Excel(エクセル)でウォーターフォールチャートを作成する2つの方法

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「前期の売上から今期の売上までの増減要因を、分かりやすく報告してほしい」
ビジネスシーンで、このように頼まれた経験はありませんか?全体の数値の変化だけでなく、その内訳や過程を説明するのは意外と難しいものです。そんな時に役立つのがウォーターフォールチャートです。

この記事では、多くの人が使い慣れているExcelを使ってウォーターフォールチャートを作成する具体的な方法を、バージョン別に2種類解説します。手順に沿って進めれば、誰でも簡単に作成できます。さらに、Excelでの作成が少し面倒だと感じる方のために、もっと手軽に見栄えの良いグラフを作れる便利なツールもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

>> ウォーターフォールチャート自体の解説記事はこちら

そもそもウォーターフォールチャートとは?

ウォーターフォールチャートは、ある期間における数値の増減を示し、最終的な結果に至るまでの内訳を視覚的に表現するグラフです。滝(ウォーターフォール)の水が流れ落ちるように見えることから、この名前が付けられました。

[ウォーターフォールチャートの例]

ウォーターフォールチャートの例

何がわかるグラフなの?

このグラフの最大の特長は、「スタート」と「ゴール」の間の「プラス要因」と「マイナス要因」が一目でわかることです。

例えば、企業の利益分析であれば、

  • スタート: 期首の利益

  • プラス要因: 売上増加、コスト削減など

  • マイナス要因: 原材料費の高騰、人件費の増加など

  • ゴール: 期末の利益

といった各項目がどのように最終利益に影響したのかを、棒グラフの上下で直感的に理解できます。単なる棒グラフや折れ線グラフでは表現しづらい「途中経過」を明確に示せるのが、ウォーターフォールチャートの強みです。

ビジネスにおける主な活用シーン

ウォーターフォールチャートは、その分かりやすさから様々なビジネスシーンで活用されています。

  • 財務分析: 損益計算書(P/L)の変動要因分析(売上→営業利益など)

  • 売上分析: 前期売上と今期売上の差額要因の分析

  • 在庫管理: 期首在庫から期末在庫までの変動の内訳表示

  • プロジェクト管理: 当初計画と実績の差異分析

より詳しい活用方法や基本的な知識については、こちらの記事「ウォーターフォールチャートとは?見方や用途、作成方法を解説」も参考にしてください。

【Excel 2016以降】標準機能でウォーターフォールチャートを作成する方法

お使いのExcelが2016(Office 365含む)以降のバージョンであれば、標準機能としてウォーターフォールチャートが搭載されているため、非常に簡単に作成できます。

STEP1: データの準備

まずは、グラフの元になるデータを用意します。重要なのは、最終的な合計値(例:期末売上)も項目として含めることです。増減は正の数(プラス)、負の数(マイナス)で入力します。

ウォーターフォールチャート作成に使用するデータ

STEP2: グラフの挿入

  1. 準備したデータの範囲(A1:B6など)を選択します。

  2. Excelのメニューから「挿入」タブをクリックします。

  3. 「グラフ」セクションにある「ウォーターフォール図/株価/等高線/レーダー チャートの挿入」アイコンをクリックし、「ウォーターフォール」を選択します。

これだけで、自動的にウォーターフォールチャートが作成されます。

STEP3: 合計値の設定

挿入直後のグラフでは、最初と最後の項目(この例では「期首売上」と「期末売上」)も増減項目として扱われてしまいます。これらを「合計」として設定し、地面から伸びる棒グラフに変更する必要があります。

  1. グラフ上の「期首売上」の棒を一度クリックして系列全体を選択し、さらにもう一度クリックして「期首売上」の棒だけを選択状態にします。

  2. 右クリックし、「データ要素の書式設定」を選択します。

  3. 表示された設定画面で「合計として設定」にチェックを入れます。

  4. 同様に、「期末売上」の棒も選択し、「合計として設定」にチェックを入れます。

合計として設定にチェックを入れる

STEP4: 見た目の調整

最後に、グラフタイトルを修正したり、凡例を削除したり、データラベルを追加したりして、見やすいようにデザインを整えましょう。上昇・下降・合計の色も「データ系列の書式設定」から自由に変更できます。

