【フローチャート記号解説8】「ファイル(書類)」電子データの場合も解説

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業務フローチャートやシステムフロー図を見ていると、長方形の下の部分が波のようにうねっている記号が登場することがあります。
これは一般的に「ファイル」や「書類」と呼ばれる記号ですが、「これって紙の書類だけ? PDFやExcelファイルはどう表現すればいいの?」と迷ってしまうことはないでしょうか?

今回は、フローチャート記号解説シリーズの第8弾として、この「ファイル(書類)」記号の本来の意味に加え、現代の業務に欠かせない「電子データファイル」の正しい表現方法ついても詳しく解説します。

フローチャートの「ファイル(書類)」記号とは

この独特な形をした記号は、JIS規格などの標準的なフローチャート記号において「書類(Document)」と定義されています。

フローチャートの書類記号


現場では見た目のイメージから「ファイル」と呼ばれることも多いですが、正式な意味を理解しておくとフローチャートの読みやすさが格段に上がります。

下が波打った形の意味

この記号は「人間が読むことができる媒体」を表しています。
かつては「印刷された紙」を指すことがほとんどでしたが、その本質は「可読性(人間が目で見て理解するもの)」にあります。

  • プリンターから出力される帳票

  • 顧客に郵送する請求書

  • FAX送信する原稿

プロセスの中で、「ここで人の目に見える形のアウトプットが出ますよ」ということを視覚的に伝える役割を持っています。

電子データ(PDF・Excel・CSV)のファイルはどう表す?

現代の業務フローでは、物理的な「紙」よりも、PC上のファイルを扱うことの方が圧倒的に多いでしょう。
では、PDFやExcel、CSVといったファイルは、どの記号を使うのが正解なのでしょうか?

結論から言うと、「そのファイルを『誰(何)』が読むのか?」という用途で使い分けるのが一般的です。

1. PDFファイルの場合 → 「書類」記号がおすすめ

PDFは電子データですが、基本的には「印刷物の代替」や「閲覧用」として使われます。
システムが自動処理するものではなく、最終的に「人間が見るためのレポート」である場合が多いため、紙と同じく「書類(ファイル)」記号(波打った長方形)を使うのが最も直感的で分かりやすい表現です。

[書類記号]

書類記号

2. CSV・ログファイルの場合 → 「データ入出力」「データベース」記号

CSVファイルやシステムログなどは、人間が直接読むというよりは、「システムが読み込んで処理するためのデータ」としての性質が強いファイルです。
この場合は、「書類」記号ではなく、平行四辺形の「データ(入出力)」記号やドラム缶型の「データベース」記号を使います。

[データ(入出力)」記号]

データ入出力記号

[データベース記号]

データベース記号

3. Excelファイルの場合 → 用途による使い分け

Excel(.xlsx)は用途が広いため、文脈によって使い分けます。

  • 閲覧用の管理表・報告書として使う場合:
    「書類」記号(人間が見るものだから)

  • システムにインポートするためのデータソースとして使う場合:
    「データ」/「データベース」記号(機械が処理するものだから)

迷ったときの判断基準まとめ

ファイル形式

用途・性質

推奨記号

PDF

人間が読む・印刷イメージ

書類(ファイル)

Excel (閲覧用)

人間が管理・報告する

書類(ファイル)

Excel (集計用)

システムに取り込む

データ(平行四辺形)

データベース(円筒形)

CSV / XML

システム間連携・データ転送

データ(平行四辺形)

データベース

データの保管・蓄積

データベース(円筒形)

「紙かデジタルか」ではなく、「人が読むか(書類)、機械が読むか(データ)」で判断すると、スッキリ整理できます。

「ファイル」記号の応用(複数書類など)

書類記号には、単体で使う以外にもバリエーションが存在します。

複数のファイルを表現する「複数書類」

業務によっては、一度に複数の書類を扱うことがあります。
例えば、「納品書・受領書・請求書」を3枚セットで発行する場合などです。
そのような場合は、複数書類(Multiple Documents)」という記号を使用します。

[複数書類記号]

フローチャートで使用する複数書類記号

これはファイル(書類)記号をずらして重ねて描いたものです。「ここから先は複数のファイルをまとめて処理する」ということがひと目で伝わります。

ファイリング(保管)を表す場合

作成した書類をバインダーに閉じて保管する場合、書類記号のあとに「逆三角形」などの保管記号を繋げることがあります。
一方、電子ファイルをサーバーに保存する場合は、前述の通り「データベース」記号(円筒形)を使うのが一般的です。

