エコマップとは?書き方・記号の意味と作成手順を解説

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「エコマップって何?ジェノグラムとどう違うの?」「線の太さや種類にはどんな意味があるの?」そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

エコマップは、支援が必要な人と周囲の社会資源との関係を一枚の図で可視化できるアセスメントツールです。

この記事では、エコマップの基本的な意味から記号・線の種類、具体的な書き方の手順までわかりやすく解説します。

エコマップとは

エコマップ(Ecomap)とは、個人や家族を中心に、周囲の社会資源(人・機関・サービス)との関係性を図で表したものです。日本語では「生態図」「生態地図」とも呼ばれます。

[エコマップの例]

中心に本人や家族を配置し、その周囲に関わりのある人物や機関を円で描き、線の太さや種類で関係の強さや質を表現します。これにより、「どこから支援を受けているか」「どの関係に課題があるか」「支援の空白はどこか」が一目で把握できます。

エコマップの歴史

エコマップは、1975年にソーシャルワーカーのアン・ハートマン(Ann Hartman)がミシガン大学で考案しました。公的福祉の現場で、家族のニーズを視覚的に把握するためのツールとして開発されたのが始まりです。

ハートマンは1978年に論文「Diagrammatic Assessment of Family Relations」を発表し、エコマップの理論と手法を体系化しました。その後、ジョーン・レアード(Joan Laird)やマーク・マッタイーニ(Mark Mattaini)らによって手法が発展し、ソーシャルワークだけでなく看護・心理・教育など幅広い分野に広がりました。

エコマップの理論的基盤は家族システム理論にあります。個人を単独ではなく、周囲の環境(エコロジカルシステム)との相互作用のなかで理解するという考え方です。「エコマップ」の名称も、ecology(生態学)とmap(地図)を組み合わせた造語です。

エコマップの名称

エコマップの英語表記はEcomap(またはEco-map)です。以下の名称で呼ばれることもあります。

名称

説明

生態図

最も一般的な日本語訳

生態地図

ecologicalの訳を強調した呼び方

社会関係図

社会資源との関係に焦点を当てた呼び方

エコロジカルマップ

英語名をそのままカタカナにした呼び方

エコマップの記号と線の種類

エコマップでは、線の太さ・種類・矢印で関係性の強さや質を表現します。ジェノグラムほど記号が複雑ではなく、シンプルなルールで構成されています。

中心に描く要素

エコマップの中心には、支援対象となる本人や家族を配置します。

要素

描き方

本人(中心人物)

二重円(◎)または二重四角で描く

家族

ジェノグラム(家族図)を簡略化して配置。男性は□、女性は○

家族全体

大きな円で家族全体を囲むこともある

中心にジェノグラムを配置し、その周囲にエコマップを描くことで、家族内部の関係(ジェノグラム)外部環境との関係(エコマップ)を1枚の図で表現できます。

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周囲に描く社会資源

中心の家族の周囲に、関わりのある社会資源を円で配置します。社会資源とは、本人や家族の生活に関わるすべての人・機関・サービスを指します。

社会資源の例

具体例

家族・親族

祖父母、きょうだい、おじ・おば

友人・知人

親しい友人、近所の人

医療機関

かかりつけ医、病院、訪問看護

福祉サービス

デイサービス、ヘルパー、ケアマネジャー

教育機関

学校、保育園、塾

職場

会社、上司、同僚

地域

自治会、民生委員、ボランティア

行政

市区町村の窓口、児童相談所

宗教・趣味

教会、サークル、習い事

社会資源は大きめの円で描き、中に名称を記入します。重要度や関係の強さに応じて、中心からの距離を調整しましょう。関係が密なものほど中心に近く配置するのが一般的です。

線の種類と意味

エコマップの核心は線の表現です。線の太さ・種類・矢印で関係の質と方向を表します。

線の種類

意味

太い実線

強い関係・密接なつながり

普通の実線

通常の関係

細い実線・破線

弱い関係・希薄なつながり

ギザギザ線(もしくは波線)

ストレスのある関係・葛藤・対立

線なし(空白)

関係がない・つながりが断たれている

矢印の意味

線に矢印を加えることで、関係の方向性(支援の流れ)を表現できます。

矢印の種類

意味

片方向矢印(→)

一方的な支援・働きかけ(例:ヘルパー → 本人)

双方向矢印(↔)

相互的な関係・双方向の支援(例:友人 ↔ 本人)

矢印なし(─)

