エコマップの線の種類と矢印の書き方|関係性の表現ガイド

「エコマップの線はどう使い分ければいいの?」「矢印の向きにはどんな意味があるの?」エコマップでは、線の太さ・種類・矢印で中心人物と社会資源との関係性を表現します。しかし、線の使い分けが曖昧だと図の意味が正しく伝わりません。
この記事では、エコマップで使う線の種類と矢印の書き方を一覧で解説し、関係性を正確に表現するためのルールと具体例を紹介します。
この記事の内容(目次)
エコマップの線の種類一覧
エコマップの線は、関係の強さと質を表現します。以下の5種類が基本です。
線の種類 | 見た目 | 意味 | 使用例 |
|---|---|---|---|
太い実線 | ━━━━ | 強い関係・密接なつながり | 毎日顔を合わせる家族、頼りにしている主治医 |
普通の実線 | ──── | 通常の関係 | 定期的に利用するサービス、月に数回会う友人 |
細い実線 | ──── (細) | やや弱い関係 | たまに連絡を取る親戚、年に数回の通院 |
破線(点線) | - - - - | 弱い関係・希薄なつながり | 関わりはあるが頻度が低い、形式的なつながり |
ギザギザ線(波線) | ∿∿∿∿ | ストレスのある関係・葛藤 | 対立のある隣人、トラブルを抱えている機関 |
線なし(空白)も重要な表現です。中心人物と社会資源の間に線がないことは、「つながりがない」「関係が断たれている」ことを意味します。
線の太さで関係の強さを表す
太さの基準
エコマップでは、線が太いほど関係が強い(密接)ことを示します。厳密な数値の基準はありませんが、実務では3〜4段階の太さを使い分けるのが一般的です。
━━━━━━ 太い実線 = 強い関係(毎日・毎週の関わり)
────── 普通の実線 = 通常の関係(定期的な関わり)
────── 細い実線 = やや弱い関係(不定期な関わり)
- - - - 破線 = 弱い関係(年数回・形式的)
太さの判断基準
線の太さは、以下の要素を総合的に判断して決めます。
判断要素 | 太い(強い関係) | 細い(弱い関係) |
|---|---|---|
頻度 | 毎日・毎週 | 年に数回・不定期 |
依存度 | 生活に不可欠 | なくても困らない |
感情的つながり | 深い信頼・愛着 | 表面的な付き合い |
支援の量 | 多くの支援を受けている | 最小限の関わり |
実践例:高齢者のエコマップにおける線の太さ
この例では、長女とデイサービスが太い実線(強い関係)、ケアマネジャーが普通の実線(定期的な関係)、近所の友人が破線(弱い関係)で結ばれています。
線の種類で関係の質を表す
実線:良好またはニュートラルな関係
実線は、問題なく機能している関係に使います。太さで強弱を表し、特段の問題がない限り実線を使うのが基本です。
破線(点線):弱い・希薄な関係
破線は、つながりはあるが弱い関係に使います。
破線を使う典型的な場面:
関わりの頻度が低い(年に数回以下)
形式的・義務的なつながり
以前は強かったが現在は希薄になった関係
関係が始まったばかりで、まだ深まっていない
ギザギザ線(波線):葛藤・ストレスのある関係
ギザギザ線は、対立・葛藤・ストレスのある関係に使います。エコマップの中で最も注意すべき線です。
ギザギザ線を使う典型的な場面:
対人関係のトラブルがある
サービスへの不満やクレームがある
心理的なストレスの原因となっている関係
暴力やハラスメントがある関係
重要: ギザギザ線は「関係が悪い」だけでなく、「ストレスの源になっている」というニュアンスを含みます。単に関わりが薄い場合は破線を使い、積極的にストレスを生んでいる関係にだけギザギザ線を使いましょう。
線の種類と太さの組み合わせ
線の種類(実線・破線・ギザギザ)と太さを組み合わせることで、より細かい表現が可能です。
組み合わせ | 意味 |
|---|---|
太いギザギザ線 | 強い葛藤・深刻なトラブル |
細いギザギザ線 | 軽度のストレス・不満がある |
太い破線 | かつて強い関係だったが現在は希薄化 |
細い破線 | ごく弱いつながり・ほぼ接点がない |
ただし、太さと種類の組み合わせを増やしすぎると図が複雑になるため、3〜4パターンに絞るのが実用的です。
