Excelで箱ひげ図を作成する方法を徹底解説!簡単な作り方も紹介

「手元のデータをExcelでまとめているけれど、グループ間のばらつきや分布を視覚的に比較したい…」そんな悩みを抱えていませんか?
「箱ひげ図(Box Plot)」は、まさにそうしたデータの分布やばらつきを比較するのに最適なグラフです。複数のグループの最小値、最大値、中央値、四分位数を一覧でき、データセットの全体像を直感的に把握できます。
しかし、いざExcelで作成しようとすると「どのメニューから作ればいいの?」「自分のExcelのバージョンでも作れる?」「作った後のグラフの調整方法は?」と戸惑う方も多いようです。
この記事では、Excelを使って箱ひげ図を作成する具体的な手順から、作成したグラフの正しい見方、色分けや散布図の重ね合わせといったカスタマイズ方法、そして古いバージョンのExcelでの代替策まで、わかりやすく解説します。
この記事の内容(目次)
そもそも「箱ひげ図」とは?
箱ひげ図は、データのばらつきを視覚的に表現するグラフの一種です。主に以下の5つの数値(五数要約)を使って、データの分布を示します。
最小値 (Minimum)
第1四分位数 (Q1): データ全体を小さい順に並べたとき、下から25%にあたる値
中央値 (Median / Q2): データの中央にあたる値 (50%)
第3四分位数 (Q3): データ全体を小さい順に並べたとき、下から75%にあたる値
最大値 (Maximum)
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箱(Box)の部分がデータの中心的な50%(Q1からQ3)の範囲を、ひげ(Whisker)がそれ以外の分布の広がりを示します。
複数のグループのデータを並べて比較する際に非常に強力で、「AグループはBグループより全体的に数値が高い」「Cグループは他のグループよりデータのばらつきが大きい」といったことを一目で把握できます。
より詳しい定義や使われ方については、こちらの記事(箱ひげ図とは?見方やメリット、作成方法をわかりやすく解説)でも解説しています。
Excelで箱ひげ図を作成する前のデータ準備
Excelでスムーズに箱ひげ図を作成するには、元となるデータの形式が重要です。

最も一般的なのは、比較したいグループごとに列を分けてデータを縦に並べる方法です。例えば、3つのクラス(1組、2組、3組)のテストの点数を比較したい場合、A列に1組の点数、B列に2組の点数、C列に3組の点数をそれぞれ入力します。
このようにデータを整えておくことで、Excelが各列を一つのグループとして認識し、自動的に箱ひげ図を生成してくれます。
【Excel 2016以降】標準機能での作り方(ステップバイステップ)
Excel 2016、Excel 2019、Excel 2021、およびMicrosoft 365のExcelでは、箱ひげ図が標準のグラフ機能として搭載されています。非常に簡単なステップで作成可能です。
データ範囲の選択
作成したデータ(見出し行も含む)をドラッグして選択します。
グラフの挿入メニューを開く
Excelの上部リボンから「挿入」タブをクリックします。「統計グラフ」の選択
「グラフ」セクションにある「統計グラフの挿入」(滝グラフやヒストグラムが描いてあるアイコン)をクリックします。「箱ひげ図」を選択
ドロップダウンメニューから「箱ひげ図」を選択します。

これだけの操作で、選択したデータに基づいた箱ひげ図がシート上に表示されます。

作成した箱ひげ図をカスタマイズする
Excel 2016以降で作成した箱ひげ図は、デフォルトのままでも十分ですが、いくつかの調整を加えることで、より情報を読み取りやすく、伝わりやすいグラフにできます。
グラフの色をグループごとに変更する(色分け)
複数のグループ(例:1組、2組、3組)を比較している場合、デフォルトではすべての箱が同じ色(通常は青)で表示されます。これをグループごとに色分けすると、視覚的な区別がつきやすくなります。
グラフ全体をクリックして選択します。
色を変更したい「箱」の部分を2回クリックします。(1回のクリックだと全ての箱が選択されてしまうため、少し間を置いて目的の箱だけをクリックするのがコツです)
目的の1つの箱だけが選択された状態で、右クリックして「データ系列の書式設定」を選択します。(または「書式」タブの「選択対象の書式設定」)

「塗りつぶし」メニューから、好きな色を選択します。

同様の操作を他のグループの箱にも繰り返します。
外れ値の表示/非表示と設定
箱ひげ図は、他のデータから極端に離れた「外れ値」を点で示してくれます。この外れ値の扱いは分析において重要です。

