記入は必須ではありませんが、家族内の疾患パターンを把握するうえで重要な情報になります。たとえば、父方の祖父・父がともに心疾患で若くして亡くなっている場合、遺伝的リスクの手がかりになります。

記入例:情報をまとめて書く

以下のように、名前・年齢・死因をまとめて記入することもできます。

記入する情報量はジェノグラムの目的によって調整します。家族療法のアセスメントでは死因まで記録することが多い一方、保育や行政の簡易記録では×マークと年齢のみにとどめる場合もあります。

死産・流産・中絶の表記方法

ジェノグラムでは、生まれなかった子どもも家族の歴史の一部として記録します。流産・死産・中絶はそれぞれ異なる記号で表されます。

流産(自然流産)

流産は小さな黒丸(●)で表します。通常の人物記号(□○)より小さく描くのが特徴です。

流産は性別が判明していないことが多いため、男女の区別をしない黒丸を使います。

死産

死産は×マーク付きの三角形(△に×)で表します。三角形は妊娠を意味する記号で、そこに×を加えることで「妊娠したが生まれなかった(死産)」を示します。

性別が判明している場合は、三角形の代わりに□や○に×マークを使い、近くに「死産」と注記する方法もあります。

人工妊娠中絶

人工妊娠中絶は×マーク付きの小さな黒丸で表します。自然流産(黒丸のみ)と区別するために×を加えます。

記号の比較表

状態

記号

説明

自然流産

小さな黒丸

人工妊娠中絶

●×

小さな黒丸に×を追加

死産

△×

三角形に×を追加

妊娠中(存命)

三角形のみ

流産・死産を記録する重要性

流産や死産は一見するとジェノグラムに含めなくてもよいように思えるかもしれません。しかし、以下の理由から記録しておくことが推奨されます。

  • 家族のグリーフ(悲嘆)の理解: 流産・死産の経験は家族に大きな影響を与え、その後の親子関係や夫婦関係に影を落とすことがある

  • きょうだいの出生順の正確な記録: 流産を含めることで、子どもの出生間隔や「見えないきょうだい」の存在が明確になる

  • 医学的パターンの把握: 繰り返す流産は遺伝的・医学的な問題を示唆する場合がある

  • 家族の語りの中での位置づけ: 「本当は3人きょうだいだった」という家族の認識を正確に図に反映できる

ただし、流産・死産はデリケートな話題です。情報収集の際は、本人の同意と心理的な配慮を忘れないようにしましょう。

死亡した人物がいる場合の関係線の扱い

婚姻線はそのまま残す

配偶者が死亡した場合でも、婚姻線は消さずにそのまま残します。ジェノグラムは過去を含む家族の歴史を記録する図であり、死亡によって関係が「なかったこと」にはなりません。

死別後に再婚した場合

配偶者の死別後に再婚した場合は、離婚・再婚の場合と同じく時系列で左から右に配置します。ただし、死別の場合は離婚線(//)を引く必要はなく、前の配偶者が×マークで死亡していることで死別がわかります。

前夫が死亡(×マーク)→ 妻が再婚(右側に新しい婚姻線)という流れが、図の構造から読み取れます。

親子線もそのまま残す

死亡した親がいる場合でも、子どもとの親子線は維持します。

父が死亡していても、長男・長女との親子関係は事実として残ります。

実践例:3世代の死亡を含むジェノグラム

ケース設定

  • 父方祖父(享年72歳): 心疾患で死亡

  • 父方祖母(78歳): 存命

  • 父(50歳): 存命

  • 母(48歳): 存命

  • 母方祖父(享年65歳): 脳卒中で死亡

  • 母方祖母(享年70歳): がんで死亡

  • 長男(22歳): 存命

  • 流産: 長男と長女の間に1回

  • 長女(18歳): 存命

ジェノグラム

このジェノグラムから読み取れること

  • 父方: 祖父が72歳で心疾患により死亡。祖母は78歳で存命

  • 母方: 祖父が65歳で脳卒中、祖母が70歳でがんにより、ともに死亡

  • 母方に早世のパターン: 祖父・祖母ともに比較的若くして亡くなっており、健康リスクに注意が必要

  • 流産の経験: 長男と長女の間に流産があり、出生間隔に影響している可能性がある

  • 父方の心疾患リスク: 祖父の心疾患が遺伝的傾向かどうか、父の健康管理に注意が必要

このように、死亡の記号と付随情報を正確に記録することで、家族の健康パターンや心理的影響を読み取ることができます。

死亡記号を書くときによくある間違い

間違い1:死亡した人物を図から省略してしまう

すでに亡くなっている人を「いないから」と省略してしまうケースです。ジェノグラムは過去を含む家族の歴史を記録する図です。死亡した人物も必ず記載し、×マークまたは黒塗りで死亡を示してください。

