【フローチャート記号解説】「結合子」の正しい使い方とは?

フローチャートを作成していて、こんな悩みに直面したことはありませんか?
「分岐やループが増えて、線(矢印)があちこちで交差してしまう」
「図が大きくなりすぎて、1ページに収まりきらない」
「戻る矢印が長すぎて、どの線がどこに繋がっているのか目で追えない」
論理構造が複雑になればなるほど、フローチャートの線(フローライン)はスパゲッティのように絡まりがちです。これを無理やり線だけで繋ごうとすると、可読性が著しく低下し、読み手に意図が伝わらない図になってしまいます。
そこで活躍するのが、今回解説する「結合子(コネクタ)」という記号です。
この記号は、地味ながらも「図の整理整頓」において最強のツールです。今回は、前回の「ループ(繰り返し)記号」の解説に続き、フローチャートを美しく仕上げるための「結合子」の正しい使い方とテクニックを深掘りして解説します。
この記事の内容(目次)
そもそもフローチャートの「結合子」とは?
「結合子(Connector)」とは、離れた場所にあるフロー(流れ)をつなぐための省略記号のことです。JIS規格や一般的なフローチャートのルールでは、主に「円(丸)」や「五角形(ホームベース型)」が使われます。
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物理的に線を引く代わりに、この記号を「出口」と「入り口」に置くことで、「ここからあそこへ飛びますよ」というワープトンネルのような役割を果たします。
なぜ結合子を使うのか?
最大の目的は「可読性の向上(見やすくすること)」です。
フローチャートは「流れ」を追うための図ですが、線が重なりすぎると視線が止まってしまいます。結合子を使うことで、以下のメリットが生まれます。
長い線を引かなくて済む
線の交差(クロス)を回避できる
ページをまたぐ大きな図を作成できる
スイムレーン図などでレーンを行き来する際の混乱を防ぐ
結合子の種類と使い分け(円形と五角形)
「結合子」で検索すると、丸いものや五角形のものが混在していて迷うことがあります。実は、この2つには明確な使い分けのルールがあります。
① 結合子(On-page Connector):円形

同じページ内で線をつなぐ時に使います。最も頻繁に使うのがこの「丸(◯)」の記号です。
形状: 小さな円
用途: 線が長くなりすぎる場合や、交差を避けるために一時的に線を切断してつなぐ。
[結合子の使用例]
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② ページ外結合子(Off-page Connector):五角形
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ページをまたいで線をつなぐ時に使います。ホームベースのような形、あるいは逆五角形の形をしています。
形状: 下向きの五角形(ホームベース型)
用途: フローチャートが1枚の用紙や画面に収まらず、次のページへ続く場合。
[ページ外結合子の使用例]
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フローチャートの記号の種類については、こちらの記事でも一覧で解説していますので、あわせて確認してみてください。
【実践編】結合子の正しい書き方・ルール
ただ記号を置けば良いわけではありません。読み手が迷子にならないよう、正しい書き方のルールを守る必要があります。
ルール1:必ず「ペア」で使う
結合子は、ワープの「入り口」と「出口」が必要です。
ある処理から線が出て、結合子に入る(出口)。
別の場所にある結合子から線が出て、次の処理へ進む(入り口)。

この2つは必ずセットで存在しなければなりません。
ルール2:同じ「ラベル(識別子)」を振る
どの結合子がどこに繋がっているかを示すために、記号の中に同じ文字や数字を記入します。
例: 処理Aの後の結合子に「A」と書いたら、飛び先の結合子にも「A」と書く。

一般的には、以下の文字がよく使われます。
アルファベット: A, B, C...
数字: 1, 2, 3...
ルール3:ページをまたぐ場合は「ページ番号」を添える
「ページ外結合子」を使う場合、飛び先が「何ページ目のどこ」にあるか分からないと不親切です。
結合子の近くに「P.2へ」や「from P.1」といった注釈を入れるのがマナーであり、実務的なテクニックです。

xGrapherなら結合子の配置もドラッグ&ドロップで簡単
ExcelやPowerPointで結合子を使おうとすると、丸を描いて、文字を入れて、線を繋いで…と意外と手間がかかります。特に、後から図を修正する際に線がズレてしまうこともよくあります。