グラフのいずれかの箱をクリックし、データ系列全体を選択します。
右クリックして「データ系列の書式設定」を選択します。
「系列のオプション」が表示されます。ここで様々な設定が可能です。

外れ値の表示: 「特異ポイントを表示する」のチェックボックスで、外れ値を点として表示するかどうかを切り替えられます。分析の目的に応じて使い分けましょう。

四分位数の計算: 「四分位数計算」の項目で、「包括的中央値」と「排他的中央値(外れ値を除外した中央値)」を選べます。データの個数によってQ1やQ3の計算方法がわずかに変わるためですが、通常はデフォルト(排他的)のままで問題ありません。(※これが実質的な外れ値の計算(設定)基準の変更になります)
データポイント(散布図)を重ねて表示する
箱ひげ図はデータの要約(五数要約)を示すため、個々のデータがどこにあるかは通常見えません。「データがどのあたりに密集しているか」をより詳細に知りたい場合、元のデータポイント(散布図)を重ねて表示すると便利です。
Excelの標準機能では、簡易的にデータポイントを表示するオプションがあります。
上記の「データ系列の書式設定」パネルを開きます。
「系列のオプション」の中にある「内部ポイントを表示する」にチェックを入れます。

これにより、箱ひげ図の「ひげ」の範囲内にあるデータが点として表示されます(外れ値は別で表示されます)。データの密度を把握するのに役立ちます。
ただし、Excelのこの機能では点が縦一列に並んでしまい、データが重なると見にくい場合があります。
【Excel 2013以前】標準機能がない場合の代替策
Excel 2013、2010、2007などの古いバージョンには、残念ながら箱ひげ図をワンクリックで作成する機能が搭載されていません。
これらのバージョンで作成するには、「積み上げ縦棒グラフ」と「誤差範囲(エラーバー)」を組み合わせて擬似的に作成する必要があります。
この方法は、まずQ1、中央値、Q3などの統計量を自分で計算し(QUARTILE関数などを使用)、それらを元に複雑なグラフ設定を行うため、非常に手間がかかります。
(簡易的な手順の紹介)
MIN,QUARTILE,MEDIAN,MAX関数で各グループの統計量を算出する。Q1、(中央値-Q1)、(Q3-中央値)などの差分を計算する表を別途作成する。
その表を元に「積み上げ縦棒グラフ」を作成する。
下部の箱(Q1までの部分)を「塗りつぶしなし」にする。
「誤差範囲」機能を使って「ひげ」を追加する。
...など、非常に複雑な手順が必要です。正直なところ、この作業はExcelに慣れた人でも時間がかかり、ミスも起きやすいため、あまりおすすめできません。
古いバージョンのExcelをお使いの場合は、後述するオンラインツールなど、他の方法を検討する方が効率的です。
Excelで作成した箱ひげ図の「見方」と「読み解き方」
グラフは作成して終わりではなく、そこから情報を読み取ることが最も重要です。Excelで作成した箱ひげ図の注目ポイントを解説します。

箱の位置(中央値): 箱の中央にある実線は中央値を示します。この位置が高いほど、そのグループのデータが全体的に高い傾向にあることを意味します。(※「x」印は平均値です)
箱の長さ(IQR): 箱の長さ(Q1からQ3までの距離)は、データの中央50%がどの範囲に収まっているかを示します。この箱が短いほど、データのばらつきが小さい(値が中央に密集している)ことを表します。
ひげの長さ: ひげの長さは、全体の分布の広がりを示します。片方のひげだけが極端に長い場合、その方向にデータが偏っている(裾が長い)可能性があります。
外れ値(点): 箱やひげから離れた場所に表示される点(・)は「外れ値」です。これは、他の大多数のデータから極端に離れた値があることを示しており、分析の際に注目すべき異常値である可能性があります。
内部ポイント(散布図): カスタマイズで「内部ポイントを表示する」に設定した場合、点が密集している箇所と疎らな箇所から、データの密度を読み取ることができます。
複数の箱を比較することで、「Aクラスは平均的に点数が高いが、Bクラスは高得点層と低得点層の差が激しい」といった、平均値だけではわからないデータの「分布」の違いを深く理解できます。
箱ひげ図とヒストグラムはどう使い分ける?
データの分布を見るグラフとして「ヒストグラム」もよく使われます。これらはどう使い分ければよいのでしょうか?
箱ひげ図: 複数のグループ間で分布を比較するのに適しています。
ヒストグラム: 単一のグループ内のデータの形状(山がいくつあるか、どの値に集中しているか)を詳細に見るのに適しています。

