【フローチャート記号解説3】「条件分岐」3つ・4つ以上ある時は?複数分岐の書き方

フローチャートを作成していると、必ずと言っていいほど登場するのが「条件分岐」です。通常は「ひし形」の記号を使い、「はい(Yes)」か「いいえ(No)」の2択で進む方向を決めます。
しかし、業務フローやプログラムのロジックを整理していると、「商品ランクがA、B、Cの3パターンある」「配送地域が4つのエリアに分かれる」といったように、選択肢が3つ以上、あるいは4つ以上になるケースに直面することがあります。
「ひし形からは線が2本しか出せないルールなのでは?」
「無理やりYes/Noを繋げたら図が縦に長くなりすぎてしまった……」
そんな悩みをお持ちの方へ。今回はフローチャート記号解説シリーズの第3弾として、「3つ以上の条件分岐(多岐選択)」のスマートな書き方について解説します。
この記事の内容(目次)
【基本】まずは「Yes/No」の2分岐をおさらい
複雑な分岐の話に入る前に、まずは基本となる「2分岐」の書き方を確認しておきましょう。これがフローチャートにおける判断のベースとなります。
判断記号(ひし形)の基本ルール
フローチャートで条件分岐を表す際は、「ひし形(判断)」の記号を使用します。

入口: 原則として「上」から1本の線が入ります。
処理: ひし形の中に「質問」や「条件」を書きます(例:会員ですか?)。
出口: 通常は「はい(Yes)」と「いいえ(No)」の2方向に線が出ます。
[条件分岐記号を使用した簡単なフローチャートの例]
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基本的にはこの「2択」で処理を振り分けるのがフローチャートの鉄則です。しかし、実務ではこの2択だけでは表現しきれない場面が出てきます。次章から、その具体的な解決策を見ていきましょう。
フローチャートで「3つ以上の分岐」を書く2つの基本パターン
条件分岐が3つ以上(例:条件A、条件B、それ以外)ある場合、大きく分けて2つの表現方法があります。それぞれの特徴を理解して、状況に合わせて使い分けることが大切です。
1. 並列型(マルチブランチ方式)
1つのひし形(判断記号)から、直接3本以上の線を引く方法です。プログラミングで言うところの「Switch文」や「Case文」に近いイメージです。
書き方: ひし形の角、あるいは辺から直接複数の矢印を出します。
メリット: 選択肢が同列(対等)であることが視覚的にわかりやすく、図がコンパクトに収まります。
デメリット: 分岐が多すぎると(例えば10個以上など)、ひし形の周りが線で混雑して見にくくなります。
【ポイント】
この書き方をする際は、それぞれの矢印のそばに必ず「条件の内容(例:東京、大阪、名古屋)」を明記しましょう。
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2. カスケード型(ネスト方式)
「Yes/No」の分岐を階段状(カスケード)に連続させる方法です。プログラミングにおける「Else If」の繰り返しです。
書き方:
最初のひし形:「条件Aですか?」→ Yesなら処理へ、Noなら次のひし形へ。
次のひし形:「条件Bですか?」→ Yesなら処理へ、Noなら次のひし形へ。
メリット: 基本的な「Yes/No」のルールだけで書けるため、厳密な論理チェックに向いています。優先順位がある場合(Aかどうかが最重要など)に有効です。
デメリット: 条件が4つ、5つと増えると、図が右下や左下に向かってどんどん長くなり、スペースを圧迫します。
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基本的には、「選択肢が対等なリスト」であれば「並列型」を、「順次チェックしていく必要」があれば「カスケード型」を選ぶと良いでしょう。
あわせて読みたい:フローチャートの記号の種類と意味を完全解説
複雑な分岐を見やすくするレイアウトのコツ
条件分岐が4つ以上になると、線が交差したり、図全体がごちゃごちゃしたりしがちです。ここでは、SEO的にもユーザビリティ的にも重要な「読みやすいフローチャート」にするためのコツを紹介します。
分岐後の処理を揃える
3つ以上に分岐した後、それぞれの処理(長方形の記号など)の位置を縦や横に綺麗に整列させましょう。xGrapherのようなツールを使えば、ガイドラインに合わせて配置できるため、簡単に整列できます。
色分けを活用する
分岐条件ごとに色を変えるのも一つの手です。例えば、正常系ルートは青、エラー系や例外ルートは赤、その他の条件は緑といった具合です。ただし、色を使いすぎると逆に見づらくなるため、ルールを決めて運用しましょう。
参考記事:フローチャートの色分け術!見やすい図を作る配色のルール
スイムレーンを活用する
もし、その3つ以上の分岐が「担当部署」や「役割」によって分かれるのであれば、通常のフローチャートではなく「スイムレーン図」を使うのが最適です。条件分岐記号を使わずに、レーン(枠)を移動させることで分岐を表現できる場合もあります。
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xGrapherで複雑な分岐をスムーズに描く
ExcelやPowerPointで3つ以上の分岐を描こうとすると、コネクタ(線)が思うように繋がらなかったり、図形を動かすたびにレイアウトが崩れたりと、ストレスを感じることが多いのではないでしょうか。
オンライン作図ツールの xGrapher は、複雑な分岐も直感的に作成できるように設計されています。
マルチ出力ポート: 1つの図形から複数のコネクタを簡単に引き出せます。
ラベル挿入が簡単: 接続線の上にダブルクリックするだけで、条件テキスト(「はい」「いいえ」「プランA」など)を素早く入力できます。
3つ以上の分岐が必要な複雑なロジック図も、xGrapherなら数クリックでプロ並みの仕上がりになります。