方向性を特定しない関係

矢印を使うことで、「支援を受けているだけの関係か」「お互いに支え合っている関係か」が視覚的にわかります。

線の色の使い分け(オプション)

線の色を使い分けることで、関係の種類をさらにわかりやすく表現できます。

意味(推奨)

良好な関係・ポジティブなつながり

葛藤・ストレスのある関係

フォーマルな関係(公的サービスなど)

グレー

希薄・中立的な関係

色の使い分けは統一されたルールがあるわけではないため、凡例(記号の説明)を添えることが推奨されます。

エコマップの書き方【5ステップ】

実際にエコマップを書く手順を、5つのステップで解説します。

ステップ1:中心人物・家族を配置する

まず、エコマップの中心に本人(支援対象者)や家族を配置します。

  • 本人だけを中心に置く場合は、二重円で描く

  • 家族全体を中心に置く場合は、簡略化したジェノグラムを描き、大きな円で囲む

中心を「誰」にするかで、エコマップの視点が変わります。「この人にとって周囲の環境がどうなっているか」を把握したい人物を中心にしましょう。

ステップ2:社会資源を周囲にリストアップする

中心人物に関わりのある社会資源をすべて洗い出し、周囲に円で配置します。

洗い出しのポイント:

  • フォーマルな資源: 医療機関、福祉サービス、学校、行政など

  • インフォーマルな資源: 家族、親族、友人、近所の人、ボランティアなど

  • 見落としがちな資源: ペット、趣味のサークル、宗教団体、オンラインコミュニティなど

この段階では漏れなく出すことが重要です。「関わりが弱い」ものも含めて書き出しましょう。

ステップ3:線で関係性を表現する

中心人物と各社会資源を線で結び、関係の強さと質を表現します。

  • 強い関係 → 太い実線

  • 通常の関係 → 普通の実線

  • 弱い関係 → 破線

  • 葛藤のある関係 → ギザギザ線

すべての社会資源に対して線を引く必要はありません。関係がない、またはほぼ接点がない場合は線を引かないことで「つながりの空白」を表現できます。

ステップ4:矢印で支援の流れを示す

各線に矢印を追加し、支援やエネルギーの流れの方向を示します。

  • 本人が一方的に支援を受けている → 社会資源 → 本人

  • 本人も相手に貢献している → 双方向矢印 ↔

  • 本人から一方的にエネルギーが流れている → 本人 → 社会資源

矢印を加えることで、「受け身の関係ばかりではないか」「本人が主体的に関わっている資源はあるか」が可視化されます。

ステップ5:全体を見直して仕上げる

最後に全体を俯瞰し、以下の点を確認します。

  • 支援の空白はないか: 線がつながっていない領域は、支援が届いていない可能性がある

  • 関係が偏っていないか: 特定の社会資源に依存しすぎていないか

  • 葛藤のある関係が多すぎないか: ギザギザ線が集中している場合は、ストレスの要因を整理する

  • 凡例を添えたか: 線の種類と意味の説明を添えると、第三者にも伝わりやすくなる

必要に応じて、社会資源の名称の横に補足情報(頻度や内容)を書き加えると、さらに実用的なエコマップになります。

エコマップとジェノグラムの違い

エコマップとジェノグラムは混同されがちですが、可視化する対象が異なるツールです。

比較項目

エコマップ

ジェノグラム

可視化する対象

家族と外部環境の関係

家族内部の関係

中心に置くもの

個人または家族全体

中心人物(IP)の家族構造

表現する関係

社会資源とのつながり

血縁・婚姻・感情関係

線の意味

関係の強さ・質・方向

関係の種類(婚姻・離婚・親密・葛藤など)

世代の表現

世代構造は問わない

3世代以上を描く

主な用途

支援ネットワークの把握

家族内の関係パターンの把握

考案者

アン・ハートマン(1975年)

マレー・ボーエンの研究が起源

簡単に言えば、ジェノグラムは「家族の中の関係」を可視化する図であり、エコマップは「家族と外の世界のつながり」を可視化する図です。

実務では両方を併用するのが一般的です。中央にジェノグラムを配置し、その周囲にエコマップを広げることで、家族内部と外部環境の両方を一枚の図で把握できます。

ジェノグラムの詳しい書き方はジェノグラムとは?書き方・記号の意味をわかりやすく解説をご覧ください。

エコマップの活用場面

エコマップは幅広い分野で活用されています。ここでは主な活用場面を紹介します。

支援計画の作成

エコマップを作成することで、支援の現状と課題が可視化されます。「どの社会資源からどのような支援を受けているか」「支援が届いていない領域はどこか」を把握した上で、支援計画を立てることができます。

