【フローチャート記号解説6】「データ(入出力)」記号の意味と正しい使い方|平行四辺形はいつ使う?

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フローチャートを作成していると、「ここは四角形(処理)にするべきか、それとも平行四辺形(データ)にするべきか?」と迷う瞬間はありませんか?

処理の流れを可視化する際、情報の入り口と出口を明確にすることは非常に重要です。

今回は、フローチャート記号解説シリーズの第6弾として、「データ(入出力)」記号について詳しく解説します。この記号を使いこなせると、図の読み手に対して「どこで情報が入ってきて、どこで結果が出るのか」を一瞬で伝えることができるようになります。

これまでの記事で解説したループ条件分岐と組み合わせることで、より実践的なフローチャートが描けるようになりますので、ぜひマスターしてください。

フローチャートの「データ(入出力)」記号とは?

フローチャートにおいて「データ」を表す記号は、一般的に平行四辺形で描かれます。JIS規格や一般的な作図ルールでは、「入出力(Input/Output)」とも呼ばれます。

データの入出力を表す記号

記号の意味

この記号は、プロセスに対する「情報の入力」またはプロセスからの「情報の出力」を表します。

  • 入力(Input): コンピュータや業務プロセスに対して、外部からデータを与えること。

  • 出力(Output): 処理された結果を画面に表示したり、データとして渡したりすること。

単なる「作業(処理)」ではなく、「情報の受け渡し」が発生するタイミングでこの記号を使用します。

なぜ四角形(処理)と区別するのか?

すべての工程を長方形の「処理記号」で書くことも可能ですが、それだと図全体が単調になり、重要なデータの出入りが見落とされがちです。

平行四辺形を使うことで、「ここでユーザーのアクションが必要だ」「ここでシステムから結果が返ってくる」というポイントが視覚的に強調され、メリハリのある分かりやすいフローチャートになります。

※フローチャートの基本的な記号一覧については、フローチャートの記号の種類の記事でも解説しています。

「処理」や「書類」との違いは?迷いやすいポイント

「データ」記号を使う際、他の記号と混同しやすいケースがあります。それぞれの違いを明確にしておきましょう。

1. 「処理(長方形)」との違い

最も迷いやすいのが、通常の処理記号との使い分けです。

処理(プロセス)を表す記号
  • 処理(長方形): 内部での計算、加工、作業そのもの。

    • 例:「金額を計算する」「データを並べ替える」

  • データ(平行四辺形): 外部とのやり取り。

    • 例:「金額を入力する」「計算結果を表示する」

定義済み処理(サブプロセス)のように別のフローへ飛ぶわけではなく、あくまでその場での「入り」と「出」を表すのがポイントです。

2. 「書類(書類型)」との違い

出力結果が「紙」である場合は、データ記号ではなく「書類(ドキュメント)」記号を使うのが一般的です。

書類(ドキュメント)を示すフローチャートの記号
  • データ(平行四辺形): 媒体を問わない一般的な入出力(画面表示やファイル書き出しなど)。

  • 書類(波線付き四角): 請求書の印刷、レポートの提出など、物理的な紙や特定のドキュメント形式である場合。

3. 「データベース(円筒形)」との違い

データベースを示すフローチャートの記号

データの保存先を表す場合は、円筒形の「データベース(記憶装置)」記号を使います。

  • データ(平行四辺形): データの「移動」や「通過」の瞬間。

  • データベース(円筒形): データが永続的に保管される「場所」。

フローチャートで使用されるデータベース記号の解説記事

具体的な使用例(インプットとアウトプット)

では、実際の業務やシステムフローでどのように「データ記号」が使われるか、具体例を見てみましょう。

ケースA:ログイン画面のフロー

ユーザー認証のプロセスでは、ユーザーのアクションとシステムの応答が入出力にあたります。

  1. [端子] 開始

  2. [データ] ユーザーIDとパスワードを入力 (※入力)

  3. [処理] データベースと照合

  4. [判断] 一致するか?

