Excelで二重円グラフはどう作る?作成手順と、代替ツールを解説

「二重円グラフ」を使って、データの構成比や内訳を分かりやすく表現したいと考えたことはありませんか? しかし、いざExcelを開いてみても「二重円グラフ」という項目は見つからないはずです。
それもそのはず、一般的に「二重円グラフ」と呼ばれているものには、主に2つの種類があり、どちらもExcelでは少し工夫して作成する必要があります。
ドーナツグラフを2つ重ねたもの: 全体の構成比(外側)と、その中の一項目のさらに詳細な内訳(内側)を示す場合などによく使われます。
サンバーストチャート (Excel 2016以降): 複数の階層を持つデータを、中心から外側に向かって放射状に表現するグラフです。これも見た目が二重(あるいは三重以上)の円に見えます。
この記事では、Excelでこれら2種類の「二重円グラフ」を作成する具体的な手順と、Excelがなくてもっと手軽にグラフを作りたい方向けのオンラインツールをご紹介します。
この記事の内容(目次)
二重円グラフが活躍するシーン
なぜわざわざ二重円グラフを使うのでしょうか? それは、1つのグラフでより多くの情報と、データ間の関係性(全体と部分、親と子など)を視覚的に伝えられるからです。
ドーナツグラフ(重ね)の場合:
例:会社全体の売上構成比(外側)+その中の「関東地方」の売上内訳(内側)
例:アンケートの年代別回答比率(外側)+その中の「20代」の具体的な選択肢(内側)
このように、全体像を示しつつ、注目したい特定の部分を深掘りして見せたいときに便利です。
サンバーストチャートの場合:
例:商品の大分類→中分類→小分類別の売上
例:組織図(事業部→部→課)
このように、データの階層構造を直感的に示したい場合に最適です。
通常の円グラフでは1階層の割合しか示せませんが、二重円グラフなら、より複雑なデータの繋がりを表現できます。
Excelで作る方法①:ドーナツグラフを2つ重ねる
最もよくイメージされる「二重円グラフ」の作り方です。少し手順が多いですが、カスタマイズしやすいのが特徴です。
STEP 1: データの準備
まず、Excelシートに2種類のデータを用意します。
外側の円(全体)のデータ: 例:A部門 40%、B部門 30%、C部門 30%
内側の円(部分の内訳)のデータ: 例:A部門の内訳(a-1 20%, a-2 15%, a-3 5%)
ポイント: 内側の円の合計値(この例では 20+15+5=40%)が、外側の円の対応する項目(A部門 40%)と一致するようにデータを準備します。もし内訳が全体の一部でない場合は、外側の円の他の項目(B部門、C部門)と同じ場所に「ダミーデータ」として配置し、後で非表示にするテクニックも必要です。

STEP 2: 1つ目のドーナツグラフを作成
まず、外側の円(全体)のデータ(例:A列とB列)を選択します。
「挿入」タブ →「グラフ」→「円またはドーナツグラフ」→「ドーナツ」を選択します。
STEP 3: 2つ目のドーナツグラフを追加
作成したグラフを右クリックし、「データの選択」を選びます。
「データソースの選択」ダイアログで、「凡例項目(系列)」の「追加」ボタンを押します。
「系列名」は任意(例:「内訳」)、「系列値」に内側の円(部分の内訳)のデータ(例:D列の 20, 15, 5)を選択し、OKを押します。
上にある系列が円グラフでは内側に配置されます。
これだけで基本的な二重円グラフが完成します。

STEP 4: 見た目の調整
グラフタイトルを編集し、不要な凡例は削除します。各データに「データラベルの追加」を行い、項目名やパーセンテージを表示させると完成です。必要に応じて色も調整しましょう。
グラフを選択し「グラフのデザイン」たぶからスタイルを選択するといい活でスタイルが変更できます。
ドーナツの穴の大きさは円を右クリック>「データ系統の書式設定」から変更することができます。

この方法は少し手間がかかりますが、Excelでの基本的なグラフ操作に慣れている方にはおすすめです。Excelでのグラフ作成については、Excelでの円グラフの作り方の記事でも詳しく解説しています。
Excelで作る方法②:サンバーストチャートを使う
Excel 2016以降をお使いなら、もっと簡単に階層構造を示す「サンバーストチャート」が使えます。
STEP 1: データの準備
ドーナツグラフの時とは異なり、階層構造が分かるようにデータを準備します。
1列目:親カテゴリ(例:A部門, B部門)
2列目:子カテゴリ(例:a-1, a-2, b-1)
3列目:値(売上など)

STEP 2: グラフの挿入
準備したデータ範囲(見出し含む)を選択します。
「挿入」タブ →「グラフ」→「階層構造グラフの挿入」→「サンバースト」を選択します。

STEP 3: 見た目の調整
これだけで、自動的に階層構造が反映された二重(またはそれ以上)の円グラフが作成されます。あとはグラフタイトルを修正したり、配色を変更したりして見やすく整えれば完成です。

