【フローチャート記号解説7】「データベース」記号の意味と正しい使い方

フローチャートを作成したり、誰かが作った仕様書を読んでいると、円筒形(ドラム缶のような形)の記号を見かけることはありませんか?
これは情報の保管場所を表す重要な記号ですが、似た役割を持つ他の記号と混同されがちなポイントでもあります。
今回は「フローチャート記号解説シリーズ」の第7弾として、「データベース」記号について詳しく解説していきます。システム開発の設計図や、業務フローのデータ管理手順を可視化する際に欠かせないこの記号をマスターして、より伝わりやすい図を作成しましょう。
この記事の内容(目次)
「データベース」記号とは?(円筒形の意味)
フローチャートにおける円筒形の記号は、一般的に「データベース」または「直接アクセス記憶装置(Direct Access Storage)」を表します。

この記号は、情報(データ)が一時的なものではなく、ハードディスクやサーバー、クラウド上のデータベースなどに「保存・蓄積される」、あるいはそこから「検索・取得される」ことを示しています。
具体的に何を表すときに使う?
顧客情報データベース
商品在庫マスター
会計システムの元帳データ
社内共有のファイルサーバー
基本的には、「後からいつでも取り出せるように整理して保管されている場所」とイメージすると分かりやすいでしょう。
なお、フローチャートには他にも多くの記号が存在します。基本的な記号一覧については、以下の記事も参考にしてください。
よくある疑問:「データ(平行四辺形)」記号との違い
データベース記号を使う際、最も迷うのが「データ(入出力)」記号との使い分けです。
以前、第6弾の記事で解説した「データ入出力」記号(平行四辺形)も、情報のやり取りを表します。
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では、この2つはどう使い分ければ良いのでしょうか?
1. 「データ(平行四辺形)」は「動作・プロセス」への入り口と出口
平行四辺形は、汎用的な「入出力」を表します。
ユーザーが画面に値を入力する
帳票が出力される
メールを受信する
といった、プロセスに対する広義のインプット・アウトプット全般に使われます。
2. 「データベース(円筒形)」は「保管場所・永続化」
円筒形は、特定の保管場所(ストレージ)を強調したい場合に使います。
入力されたデータを「サーバーに保存する」
「マスターデータから」商品情報を引き出す
というように、システム的な格納先を明確にしたい場合に適しています。
使い分けのコツ:
業務の流れ(手続き)だけを示したい場合は「データ(平行四辺形)」で十分なことが多いですが、「どのシステム(場所)にデータがあるか」を明確にしたいシステムフロー図などでは、「データベース(円筒形)」を使うのが一般的です。
システムフロー図での活用事例
実際に「データベース」記号を使ったフローの流れを見てみましょう。ここでは、ECサイトでの購入処理を例にします。
このフローでは、これまでに解説した記号が組み合わさって機能しています。
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開始(端子): 購入ボタンを押す
処理: 在庫確認のリクエスト
データベース: 「在庫DB」を参照する
条件分岐: 在庫はあるか?
Yes(ある) → 購入処理へ
No(ない) → エラー表示へ
ループ: 複数商品がある場合、全商品の確認が終わるまで繰り返す
このように、処理の途中で「どこに問い合わせているか」を円筒形で示すことで、システムの構造が一目でわかるようになります。
スイムレーン図との相性が抜群
データベース記号は、担当やシステムごとにレーンを分ける「スイムレーン図」で使うとさらに効果的です。「ユーザーの操作」レーンと「バックエンドシステム」レーンを分け、データベース記号をシステム側のレーンに配置することで、データの裏側の動きが可視化できます。
わかりやすいデータベース図を描くためのポイント
1. 具体的な名前をつける
単に「DB」と書くのではなく、「会員マスタ」「売上履歴」など、何が保存されているかを具体的に記述しましょう。
2. 矢印の向きに注意する
データベースに対する矢印の向きは、操作の内容を表します。
処理 → データベース: データの保存(書き込み)、更新、削除
データベース → 処理: データの参照(読み込み)、検索