矢印の書き方と意味
矢印の基本ルール
エコマップの矢印は、支援やエネルギーの流れの方向を表します。
矢印の種類 | 表記 | 意味 |
|---|---|---|
片方向矢印 | → | 一方的な支援・働きかけ |
双方向矢印 | ↔ | 相互的な関係・双方向の支援 |
矢印なし | ── | 方向性を特定しない関係 |
片方向矢印(→)
片方向矢印は、支援の流れが一方通行であることを示します。
矢印の向きの読み方: 矢先が指している方が支援やエネルギーを受けている側です。
片方向矢印を使う場面:
フォーマルなサービス提供(ヘルパー → 本人、訪問看護 → 本人)
経済的援助(家族 → 本人)
一方的な依存関係
介護や世話の提供
双方向矢印(↔)
双方向矢印は、お互いに支え合っている関係を示します。
双方向矢印を使う場面:
親しい友人関係(支え合い)
互いに助け合う家族関係
相互支援グループ
対等なパートナーシップ
矢印なし(──)
矢印を付けない線は、方向性を特定しない関係に使います。
矢印なしを使う場面:
所属しているだけの関係(会社、地域コミュニティ)
支援の方向が明確でない関係
関係の性質をまだ把握しきれていない段階
線の色の使い分け
線に色を加えることで、関係の種類をさらに視覚的にわかりやすくできます。
推奨カラーパターン
色 | 意味 | 使用例 |
|---|---|---|
緑 | 良好・ポジティブな関係 | 信頼できるかかりつけ医、支えになる友人 |
赤 | 葛藤・ストレスのある関係 | トラブルのある隣人、対立のある家族 |
青 | フォーマルな関係(公的サービス) | 行政窓口、介護サービス、医療機関 |
オレンジ | 注意が必要な関係 | 不安定なつながり、要観察の関係 |
グレー | 希薄・中立的な関係 | 形式的なつながり、頻度の低い関わり |
色を使う際の注意点
色の意味はエコマップ標準では統一されていないため、必ず凡例を添える
モノクロ印刷する可能性がある場合は、線の太さと種類だけで判別できるようにしておく
色を使いすぎると逆に見にくくなるため、4〜5色以内に抑える
分野別の線の使い方
介護・ケアマネジメント
介護の現場では、フォーマルサービスとインフォーマルサービスの区別が重要です。
[フォーマルサービス]
[インフォーマルサービスの例]
フォーマルサービスは片方向矢印(サービス提供者 → 本人)が多い
家族との関係は双方向矢印が多い(お互いに関わり合う関係)
ギザギザ線は介護負担による家族間のストレスを表現するのに使う
保育・児童福祉
保育の現場では、子どもを中心に養育環境を把握するためにエコマップを使います。
保護者との関係は太い線(最も重要なつながり)
保育園・学校は普通の実線+片方向または双方向矢印
虐待やネグレクトが疑われる場合はギザギザ線で表現
関わりが断たれている親族は線なしで表現
医療(ソーシャルワーク・看護)
医療現場では、退院後の生活を見据えた支援ネットワークを把握するためにエコマップを使います。
入院中の医療チームとの関係は太い実線+片方向矢印
退院後に必要になるサービスを破線で描き、「まだつながっていない資源」として可視化
家族間の葛藤(治療方針の不一致など)はギザギザ線
障害者支援
当事者が主体的に参加しているサービスは双方向矢印
支援者からの一方的な支援は片方向矢印
当事者の意思に反して関わっている機関がある場合はギザギザ線
よくある間違いと注意点
間違い1:すべての線を同じ太さにする
線の太さに差をつけないと、関係の強弱が読み取れないエコマップになります。少なくとも「強い(太線)」「普通(通常線)」「弱い(破線)」の3段階は使い分けましょう。
間違い2:矢印の向きを逆にする
矢印は支援やエネルギーの流れの方向を示します。「ヘルパーが本人を支援している」場合の矢印はヘルパー → 本人です。逆にすると「本人がヘルパーを支援している」という意味になってしまいます。
間違い3:ギザギザ線を「弱い関係」に使う
ギザギザ線は「弱い関係」ではなく「葛藤・ストレスのある関係」です。弱い関係には破線を使います。ギザギザ線と破線を混同すると、支援の課題が正しく伝わりません。
間違い4:凡例を添えない