[データベース記号]

具体的な使用例(サンプル図)

では、実際にどのような流れで記号を使い分けるのか、経費精算のフローを例に見てみましょう。

例:経費精算申請フロー

  1. 【手動入力】社員が経費データを入力

  2. 【データ】CSVデータとして一時保存(システム用なので平行四辺形)

  3. 【処理】経理システムがデータを集計

  4. 【ファイル】精算レポートPDFを出力(人が見るので書類記号)

  5. 【端子】上長へメール提出

経費精算フローのファイル例

このように、同じ「ファイル」でも記号を使い分けることで、「これはシステム処理用」「これは確認用資料」という意図が明確に伝わります。

xGrapherで「ファイル」記号をきれいに描く

フローチャート作成ツールの xGrapher では、今回解説した「ファイル(書類)」記号はもちろん、データ記号やデータベース記号もすぐに呼び出して使い分けることができます。

インストール不要ですぐに使える

PowerPointやExcelで図形を組み合わせて「波打った形」を作るのは意外と大変ですが、xGrapherならドラッグ&ドロップだけでJIS規格に準拠したきれいな記号を配置できます。

xGrapherのフローチャート作成画面

ブラウザ上で動作するため、専用ソフトのインストールは不要です。以下のリンクから、すぐに本格的なフローチャート作成を始められます。

正しい記号を使って、誰が見ても分かりやすい「伝わるフローチャート」を作成してみませんか?

まとめ

今回はフローチャート記号解説の第8弾として、「ファイル(書類)」記号と電子データの扱いについて解説しました。

  • 基本の意味: 「書類記号(波打った長方形)」は、人間が読むための媒体を表します。

  • 電子データの扱い:

    • PDF・閲覧用Excel: 人が見るものなので「書類」記号でOK。

    • CSV・集計用データ: 機械が処理するものなので「データ(平行四辺形)」記号。

  • 応用: 複数の帳票を扱う場合は、「複数書類」記号を使用します。

「ファイルだから全部同じ記号」にするのではなく、そのファイルがどう使われるかによって記号を選び分けることが、分かりやすいフローチャートを作るコツです。

これまでの記号解説シリーズも合わせて読むと、より理解が深まります。

xGrapher紹介画像

【フローチャート記号解説シリーズ】

  1. 【フローチャート記号解説1】「ループ(繰り返し)」

  2. 【フローチャート記号解説2】「結合子」

  3. 【フローチャート記号解説3】「条件分岐」

  4. 【フローチャート記号解説4】「端子」

  5. 【フローチャート記号解説5】「定義済み処理(サブプロセス)」

  6. 【フローチャート記号解説6】「データ(入出力)」

  7. 【フローチャート記号解説7】「データベース」

  8. 【フローチャート記号解説8】「ファイル(書類)」

  9. 【フローチャート記号解説9】「線・矢印」

  10. 【フローチャート記号解説10】「並列処理」

よくある質問(Q&A)

Q1. PDFファイルをメールで送る場合も「書類」記号でいいですか?

A1. はい、メールに添付されるのが「請求書PDF」や「報告書PDF」であれば、書類記号を使うと「中身のあるドキュメント」であることが伝わりやすくなります。単なるデータ転送であれば「データ」記号や通信線のみで表すこともあります。

Q2. フローチャートで「ファイル」というと、保存アイコン(フロッピーなど)のことではありませんか?

A2. フローチャートのJIS規格における記号としては、今回解説した「波打った長方形(書類)」のことを指すのが一般的です。UIデザインなどで使われる保存アイコンとは異なります。

Q3. 「書類」記号の中に拡張子(.pdfなど)を書いてもいいですか?

A3. はい、非常に分かりやすくなるのでおすすめです。「請求書.pdf」「売上データ.xlsx」のようにファイル名や拡張子を併記すると、具体的なイメージが共有しやすくなります。

Q4. ファイルが3つ以上ある場合、複数書類の記号は何枚重ねて描けばいいですか?

A4. 記号としては「複数であること」が伝われば良いため、実際に3枚や4枚重ねて描く必要はありません。標準的な「複数書類」の記号(2〜3枚が重なって見えるデザイン)を1つ配置すれば十分です。

Q5. 手書きでこの記号をうまく描くコツはありますか?

A5. 長方形を描くつもりでペンを動かし、下側の線だけを「〜」のように波線にします。波の形は正確でなくても、「下が波打っている」ことが伝われば書類記号として認識されます。

コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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