3. 色分けを活用する
フローチャートの色分け術でも触れましたが、データベース記号だけ特定の色(例えばグレーや薄い青など)にしておくと、プロセスの箱と区別がつきやすくなり、視認性が向上します。
4. 複雑な場合はサブプロセス化する
データベースへのアクセス処理が複雑になりすぎる場合は、詳細を別のフローチャートに切り出し、メインの図では「定義済み処理(サブプロセス)」記号を使って簡略化するのも一つの手です。
xGrapherでデータベース記号を含む図を作成しよう
フローチャート作成ツール「xGrapher」なら、今回紹介したデータベース記号もドラッグ&ドロップで簡単に配置できます。

ExcelやPowerPointで図形を組み合わせるよりも、専用ツールを使うことで、記号同士を繋ぐコネクタ線の調整やレイアウト変更が圧倒的にスムーズになります。
xGrapherには豊富な記号ライブラリが用意されており、システム構成図やER図に近い表現も可能です。直感的な操作で、プロフェッショナルな図解をすぐに作成できます。
まとめ
今回はフローチャート記号解説シリーズ第7弾として、「データベース」記号について解説しました。
形: 円筒形(ドラム缶型)
意味: データの保管場所、直接アクセス記憶装置(HDDなど)
使い所: システムへの保存、マスターデータの参照など、格納場所を明確にしたい時
「データ(平行四辺形)」記号との使い分けを意識するだけで、あなたの描くフローチャートはぐっと専門的でわかりやすいものになります。ぜひ次回の作図から活用してみてください。
フローチャートの基本をもう一度おさらいしたい方は、こちらのフローチャートの基本も合わせてご覧ください。

【フローチャート記号解説シリーズ】
よくある質問(Q&A)
Q1: データベース記号はExcelファイルを表すのに使ってもいいですか?
A: はい、問題ありません。厳密なデータベース(SQLなど)でなくても、「構造化されたデータが蓄積されているファイル」であれば、Excelの台帳やCSVファイルを表すために使用しても伝わります。
Q2: データベース記号への矢印は片方向ですか?双方向ですか?
A: 処理の内容によります。「読み込んで、計算して、結果を書き戻す」という一連の流れがある場合は、双方向の矢印(あるいは2本の矢印)を使うことがあります。単なる参照であれば「DB→処理」、ログの保存などであれば「処理→DB」の片方向を使います。

Q3: 複数のデータベースが登場する場合の描き方は?
A: 物理的に異なるデータベースであれば、それぞれ別の記号として配置し、「顧客DB」「商品DB」のように名前を分けて記載します。図が複雑になりすぎる場合は、結合子を使って線を整理することをおすすめします。
Q4: データベース記号の向きは縦ですか?横ですか?
A: 実務では「縦向き」の円筒形を使うのが一般的です。
[横向きのデータベース記号]

JIS規格(JIS X 0121)では、かつて「磁気ドラム」という装置を横向きの円筒形で表していましたが、現在は「磁気ディスク(ハードディスク)」を表す縦向きの円筒形が、データベースのアイコンとして定着しています。xGrapherでも縦向きの記号を採用しています。
Q5: 「内部記憶」や「記憶データ」の記号とはどう違いますか?
A: 「保存する媒体(ハードウェア)」を特定するかどうかが違います。
JIS規格には複数のデータ関連記号が存在しますが、実務では1.の円筒形を使うのが最も一般的です。
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データベース(円筒形)
意味: HDDやSSDなど、ディスク装置に保存すること。
実務: 一般的な「データベースサーバー」を表すのに最適です。
内部記憶(四角に田の字)
意味: コンピュータのメモリ(RAM)に一時的に置かれること。
実務: 電源を切ると消えるデータや、プログラム実行中の変数を表します。
記憶データ(側面が丸い長方形)
意味: 媒体を問わず、とにかく「保存されているデータ」全般。
実務: 媒体をあえて曖昧にしたい場合に使われますが、具体性に欠けるためシステムフロー図ではあまり使われません。
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