例えば、「3クラスの点数を比較したい」なら箱ひげ図が最適です。
一方、「1組のクラスだけの点数分布が、30点台と70点台の二つの山に分かれていないか詳しく見たい」ならヒストグラムが適しています。
両者の使い分けについては、こちらの記事(ヒストグラムと箱ひげ図の違いとは?使い分けを徹底解説)でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
Excelより簡単!オンラインツールxGrapherでの作成
ここまでExcelでの作成方法を紹介してきましたが、
「Excel 2013以前を使っているから標準機能がない…」
「Excel 2016以降だけど、カスタマイズが面倒…」
「作成したグラフをWebページやレポートに簡単に貼り付けたい」
と感じる方もいるかもしれません。
そんな方には、Webブラウザ上で簡単に高機能なグラフが作成できるオンラインツール xGrapher がおすすめです。
xGrapherなら、Excelで作成したデータをコピー&ペーストするだけで、自動的に美しい箱ひげ図が生成されます。
さらに、Excelでは設定が難しいカスタマイズも簡単です。
散布図(ジッタープロット)の重ね合わせ: Excelでは難しい、データポイントが重ならないように横にずらして表示する「ジッタープロット」もワンクリックで重ねられます。データの密度がより明確にわかります。
平均値・外れ値の表示: 中央値だけでなく、平均値や外れ値もオプションで追加表示することも簡単です。
色の変更: 簡単にきれいな図を作成することができます。

Excelでのグラフ作成に手間取っている方は、ぜひ一度xGrapherのシンプルさと高機能さを体験してみてください。
まとめ
この記事では、Excelで箱ひげ図を作成する方法について、バージョン別の手順やカスタマイズ方法、データの見方まで幅広く解説しました。
Excel 2016以降では、「挿入」→「統計グラフ」から簡単に作成できます。
グラフのカスタマイズも「データ系列の書式設定」から可能で、色分け、外れ値の表示/非表示、散布図(内部ポイント)の重ね合わせが設定できます。
Excel 2013以前では標準機能がなく、作成は非常に複雑です。
箱ひげ図は、データのばらつきや複数グループの比較に非常に強力なグラフです。
Excelでの作成が難しい場合や、より手軽に高機能なグラフを作りたい場合は、xGrapherのようなオンラインツールが非常に便利です。
データの分布を正しく理解し、説得力のあるデータ分析に役立てましょう。

「Excelと箱ひげ図」に関するQ&A
Q1: Excel 2010や2013で、どうしても箱ひげ図を作りたいです。簡単な方法は?
A1: 残念ながら、Excel 2010や2013には簡単な作成方法はありません。前述の通り「積み上げ棒グラフ」で擬似的に作成する方法はありますが、非常に複雑です。最も簡単な方法は、xGrapherのような無料のオンラインツールにデータをコピーして作成し、その結果(画像)をExcelに貼り付けることです。
Q2: Excelの箱ひげ図で「ひげ」が何を指しているか、定義を変更できますか?
A2: Excel 2016以降では、ひげの計算基準(四分位数の計算方法)を「データ系列の書式設定」で「包括的中央値」と「排他的中央値」から選択できます。これにより、ひげの長さや外れ値として判定される基準がわずかに変わります。一般的にはデフォルトの「包括的」が広く使われています。
Q3: データが1グループ(1列)だけでも箱ひげ図は作れますか?
A3: はい、作れます。Excelで1列のデータを選択して箱ひげ図を作成すれば、その単一のデータセットの分布(中央値、ばらつき、外れ値など)を視覚化できます。
Q4: 箱ひげ図に「平均値」も表示できますか?
A4: はい、Excel 2016以降の標準機能では、中央値(実線)と別に「平均値」(Excelでは「x」印で示されることが多い)もデフォルトで表示されます。もし表示されていない場合は、「データ系列の書式設定」の「系列のオプション」にある「平均マーカーを表示する」にチェックを入れてください。

Q5: スマホ版(モバイル版)のExcelアプリでも箱ひげ図は作れますか?
A5: 2024年現在、モバイル版Excelアプリ(iOS/Android)では、箱ひげ図の「閲覧」は可能ですが、「新規作成」機能は搭載されていません(または非常に限定的です)。PC版のExcel(2016以降)またはWeb上のグラフ作成ツールを使用するのが確実です。
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