オンライン作図ツールのxGrapherなら、結合子の扱いも非常にスムーズです。
専用の記号が用意されている: 左側のパネルから「結合子(円)」や「ページ外結合子」を選んでドラッグするだけ。
自動で線が吸着: 記号を動かしても、線が自動的に追従するので図が崩れません。
スイムレーン図も: 部署をまたぐ複雑なフローも、スイムレーン図作成機能と結合子を組み合わせれば、プロフェッショナルな仕上がりになります。
まずは無料のフローチャート作成ツールで、その使い心地を試してみてください。
やってはいけない!結合子のNG使用例
便利だからといって、結合子を使いすぎると逆効果になります。よくある失敗例を見てみましょう。
NG例①:近距離で使いすぎる
すぐ隣の図形へ進むのに、わざわざ結合子を使う必要はありません。かえって目で追う手間が増えてしまいます。結合子はあくまで「線が長くなる」「交差する」場合の緊急回避策として使いましょう。

NG例②:ラベルの重複
同じフローチャート内で、全く関係のない場所に同じ「A」という結合子を使ってはいけません。「このAはどっちのAに繋がるの?」と混乱を招きます。
結合子が増える場合は、「A1」「B1」のようにユニークな名前をつけるか、フローチャートの色分けを活用して視覚的に区別することをおすすめします。
NG例③:ページ外結合子の乱用
ページをまたぐ回数が多すぎると、全体像を把握するのが困難になります。頻繁にページを行き来するような構造になっている場合は、そもそもフローチャートの設計(粒度)を見直す必要があるかもしれません。フローチャートの基本に立ち返り、処理をサブプロセスとしてまとめるなどを検討しましょう。
まとめ:結合子を使いこなして「伝わる」フローチャートを
結合子(コネクタ)は、フローチャートを整理整頓するための重要な記号です。
円形(◯)はページ内での接続に使う。
五角形(ホームベース型)はページをまたぐ接続に使う。
必ずペアで配置し、同じラベル(文字・数字)を振る。
この3点を意識するだけで、スパゲッティのように絡まった見づらい図が、誰が見ても理解できるスマートな図解に生まれ変わります。
xGrapherを使えば、こうした記号の配置や調整も直感的に行なえます。まずはテンプレートを使って、整理された美しいフローチャートを描いてみてください。

【フローチャート記号解説シリーズ】
「結合子」の正しい使い方とは?
Q&A:結合子に関するよくある質問
記事の締めくくりとして、結合子に関してユーザーが疑問に持ちやすいポイントをQ&A形式でまとめました。
Q1. 結合子の中に書くのは「数字」と「アルファベット」どちらが良いですか?
A1. どちらでも構いませんが、ルールを統一することが大切です。
一般的には、処理の順序を示すために数字(1, 2, 3...)を使うことが多いですが、フローチャート内のステップ番号と混同しそうな場合は、アルファベット(A, B, C...)を使うのがおすすめです。
Q2. 結合子に色はつけてもいいですか?
A2. はい、効果的です。
特に複雑な図の場合、ペアとなる結合子同士を同じ色(例:結合子Aは赤、結合子Bは青)にすると、飛び先が直感的にわかりやすくなります。フローチャートの色分け術も参考にしてみてください。
Q3. 1つの出口から、複数の入り口へ飛ばす(1対多)ことはできますか?
A3. 基本的には避けるべきです。
結合子は「1対1」の接続が原則です。1つの結合子から複数の場所へ飛ぶと、処理が分岐しているのか、並行処理なのかが曖昧になります。分岐させたい場合は、ひし形の「判断記号」を使いましょう。逆に、複数の場所から1つの結合子へ集まる(多対1)ことは、合流としてよく使われます。
Q4. ページ外結合子の形が「逆五角形」のものも見かけますが?
A4. どちらも使われます。
JIS規格などの伝統的なスタイルでは「ホームベース型(下向き)」が一般的ですが、ツールや独自のルールによっては逆五角形や、矢印のような形が使われることもあります。組織内で統一されていれば問題ありませんが、迷ったらホームベース型を使うのが無難です。
Q5. xGrapherで結合子を使うメリットは?
A5. 「修正のしやすさ」が最大のメリットです。
手書きや非専用ツールでは、レイアウト変更のたびに結合子の位置や線を書き直す必要がありますが、xGrapherのような専用ツールなら、図形を移動させるだけで線が追従し、レイアウト調整が数秒で完了します。
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