エクセルの散布図がうまくいかない!原因別の対処法を徹底解説

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Excel(エクセル)はデータ分析や資料作成に欠かせないツールですが、グラフ作成、特に「散布図」を作ろうとしたときに、思った通りの形にならず困った経験はありませんか?

「X軸とY軸が逆になってしまった」
「なぜかデータが1点しか表示されない」
「折れ線グラフみたいになってしまう」

これらは、Excelで散布図を作成しようとした際によく聞かれるお悩みです。散布図は、2つの数値データの関係性(相関関係など)を見るのに非常に便利なグラフです。そもそも散布図がどのようなグラフか、その見方や活用シーンについて不安がある方は、散布図の基本的な解説記事も参考にしてみてください。

この記事では、Excelで散布図がうまくいかない主な原因と、それぞれの具体的な対処法をわかりやすく解説していきます。

>> Excelでの散布図の作成手順

【原因1】X軸とY軸が逆になってしまう

これは、Excelで散布図を作るときに最も多い失敗例かもしれません。X軸にしたいデータ(例:身長)がY軸に、Y軸にしたいデータ(例:体重)がX軸に表示されてしまう現象です。

原因:
Excelは基本的に、データ範囲の左側の列をX軸、右側の列をY軸として認識しようとします。そのため、データの並び順が意図したものと異となると、軸が逆転してしまいます。

対処法:
対処法は主に2つあります。

  1. 元のデータの列を入れ替える
    最も簡単な方法です。X軸にしたいデータをA列に、Y軸にしたいデータをB列に配置し直してから、グラフを作成します。

    X軸にしたいデータをA列に、Y軸にしたいデータをB列に配置
  2. グラフ作成後に「データの選択」で修正する
    すでにグラフを作ってしまった場合は、グラフを右クリックして「データの選択」を選びます。

    グラフを右クリックして「データの選択」をクリック

    表示されたダイアログボックスで、編集したい系列を選び「編集」ボタンをクリックします。

    編集したい系列を選び「編集」ボタンをクリック


    ここで「系列Xの値」と「系列Yの値」のセル範囲を、それぞれ正しく指定し直すことで、軸を入れ替えることができます。

    ここで「系列Xの値」と「系列Yの値」のセル範囲を、それぞれ正しく指定

【原因2】データが1点しか表示されない・系列が正しく認識されない

散布図を作ったはずなのに、点が1つしか表示されなかったり、データごとに点がプロットされず、意図しない系列に分かれてしまったりするケースです。

原因:
これは、Excelがデータ範囲を正しく認識できていないことが原因です。多くの場合、データ範囲の選択時に、X軸とY軸の「見出し(項目名)」まで含めて選択してしまっています。

Excelは見出し(例:「身長」「体重」)を数値データとして認識できないため、そこを除外してグラフを作成しようとした結果、うまく表示できなくなってしまうのです。

対処法:
グラフを作成する(または「データの選択」で指定する)際、X軸とY軸のデータ範囲は「数値の部分だけ」を選択してください。

X軸とY軸のデータ範囲は「数値の部分だけ」を選択

見出し(系列名)は、「データの選択」ダイアログボックス内の「系列名」の欄で別途指定することができます。

【原因3】X軸が「1, 2, 3…」の連番になってしまう

X軸に設定したい数値データ(例:気温)があるのに、グラフのX軸が「1, 2, 3, 4…」という単なる連番(項目)になってしまうことがあります。これは、Excelがデータを散布図としてではなく、「折れ線グラフ」のように解釈してしまった場合に起こります。

原因:
この現象は、主に以下の2つの理由で発生します。

  • X軸のデータが数値として認識されていない: X軸にしたい列のデータが、見た目は数字でも「文字列」として扱われている可能性があります。

  • グラフの種類選択の誤り: 「散布図」ではなく、「(マーカー付き)折れ線グラフ」を選択してしまっている。

対処法:

  1. データの形式を確認・修正する
    X軸にしたいデータのセルを選択し、ホームタブの「数値」グループで、形式が「数値」になっているか確認します。もし「文字列」になっていたら「数値」に変更してください。
    それでも直らない場合、データが全角数字になっていたり、不要なスペースが含まれていたりすることがあります。

    ホームタブの「数値」グループで、形式が「数値」になっているか確認
  2. グラフの種類の変更
    グラフを選択した状態で、「グラフのデザイン」タブから「グラフの種類の変更」を選びます。
    左側のメニューから「散布図」を選択し、右側で一番シンプルな「散布図」(マーカーのみ)を選び直してください。

    「散布図」(マーカーのみ)を選び直してください

【原因4】データに文字列や空白が含まれている

データの中に、測定ミスなどで「N/A」といった文字列や、空白セル(ブランク)が含まれていると、そのデータ点はグラフに表示されません。

原因:
散布図はX軸とY軸の両方に数値データがあって初めて1つの点をプロットできます。どちらか一方、あるいは両方が数値でない(文字列や空白である)場合、Excelはその点を描画できません。