多職種間の情報共有

複数の支援者が関わるケースでは、関係者全員が同じ全体像を共有することが重要です。エコマップがあれば、テキストの申し送りだけでは伝わりにくい関係の全体像を、初めて関わるスタッフにも素早く伝えられます。

支援の変化の記録

定期的にエコマップを更新することで、支援ネットワークの変化を時系列で追跡できます。「新しい社会資源がつながった」「特定の関係が希薄になった」といった変化が視覚的に確認でき、支援の効果測定にも役立ちます。

エコマップを作成できるツール

エコマップは紙とペンでも作成できますが、修正・共有・記録のしやすさを考えるとデジタルツールが便利です。

ブラウザで作れるエコマップメーカー

最も手軽なのは、ブラウザ上で動作する専用ツールです。 インストール不要ですぐに作成を始められます。

xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーは、エコマップの作成に必要な機能をすべて備えています。

主な特徴:

  • 登録不要・無料で利用可能

  • 中心人物の配置とジェノグラムの同時作成に対応

  • 社会資源を自由に配置(円形・四角形のノード)

  • 線の太さ・色・スタイル(実線/破線/点線)をカスタマイズ可能

  • 矢印の方向設定(片方向・双方向・なし)

  • テキストラベルで関係の説明を追加

  • PNG・JPEG・SVG形式で画像ダウンロード

  • ジェノグラムとエコマップを1つのキャンバスで同時に作成

xGrapherのジェノグラム・エコマップ作成画面

ジェノグラムとエコマップを別々のツールで作成する必要はありません。 同じキャンバス上で家族図と社会関係図を一体的に作成できます。

Excel・PowerPointで作る場合

ExcelやPowerPointの図形機能でもエコマップは作成可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 線の太さの段階的な変更が手間 — 関係の強弱を表現するには、線を1本ずつ太さを調整する必要がある

  • 矢印の方向変更が煩雑 — 支援の流れを変更するたびに線を引き直す必要がある

  • レイアウトの自由度が低い — 社会資源の追加・移動のたびに全体のバランスを取り直す手間が発生する

紙の報告書に印刷して挿入する場合はOffice系ツールも選択肢ですが、定期的に更新するエコマップには専用ツールの方が効率的です。

よくある質問(FAQ)

Q. エコマップにはどれくらいの社会資源を入れればいい?

5〜15個程度が見やすい範囲です。 少なすぎると全体像が把握しにくく、多すぎると図が煩雑になります。洗い出した社会資源のうち、支援に関わりの深いものを優先して描きましょう。関わりが極めて薄いものは省略しても構いません。

Q. エコマップの更新頻度はどれくらい?

支援の状況が変わったタイミングで更新するのが理想的です。 新しいサービスの利用開始、転居、家族構成の変化などがあった場合は更新しましょう。定期的に見直す場合は、3〜6ヶ月ごとの更新が一般的です。

Q. エコマップとジェノグラムはどちらを先に作る?

ジェノグラムを先に作成し、その後エコマップを追加するのが一般的です。 先に家族の構造と内部関係を把握してから、外部とのつながりを描くことで、全体像がスムーズに理解できます。xGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーなら、同じキャンバス上で両方を作成できます。

Q. エコマップの線の種類に決まったルールはある?

基本的なルール(太線=強い関係、破線=弱い関係、ギザギザ線=葛藤)は共通ですが、色の使い方や細かい線種については機関や地域によって多少の違いがあります。そのため、凡例(線の種類と意味の一覧)を必ず添えることが推奨されます。

まとめ

エコマップは、個人や家族と周囲の社会資源との関係を、線の太さ・種類・矢印で可視化する図です。1975年にアン・ハートマンによって考案され、現在では幅広い分野のアセスメントツールとして活用されています。

書き方の基本は、中心に本人・家族を配置 → 社会資源を周囲に描く → 線で関係性を表現 → 矢印で支援の流れを示す → 全体を見直すの5ステップです。

ジェノグラムが「家族内部の関係」を可視化するのに対し、エコマップは「家族と外の世界のつながり」を可視化します。両方を併用することで、支援の全体像を一枚の図で把握できます。

まずはxGrapherのジェノグラム・エコマップメーカーで、実際にエコマップを作成してみてください。ジェノグラムと同じキャンバス上で、社会資源との関係を直感的に描くことができます。

xgrapher

コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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