フローチャート記号の意味と使い方一覧 | 基本から応用まで徹底解説

フローチャート(流れ図)は、業務プロセスやプログラムの処理手順を、視覚的にわかりやすく表現するための図です。そして、その「視覚的な表現」の核となるのが、特定の意味を持つ図形(記号)と、それらをつなぐ線です。
「四角形は処理」「ひし形は判断」といったように、記号ごとに役割が決められています。なぜ、わざわざ記号を統一する必要があるのでしょうか?
それは、誰が見ても同じ意味として理解できるようにするためです。
もし、人によって使う記号がバラバラだったら、せっかく作成したフローチャートも正しく意図が伝わらず、かえって混乱を招いてしまいます。特に、業務の引き継ぎやシステムの設計図として使う場合、この「共通言語」としての役割は非常に重要です。
この記事では、フローチャート作成に欠かせない基本的な記号から、実務で役立つ応用的な記号まで、その意味と使い方を網羅的に一覧で解説します。
この記事の内容(目次)
【一覧】これだけは押さえたい!基本的なフローチャート記号
まずは、どのようなフローチャートを作成する上でも必ずと言っていいほど使用される、最も基本的な記号を紹介します。これら5つさえ覚えておけば、簡単なプロセスは十分に表現できます。
1. 端子(開始・終了)

形状: 角の丸い四角形(丸みのある長方形、カプセル型)
意味: プロセスの「開始」と「終了」を示します。
使い方: フローチャートの最初と最後に必ず配置されます。「開始」「終了」「Start」「End」などのテキストを記号内に入れます。
2. 処理(プロセス)

形状: 長方形
意味: 計算、データの移動、値の代入など、具体的な作業や処理を示します。
使い方: フローチャートの中で最もよく使われる記号です。「〇〇を計算する」「データを保存する」など、具体的な操作内容を簡潔に記します。
3. 判断(分岐)

形状: ひし形
意味: 条件分岐を示します。ここでプロセスが分かれます。
使い方: 記号の中には「〇〇はYesか?」「A > Bか?」といった判断条件を書きます。記号から出る線には「Yes」「No」や「はい」「いいえ」といった条件の結果を明記し、その後の流れを示します。
4. データ入出力

形状: 平行四辺形
意味: データや情報の入力(インプット)または出力(アウトプット)を示します。
使い方: 種類を問わず、一般的なデータの入出力に使います。「データを入力する」「結果を出力する」など、外部とのやり取りが発生する箇所で使用します。
5. 線(流れ線)

形状: 矢印(または単なる線)
意味: プロセスの流れの方向を示します。
使い方: 記号と記号を繋ぎます。上から下、左から右への流れが基本です。方向性がわかりづらい場合は単なる線ではなく矢印とすることが推奨されます。
【一覧】実務で役立つ!応用フローチャート記号
基本的な記号に加え、これらを使いこなせると、より具体的で分かりやすいフローチャートが作成できます。システム設計や複雑な業務フローを記述する際に頻繁に使われる、実用的な記号を集めました。
処理・操作に関する記号
6. 定義済み処理

形状: 左右に縦線を引いた長方形(二重線長方形)
意味: 別の場所で定義されている、一連のまとまった処理(サブルーチンや別フロー)を呼び出すことを示します。
使い方: メインのフローチャートをシンプルに保ちたい時や、繰り返し登場する処理をまとめる時に使います。「顧客情報チェック処理」など、まとまった処理名を記します。
7. 準備

形状: 六角形
意味: 処理の準備や初期設定、カウンタの初期化などを示します。
使い方: プログラムフローにおいて、繰り返しの(ループ)の準備(例:「iを1に設定」)や、後続の処理に必要な準備作業を示すために使われます。
8. 手作業

形状: 台形(上底が短い)
意味: コンピュータなどを使わない、人間の手による作業を示します。
使い方: 業務フローで非常によく使われます。「電話をかける」「書類を封入する」「梱包する」など、物理的な作業や手動での操作を表す際に用います。
9. 繰り返し