間違い2:死別と離婚を混同する

配偶者の死亡後に再婚した場合、前の配偶者との線に離婚マーク(//)を引いてしまう間違いです。死別の場合は前の配偶者の記号に×マークを入れるだけで、離婚線は不要です。

離婚・再婚の書き方について詳しくは以下の記事を参照してください。

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間違い3:流産・死産を出生順に含めていない

流産や死産も子どもの出生順に含めるのが原則です。長男→流産→長女の順番であれば、その順番どおりに左から右へ配置します。

間違い4:×マークと黒塗りを混在させる

1つのジェノグラム内で×マーク方式と黒塗り方式を混在させると、読み手が混乱します。どちらか1つの方式に統一し、必要に応じて凡例を添えてください。

xGrapherで死亡表記を作成する

xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーでは、人物の記号をクリックして「死亡」のチェックを入れるだけで×マークが自動的に表示されます。流産・死産の記号もサイドバーから追加できます。

xGrapherのジェノグラム作成画面

手書きでは×マークの位置やサイズの調整が面倒ですが、ツールを使えば均一できれいな表記が簡単に作れます。PNG・JPEG・SVG形式でダウンロードできるため、報告書やカンファレンス資料にも活用できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. ジェノグラムで死亡を表す記号は×と黒塗りのどちらが正しいですか?

どちらも正しい表記方法です。×マーク方式がマクゴールドリックの国際標準に準拠しており、最も広く使われています。黒塗り方式は日本の一部の医療・福祉現場で見られます。1つのジェノグラム内ではどちらかに統一し、凡例を添えるのがベストです。

Q2. 死亡年齢はどこに書きますか?

記号の内部、または記号のすぐ近くに記入します。「d.72」のように「d.」を付けると、存命の人物の年齢と区別しやすくなります。より詳細に記録する場合は、記号の下に「1950-2022」のように生年–没年を記載します。

Q3. 流産はジェノグラムに含めるべきですか?

はい。流産は家族の歴史の一部として記録することが推奨されます。きょうだいの出生順の正確な記録、家族のグリーフ(悲嘆)の理解、医学的パターンの把握に役立ちます。ただし、情報収集の際はデリケートな話題であることに配慮してください。

Q4. 死産と流産はジェノグラムでどう区別しますか?

流産は小さな黒丸(●)死産は三角形に×マーク(△×)で表します。流産は妊娠初期〜中期の自然な喪失を、死産は妊娠後期(日本では妊娠12週以降)の死児の出産を指します。

Q5. 死別後の再婚はジェノグラムでどう書きますか?

死別した配偶者の記号に×マークを入れ、再婚相手を右側に配置して新しい婚姻線で結びます。離婚マーク(//)は不要です。前の配偶者が×マークで死亡していることで、死別であることが読み取れます。

まとめ

ジェノグラムにおける死亡の書き方のポイントは以下のとおりです。

  • 死亡の記号: ×マーク方式(国際標準)と黒塗り方式の2種類。どちらかに統一して使う

  • 死亡年齢・死因: 記号の内部や近くに記入。「d.72」形式や「生年–没年」形式が一般的

  • 流産: 小さな黒丸(●)で表す。出生順に含めて配置する

  • 死産: 三角形に×マーク(△×)で表す

  • 人工妊娠中絶: 小さな黒丸に×マーク(●×)で表す

  • 関係線は残す: 死亡しても婚姻線・親子線は消さない。家族の歴史として記録する

  • 死別と離婚を混同しない: 死別は×マークのみ。離婚線(//)は不要

ジェノグラムの基本的な記号と書き方はジェノグラムとは?書き方・記号の意味をわかりやすく解説で解説しています。

実際にジェノグラムを作成するには、xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーをお試しください。死亡マーク・流産・死産の記号もワンクリックで追加できます。

xgrapher

コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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