サンバーストチャートは、特に親子関係が明確なデータを可視化するのに非常に強力です。
Excel以外でも!オンラインツールで簡単に作成
ここまでExcelでの作成方法を紹介しましたが、「Excelの操作が複雑…」「もっと手軽に作りたい」「PCにExcelが入っていない」という方も多いかもしれません。
そんな時は、インストール不要のオンライングラフ作成ツール xGrapher が便利です。
xGrapher なら、ブラウザ上で直感的にデータを入力・編集するだけで、プロフェッショナルなグラフを素早く作成できます。

ドーナツグラフ(二重円グラフの代替)
xGrapherのツールを使えば、数クリックで美しいドーナツグラフが完成します。Excelのように「2つのグラフを重ねる」複雑な設定は不要です。
もし「全体」と「内訳」を同時に見せたい場合は、ドーナツグラフを2つ作成して並べて提示するのも、シンプルで分かりやすい方法です。
サンバーストチャート
xGrapherではサンバーストチャートも簡単に作成することができます。

その他、円グラフはExcelだけでなくPowerPointやWord、Googleスプレッドシートでも作成することができます。
二重円グラフを見やすく作るコツ
どの方法で作成するにしても、グラフは「伝わる」ことが最も重要です。二重円グラフを見やすく作るためのコツをいくつかご紹介します。
色を使いすぎない: カテゴリごとに色を変えるのは基本ですが、あまりにカラフルにしすぎると、かえって見づらくなります。同系色の濃淡で階層を表現する、強調したい部分だけ目立つ色にする、などの工夫が有効です。
ラベルは簡潔に: すべての項目に詳細なラベルを付けると、文字だらけでごちゃごちゃしてしまいます。パーセンテージだけ表示する、主要な項目だけ表示する、引き出し線を使うなどして、すっきりと見せましょう。
項目数を絞る: 特に内側の円の項目が多すぎると、細かすぎて読み取れません。目安として、多くても5〜7項目程度にし、それ以外は「その他」としてまとめる判断も必要です。
本当に二重円グラフが最適か考える: 階層構造や内訳を示すグラフは他にもあります。場合によっては、100%積み上げ棒グラフ(帯グラフ)やツリーマップの方が、データを正確に伝えられることもあります。
>> 詳細は割合の比較に最適なグラフの解説記事をご参照ください。
まとめ
「二重円グラフ」は、データの階層構造や全体と部分の内訳を示すのに便利な表現方法です。
Excelで作成する場合、正式なグラフ名はなく、以下の2つの方法が主流です。
ドーナツグラフを2つ重ねる: 手順は多いが、詳細な内訳を示すのに適している。
サンバーストチャート (Excel 2016~): 階層構造を簡単に可視化できる。
もしExcelの操作が難しいと感じたり、もっと手軽に美しいグラフを作成したい場合は、xGrapher のようなオンラインツールが非常に便利です。xGrapherの円グラフ/ドーナツグラフ作成機能や、代替案としてのバブルチャートもぜひ試してみてください。
目的に合わせて最適なグラフを選び、分かりやすい資料作成に役立てましょう。

二重円グラフに関するQ&A
Q1: Excelで「二重円グラフ」という項目が見つかりません。
A1: 「二重円グラフ」はExcelの正式なグラフ名ではありません。この記事で紹介したように、「ドーナツグラフ」を2つ重ねるか、「サンバーストチャート」(Excel 2016以降)機能を利用することで、二重円グラフと同様の見た目と機能を持つグラフを作成できます。
Q2: ドーナツグラフを2つ重ねるのがうまくいきません。
A2: いくつか原因が考えられます。
2つ目のデータ系列を追加した後、「データ系列の書式設定」で「第2軸」に設定(またはバージョンによっては不要)されていますか?
「ドーナツの穴の大きさ」を調整して、2つの円がうまく重なるサイズ(例:外側70%, 内側40%)に設定していますか?
元データが正しく(内訳の合計が外側の1項目と一致するなど)準備できていますか?
この記事の「Excelで作る方法①」の手順をもう一度確認してみてください。
Q3: サンバーストチャートとドーナツグラフ(二重)はどう使い分ければいいですか?
A3: ドーナツグラフ(二重)は、主に「全体の内訳」と「その中の特定の一項目の、さらに詳細な内訳」をセットで見せたい場合に適しています。サンバーストチャートは、「すべての項目」が持つ階層構造(例:大分類→中分類→小分類)を一覧で示したい場合に適しています。
Q4: もっと簡単に二重円グラフのようなものを作りたいです。
A4: Excelの操作が複雑だと感じる場合は、xGrapherのようなオンライングラフ作成ツールの利用をおすすめします。ブラウザ上で直感的にデータを入力するだけで、きれいなドーナツグラフを作成できます。
Q5: PowerPointやGoogleスプレッドシートでも作れますか?
A5: はい、作成可能です。PowerPointやWordでも、Excelのグラフ機能(オブジェクト)を挿入することで、本記事とほぼ同様の手順で作成できます。Googleスプレッドシートでも、ドーナツグラフを2つ作成し、設定を工夫して重ねる(またはサンバーストチャート機能を使う)ことで実現できます。詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
PowerPointでの円グラフ作成
Googleスプレッドシートでの円グラフ作成