形状: 6角形
意味: 繰り返しの開始と終了の範囲を示すために使われます。
使い方: 「準備」記号と組み合わせて使うことが多く、ループの開始点と終了点に配置し、どの範囲が繰り返し処理なのかを明示します。
10. 遅延・延期

形状: 右側が半円の長方形(D型)
意味: プロセスが一時的に停止または待機することを示します。
使い方: 「承認待ち」「データ受信待ち」など、次のステップに進む前に時間的な遅延や待機が発生する箇所で使用します。
11. 並行処理

形状: 水平な2本の線
意味: 2つ以上のプロセスが同時に実行可能であることを示します。
使い方: 流れが分岐する場所にこの記号を置き、そこから複数の処理に線を繋げます。すべての並行処理が終わった後に再び合流させる記号(逆向きの2本線)とセットで使うこともあります。
データ・入出力に関する記号
12. データベース

形状: 円柱形(縦置きまたは横置き)
意味: データベースやハードディスクなど、外部記憶装置へのアクセス(データの読み書き)を示します。
使い方: システムフローで必須です。「顧客DBからデータを取得」「注文DBにデータを保存」など、データが保存・参照される箇所で使います。
13. 書類

形状: 下部が波打った長方形
意味: 帳票、レポート、伝票などの紙の書類(または電子的なドキュメント)の出力を示します。
使い方: 「請求書を発行する」「報告書を作成する」など、成果物として書類が関わる場合に使います。「データ入出力」(平行四辺形)よりも具体的です。
14. 表示

形状: ブラウン管テレビのような形(D型に似ているが、一方が尖っている)
意味: 情報を画面に表示することを示します。
使い方: 「エラーメッセージを表示」「結果を画面に出力」といった、システムが人間に情報を提示する場面で使います。
15. 内部記憶

形状: 長方形(「処理」と同じ形状が多い)
意味: コンピュータの内部メモリにデータを一時的に保存することを示します。
使い方: 「処理」と区別して、特にメモリ上の操作であることを明示したい場合に使いますが、実務では「処理」記号で代用されることも多いです。
16. 手作業入力

形状: 上辺が斜めになった四角形(キーボードのようにも見える)
意味: キーボードやテンキーなど、人間が手動でデータを入力することを示します。
使い方: 「IDとパスワードを入力」「顧客情報を入力」など、オペレーターによる具体的な入力操作を示す際に使います。
17. カード

形状: 左上が斜めに切り取られた長方形
意味: パンチカードや伝票など、カード型の媒体を示します。
使い方: 現在では物理的なパンチカードは稀ですが、帳票や伝票、特定のフォームを示す記号として使われることがあります。
流れの制御に関する記号
18. 結合子(オンページ)

形状: 小さな円
意味: フローチャートが同じページ内で複雑に交差しそうな場合に、流れを一度中断し、別の場所へ繋げるために使います。
使い方: 流れを中断する側(線の終端)と、再開する側(線の先端)の円の中に、同じ文字や番号を書き、流れが続くことを示します。
19. 結合子(オフページ)
.png&w=3840&q=75)
形状: ホームベース型(五角形)
意味: フローチャートが複数ページにわたる場合に、別のページへ流れを繋げるために使います。
使い方: オンページ結合子と同様に、対応する記号内に同じ番号やページ番号を書き、流れを追えるようにします。
記号だけじゃない?フローチャート作成の基本ルール
正しい記号を使うことは重要ですが、それだけでは「わかりやすいフローチャート」にはなりません。以下の基本ルールも守りましょう。
流れは「上から下」・「左から右」へ: これが基本の原則です。読み手の視線が迷わないようにします。