フローチャート作成ツール:
まとめ:分岐が多くても恐れない!
フローチャートで条件分岐が3つ以上、4つ以上になったとしても、焦る必要はありません。
並列型(マルチブランチ): 1箇所から放射状に線を出す。選択肢が多い時にスッキリ見える。
カスケード型(ネスト): Yes/Noを階段状に繋げる。優先順位がある時に有効。
この2つを状況に応じて使い分け、複雑になりそうな時は「色分け」や「結合子」などのテクニックを併用してみてください。
参考記事:
基本に立ち返るなら:フローチャートの基本と書き方完全ガイド
フローチャートの種類を知る
正しい書き方を知っていれば、どんなに複雑な条件でも、誰が見てもわかりやすい図に仕上げることができます。ぜひxGrapherを活用して、クリアな思考整理を実現してください。

【フローチャート記号解説シリーズ】
「条件分岐」3つ以上の分岐はどうする?
Q&A:条件分岐に関するよくある質問
最後に、フローチャートの条件分岐に関してよく検索される疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1. ひし形から3本以上の線を出すのは、JISやISOの規格違反ではありませんか?
A1. 厳密なJIS規格(情報処理用流れ図記号)では、判断記号からの出口は原則として1つ(入口)に対して複数(出口)が許容されていますが、一般的には2つ(Yes/No)が基本とされています。しかし、実務上のフローチャートにおいては「わかりやすさ」が優先されるため、3本以上の線を出すこと(多岐選択)は広く一般的に行われており、マナー違反ではありません。
参考記事: フローチャートのJIS規格とは?基本記号と書き方のルールを徹底解説
Q2. 条件が10個以上ある場合も、1つのひし形から線を引くべきですか?
A2. 10個以上の線を1つのひし形から出すと、タコの足のように線が密集し、非常に見づらくなります。その場合は、条件をカテゴリーごとにグループ化して2段階に分けるか、あるいはフローチャート記号ではなく、別途「条件一覧表」を作成し、フローチャートからはその表を参照するように記載する方がスマートです。
Q3. 分岐した線が交差して見にくいです。どうすればいいですか?
A3. 線の交差(クロス)は、読み手が混乱する最大の原因です。「結合子(丸い記号)」を使って、物理的な線を繋げずにジャンプさせる方法がおすすめです。
参考:【フローチャート記号解説2】「結合子」記号と使い方
Q4. 分岐条件のラベル(文字)はどこに書くべきですか?
A4. ひし形から出た線の「すぐ近く」または「線の上」に書きます。線から離れすぎると、どの線がどの条件かわからなくなります。xGrapherなどのツールでは、線自体にテキストを付与できる機能があるため、図形を動かしてもラベルがついてきて便利です。
Q5. 条件分岐の中にさらに条件分岐が入る(入れ子)場合、どこまで許容されますか?
A5. 階層が深くなりすぎると全体像が把握できなくなります。一般的には3階層程度(分岐の中に分岐があり、さらにその中に分岐がある状態)が限界と言われています。それ以上に複雑になる場合は、その部分を「定義済み処理(サブルーチン)」として別のフローチャートに切り出すことを検討してください。
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