    • Yes → [データ] マイページを表示 (※出力)

    • No → [データ] エラーメッセージを表示 (※出力)

データ記号を用いたログインのフローチャート

このように記述することで、ユーザーが操作するタイミングと、システムが画面を返すタイミングが一目でわかります。

ケースB:在庫管理業務

業務フローにおいても、帳票やシステムへの入力作業を入出力として表現します。

  1. [データ] 入荷データを受信(CSV等)

  2. [処理] 在庫数を更新

  3. [データ] 在庫一覧表を出力

在庫管理業務でのデータ記号使用例

複雑な業務フローになる場合は、スイムレーン図の解説も参考に、部署ごとのデータの受け渡しを整理するとさらに分かりやすくなります。

xGrapherでデータ記号を使ったフローチャートを作ってみよう

オンライン作図ツールのxGrapherを使えば、データ記号(平行四辺形)を含む美しいフローチャートを簡単に作成できます。

手順はとても簡単です

  1. xGrapherのエディタを開きます。(フローチャート作成ツールはこちら

  2. 左側のシェイプライブラリから、平行四辺形のアイコンを探します。

  3. キャンバスにドラッグ&ドロップします。

  4. 図形をダブルクリックして、「パスワード入力」などのテキストを入力します。

  5. 流れ線で前後の処理とつなぎます。

xGrapherのフローチャート作成画面

色分けで見やすくする

xGrapherでは、図形の色を自由にカスタマイズできます。
例えば、「入力データは青」「出力結果は緑」のようにルールを決めて色分けすると、視認性が劇的に向上します。配色のコツについては、フローチャートの色分け術で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

まとめ

今回はフローチャートの「データ(入出力)」記号について解説しました。

  • 形は平行四辺形で表される。

  • 「情報の入力」「情報の出力」のタイミングで使う。

  • 単なる「処理(計算や作業)」とは区別して使うことで、図のメリハリがつく。

  • 紙への印刷は「書類」、保管場所は「データベース」と使い分けるとより正確。

データ記号を適切に使うことは、読み手に対して「ここで何の情報が必要で、何が得られるのか」を伝える親切な設計につながります。

ぜひxGrapherを使って、情報の流れが美しい、わかりやすいフローチャートを作成してみてください。

xGrapher紹介画像

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【フローチャート記号解説シリーズ】

  1. 【フローチャート記号解説1】「ループ(繰り返し)」

  2. 【フローチャート記号解説2】「結合子」

  3. 【フローチャート記号解説3】「条件分岐」

  4. 【フローチャート記号解説4】「端子」

  5. 【フローチャート記号解説5】「定義済み処理(サブプロセス)」

  6. 【フローチャート記号解説6】「データ(入出力)」

  7. 【フローチャート記号解説7】「データベース」

  8. 【フローチャート記号解説8】「ファイル(書類)」

  9. 【フローチャート記号解説9】「線・矢印」

  10. 【フローチャート記号解説10】「並列処理」

よくある質問(Q&A)

ここでは、「フローチャート データ」や記号に関してよくある質問にお答えします。

Q1. 平行四辺形の代わりに長方形(処理)を使ってもいいですか?

A1.
簡単なメモ書き程度のフローチャートであれば、すべて長方形で書いても通じます。しかし、システム開発の仕様書や、業務マニュアルとして他人に見せる場合は、JIS規格などの標準ルールに従って平行四辺形を使うことをおすすめします。そのほうが誤解を防げます。

Q2. データ記号の中には何を書けばいいですか?

A2.
具体的な「データの内容」と「動作」を簡潔に書きます。
良い例:「会員情報を入力」「検索結果を表示」「CSV読み込み」
悪い例:「データ」「入出力」(抽象的すぎるため)

Q3. メール受信は「データ記号」ですか?「通信記号」ですか?

A3.
一般的なビジネスフローチャートでは、「データ記号(入力)」として表現して問題ありません。ネットワーク図など、通信経路そのものを強調したい特殊な場合を除き、情報の受け取りとして平行四辺形を使うのが標準的です。

Q4. 複数のデータを出力する場合、記号は1つでいいですか?

A4.
まとめて1つの記号に「A票とB票を出力」と書いても良いですが、出力先が異なる場合や、重要なデータである場合は、記号を分けて描いたほうが親切です。xGrapherなどのツールを使えば、コピー&ペーストで簡単に記号を増やせます。

Q5. 他の記号とどう組み合わせればいいですか?

A5.
基本的には、端子(開始)で始まり、データ記号で情報の入力を受け、条件分岐で判断し、最後にデータ記号で結果を出力して、端子(終了)で終わる、という流れが黄金パターンです。まずはこの流れを意識して作成してみてください。

コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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