エコマップの線の使い方は機関によって多少の違いがあります。凡例(線の種類と意味の一覧)を必ず添えて、読み手が正しく解釈できるようにしましょう。
間違い5:線を引きすぎる
すべての社会資源に線を引く必要はありません。関わりがない、またはほぼ接点がない場合はあえて線を引かないことで「支援の空白」を可視化できます。
xGrapherでエコマップの線を描く
xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーでは、エコマップの線の表現に必要な機能がすべて揃っています。

線の種類: 実線・片方向矢印・両方向矢印をワンクリックで切り替え
破線・ギザギザ線: 関係線の種類から「疎遠」を選ぶと破線、「葛藤・対立」を選ぶとギザギザ線で描画される
線の太さ: サイドバーから自由に調整可能(1〜8pxの範囲)
線の色: カラーピッカーで好みの色に変更
ラベル: 線にテキストラベルを追加して関係の説明を記入
図形ノード: 社会資源を表す円・四角形・楕円・六角形などの図形を自由に配置
ジェノグラム(家族図)を中心に配置し、その周囲に図形ノードで社会資源を配置、矢印線で結ぶことで、ジェノグラムとエコマップを同一キャンバス上で一体的に作成できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. エコマップの線は何種類使えばよいですか?
実務では3〜4種類が適切です。太い実線(強い関係)・普通の実線(通常の関係)・破線(弱い関係)・ギザギザ線(葛藤のある関係)の4種類を基本とし、必要に応じて太さの段階を増やしてください。種類を増やしすぎると図が複雑になり、かえって伝わりにくくなります。
Q2. 矢印は必ず付けるべきですか?
必須ではありませんが、付けることが推奨されます。矢印があると「誰が誰を支援しているのか」「一方的な関係か相互的な関係か」が明確になり、支援計画の検討に役立ちます。すべての線に矢印を付ける必要はなく、方向性が重要な関係にだけ付ければ十分です。
Q3. ギザギザ線と破線の違いは何ですか?
破線は「弱い関係」、ギザギザ線は「葛藤のある関係」です。破線は関わりの頻度や深さが低いことを示し、ギザギザ線はストレスや対立があることを示します。たとえば「年に一度しか会わない親戚」は破線、「頻繁に顔を合わせるが対立がある隣人」はギザギザ線です。
Q4. 線の色に決まったルールはありますか?
統一された国際基準はありません。緑=良好、赤=葛藤、青=フォーマルなサービスという使い方が一般的ですが、機関ごとに異なる場合があります。色を使う場合は、必ず凡例を添えて意味を明記してください。モノクロ印刷の可能性がある場合は、線の太さと種類だけでも意味が伝わるようにしておくことが大切です。
Q5. 社会資源同士を線で結んでもよいですか?
エコマップの基本は中心人物と社会資源を結ぶ線ですが、社会資源同士の関係を示すために線を引くこともあります。たとえば「ケアマネジャーとデイサービスが連携している」ことを表現する場合です。ただし、線が増えすぎると図が見にくくなるため、本人を中心とした関係を優先しましょう。
まとめ
エコマップの線の種類と矢印の書き方のポイントは以下のとおりです。
太い実線 → 強い関係、普通の実線 → 通常の関係、破線 → 弱い関係、ギザギザ線 → 葛藤
線の太さで関係の強さを表し、線の種類で関係の質を表す
片方向矢印(→)は一方的な支援、双方向矢印(↔)は相互的な関係
矢先の方向が支援やエネルギーを受けている側を示す
ギザギザ線は「弱い関係」ではなく「ストレス・葛藤のある関係」
色の使い方は統一基準がないため、凡例を必ず添える
線は3〜4種類に絞り、シンプルで読みやすい図を心がける
エコマップの基本と書き方の手順はエコマップとは?書き方・記号の意味と作成手順を解説で解説しています。
実際にエコマップを作成するには、xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーをお試しください。線の太さ・種類・色・矢印をサイドバーから直感的に設定でき、ジェノグラムとエコマップを同じキャンバスで作成できます。

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