対処法:

  1. データを修正する
    文字列や空白セルを、適切な数値(例えば「0」や平均値など、分析の目的に応じた値)に置き換えるか、その行(データ)ごと削除します。

  2. 空白セルの扱いを変更する(限定的)
    グラフを右クリックし「データの選択」を選び、ダイアログボックス左下の「非表示および空白のセル」ボタンをクリックします。
    ここで空白セルの扱いを「空白」や「0(ゼロ)でプロットする」などに変更できます。ただし、これは文字列データには適用されません。

    「非表示および空白のセル」ボタンをクリック

そもそもExcelで散布図を作るのが難しいと感じたら

ここまでExcelでの対処法を見てきましたが、「データの選択が面倒」「毎回、軸の設定でつまずく」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

Excelは高機能ですが、時としてグラフ作成の手順が複雑になることもあります。もし、もっと直感的に、素早く散布図を作りたい場合は、オンラインのグラフ作成ツールの利用も一つの選択肢です。

例えば、私たちが運営する xGrapher には、散布図を簡単に作成できる散布図作成ツールがあります。

xGrapherの特徴:

  • データの貼り付けが簡単: Excelやスプレッドシートからデータをコピー&ペーストするだけ。

  • 直感的な軸設定: X軸にどのデータを使うか、Y軸にどのデータを使うかをプルダウンメニューから選ぶだけで、グラフが即座に反映されます。

  • Web上で完結: ソフトのインストール不要で、誰でも無料ですぐに使い始められます。

xGrapherの散布図作成画面

Excelでの操作にストレスを感じている場合は、ぜひ一度xGrapherのような専用ツールもお試しください。

散布図に関するよくある質問(Q&A)

Q1: Excelで散布図に近似曲線(回帰直線)を追加するには?

A1: 作成した散布図のデータ点を右クリックし、「近似曲線の追加」を選択します。「線形近似(直線)」や「多項式近似」など、データの傾向に合った種類を選べます。

「近似曲線の追加」を選択

Q2: 2つ以上のデータ系列(グループ)を1つの散布図に表示するには?

A2: グラフを右クリックし「データの選択」を開きます。「系列」のボックスで「追加」ボタンを押し、新しい系列の名前、Xの値、Yの値をそれぞれ指定します。これを系列の数だけ繰り返します。

データの選択」を開きます。「系列」のボックスで「追加」ボタン
新しい系列の名前、Xの値、Yの値をそれぞれ指定

Q3: 散布図の点の形や色を変えたいです。

A3: 変更したいデータ系列の点をクリック(系列全体が選択されます)し、右クリックから「データ系列の書式設定」を選びます。バケツのアイコン(塗りつぶしと線)からマーカーの色や枠線、マーカーのオプションで形(丸、四角など)やサイズを変更できます。

変更したいデータ系列の点をクリック(系列全体が選択されます)し、右クリックから「データ系列の書式設定」

Q4: X軸やY軸の最小値・最大値を変更するには?

A4: 変更したい軸(X軸またはY軸)を右クリックし、「軸の書式設定」を選択します。「軸のオプション」で「境界値」の「最小値」と「最大値」に任意の数値を入力します。

「境界値」の「最小値」と「最大値」に任意の数値を入力

Q5: 散布図と折れ線グラフの違いがわかりません。

A5: 散布図は、2つの数値データ(例:身長と体重)の関係性を見るために使います。X軸もY軸も数値です。一方、折れ線グラフは、主に時系列(例:日付ごとの売上)の変化を見るために使います。X軸は通常、日付や時刻、項目などの「順番」を表し、Y軸がその「量」を表します。
>> 折れ線グラフについての解説記事

まとめ

この記事では、Excelで散布図がうまくいかない時によくある原因と、その具体的な対処法を解説しました。

  • X軸とY軸が逆になる → 元データの列を入れ替えるか、「データの選択」で修正

  • 点が表示されない・少ない → 見出しを含めず、「数値データだけ」を選択する

  • X軸が連番になる → データの形式を「数値」にし、グラフの種類を「散布図」に指定

  • 点が欠ける → 文字列や空白セルを修正する

Excelで散布図を正しく作成するには、「X軸のデータを左列に置く」「データ範囲は数値のみを選ぶ」「セルの表示形式を'数値'にする」といった、Excel特有のルールを理解しておくことが重要です。

もし、これらの操作がやはり難しい、あるいはもっと素早く直感的にグラフを作成したいという場合は、xGrapherのようなオンラインツールもおすすめです。

xGrapher紹介画像

Excelでの散布図作成の基本的な流れについては、Excel(エクセル)で散布図を作成する方法の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

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コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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