線は交差させない: やむを得ない場合を除き、流れ線がクロスすると非常に見づらくなります。記号の配置を工夫するか、「結合子」を使いましょう。

開始と終了は明確に: 「開始」記号は1つ、「終了」記号は最低1つ(分岐によっては複数)必要です。
記号の大きさは揃える: 見た目の美しさも重要です。記号のサイズを統一すると、スッキリとして読みやすくなります。(フローチャートの色使いも意識すると尚良いでしょう。)
簡潔な言葉を使う: 記号の中に書き込むテキストは、長くしすぎず、何を指しているか明確な言葉を選びます。
これらのルールを守ることで、様々な種類のフローチャート(例:業務フロー、システムフローなど)を、より正確に、より分かりやすく伝えることができます。
フローチャート記号を覚えたら、ツールで実践してみよう
これだけ多くの記号を覚えたら、実際に手を動かして作成してみるのが一番の近道です。
手書きですべての記号を正確に描くのは大変ですが、専用のフローチャート作成ツールを使えば、記号を一覧から選ぶだけで簡単に配置できます。
オンラインツールの「xGrapher」なら、Webブラウザ上で直感的にフローチャートを作成できます。
ドラッグ&ドロップで簡単操作: 今回学んだ基本記号から応用記号まで、必要な記号を一覧から選んで配置するだけ。
自動で線を整列: 記号を動かしても線が自動で追従し、きれいなレイアウトを保てます。
豊富なテンプレート: すぐに使えるテンプレートも用意しています。

xGrapherを使えば、今回学んだ記号をすぐに実践で活用し、プロフェッショナルなフローチャート作成を始めることができます。
まとめ
フローチャートの記号は、プロセスや手順を正確に伝えるための「共通言語」です。
[この記事で紹介したフローチャートの記号一覧]

基本記号(端子、処理、判断、入出力)をまず押さえる。
必要に応じて応用記号(定義済み処理、データベース、手作業、書類、結合子など)を使い分ける。
記号だけでなく、「上から下へ」などの基本ルールも守る。
これらのポイントを意識するだけで、誰が見ても分かりやすい、伝わるフローチャートを作成することができます。ぜひ、xGrapherのようなツールを活用して、業務の可視化や設計に役立ててください。
(フローチャートの基本についてもっと知りたい方は、「フローチャートの基本」の解説ページも併せてご覧ください。)

フローチャート記号に関するQ&A
Q1. こんなに多くの記号をすべて覚える必要はありますか?
A1: いいえ、すべてを暗記する必要はありません。最も重要なのは、記事の前半で紹介した「基本的な記号(端子、処理、判断、入出力)」です。まずはこれらを使いこなすことを目指しましょう。データベースや手作業、書類といった応用記号は、特定の業務(システム設計やマニュアル作成など)で必要になった際に、この記事のような一覧を見返して確認すれば十分です。
Q2.「データ入出力」と「書類」と「表示」はどう使い分けますか?
A2: 「データ入出力」(平行四辺形)は、最も汎用的な入出力を示します。媒体(メディア)を特定しない場合に便利です。一方、「書類」(下部が波形)は紙やPDFなどのドキュメント、「表示」(テレビ画面形)はモニターへの表示と、それぞれ特定の出力先を明示したい場合に使います。より具体的に表現したいときに使い分けると良いでしょう。
Q3.「判断」のひし形から出る線は、常に「Yes/No」の2本ですか?
A3: 「Yes/No」の2分岐が最も一般的ですが、必ずしもそうとは限りません。例えば、「A, B, Cのどれか?」といった3つ以上の選択肢に分岐することも可能です。その場合、ひし形から複数の方向に線を出し、それぞれに「Aの場合」「Bの場合」「Cの場合」といったラベルを付けます。
Q4.「手作業」と「手作業入力」はどう使い分けますか?
A4: 「手作業」(台形)は、物理的な作業や手動の操作全般を指します(例:「電話をかける」「梱包する」)。一方、「手作業入力」(上辺が斜めの四角形)は、キーボードやデバイスを使って人間がシステムに「データを入力する」操作に特化して使います(例:「IDを入力」)。
Q5. フローチャートの線がどうしても交差してしまいます。
A: フローチャートでは、流れ線を交差させないのが原則です。線が複雑に入り組んで見にくくなる場合は、「結合子(オンページ)」(円)を使いましょう。線を一度中断し、同じ記号(例:'A')を付けた別の結合子から流れを再開させることで、線をジャンプさせることができ、図全体がスッキリします。
特に複数の結合子がある場合、どこからどこにジャンプするのかを一目でわかりやすくするため色分けするのもおすすめです。
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)
&w=3840&q=75)