グラフタイトルやグラフの色が調整されたウォーターフォールチャート

【Excel 2013以前】積み上げ棒グラフでウォーターフォールチャートを作成する方法

Excel 2013以前のバージョンにはウォーターフォールチャート機能がありませんが、積み上げ棒グラフを応用することで作成可能です。少し手間はかかりますが、仕組みを理解すれば簡単です。

STEP1: グラフ作成用のデータを用意する

元のデータに加えて、グラフ作成のための作業列を準備します。必要なのは「基準(見えない棒グラフの土台)」「増加」「減少」の3列です。

  • 基準: 前の項目の積み上げ値を計算します。(計算式が少し複雑になります)

  • 増加: 元データがプラスの場合、その値を入力します。

  • 減少: 元データがマイナスの場合、絶対値を入力します。

STEP2: 積み上げ棒グラフを作成する

  1. 項目の列と、新しく作成した「基準」「増加」「減少」の列を選択します。(元のデータ列は含めません)

  2. 「挿入」タブから「縦棒」→「積み上げ縦棒」を選択します。

積み上げ棒グラフを選択する

STEP3: 「見えない棒」を作る

グラフの土台となっている「基準」系列を透明にします。

  1. グラフ上の「基準」系列(一番下の青い部分など)をクリックして選択します。

  2. 右クリックし、「データ系列の書式設定」を選択します。

  3. 「塗りつぶし」を「塗りつぶしなし」に、「線」を「線なし」に設定します。

基準の棒グラフを透明にする

STEP4: 各系列の書式を設定する

次に、合計項目(期首・期末)と増減項目の見た目を整えます。

  1. 合計項目は「基準」系列をそのまま棒として使います。

  2. 増減項目は「増加」「減少」系列を塗りつぶし、「基準」系列は透明のままにします。

  3. 「増加」と「減少」の棒の色を分かりやすいように変更します。(例:増加は青、減少は赤)

STEP5: データラベルと見た目を整える

最後に、元の数値をデータラベルとして表示させ、不要な凡例を削除するなどして、全体のデザインを調整すれば完成です。

積み上げ棒グラフを使用したウォーターフォールチャート

Excel作成の限界?もっと手軽に見栄え良く作るならオンラインツールがおすすめ

ここまでExcelでの作成方法を紹介してきましたが、特に古いバージョンでは手間がかかるのが正直なところです。また、デザインの調整にも限界があり、見栄えの良いグラフを作るにはコツが必要になります。

Excelで作成する際の注意点

  • データ構造が複雑: 特に積み上げ棒グラフを応用する方法では、グラフのためだけにデータを加工する必要があり、元データと連動させるのが面倒です。

  • 修正が大変: 項目の追加や削除があった場合、数式の修正やグラフ範囲の再設定が必要になり、手間がかかります。

  • デザインの限界: 細かいデザイン調整が難しく、垢抜けない印象のグラフになりがちです。

そこでおすすめなのが、グラフ作成に特化したオンラインツールです。

xGrapherなら3ステップで本格的なウォーターフォールチャートが完成

当社のウェブサイト「xGrapher」は、誰でも無料で直感的に美しいグラフを作成できるオンラインツールです。xGrapherを使えば、面倒なデータ加工は一切不要。わずか3ステップで本格的なウォーターフォールチャートが完成します。

  1. ウォーターフォールチャート作成サイトへアクセス

  2. データの入力: Excelからデータをコピー&ペーストするだけ。

  3. デザインの調整: 色やラベルなどをクリック操作で自由にカスタマイズ。

作成したグラフは、画像としてダウンロードしたり、共有リンクを発行したりすることも可能です。Excelでのグラフ作成にストレスを感じている方は、ぜひ一度 xGrapherのウォーターフォールチャート作成ツール をお試しください。驚くほど簡単に見栄えの良いグラフが作成できます。

xGrapherのウォーターフォールグラフ作成画面

ウォーターフォールチャートに関するQ&A

Q1. 項目が多い場合、見やすくするコツはありますか?
A1. 項目が多すぎる場合は、関連する項目を「その他」として一つにまとめるのが効果的です。また、グラフの色数を絞り、重要な項目だけ色を変えて強調すると、視点が定まりやすくなります。

Q2. 増減だけでなく、内訳も同時に見せたい場合はどうすればいいですか?
A2. ウォーターフォールチャートは増減の表現に特化しています。内訳を詳細に見せたい場合は、特定の項目(例:売上増加)を分解した別のウォーターフォールチャートを作成するか、円グラフ積み上げ棒グラフなど、別のグラフと組み合わせて説明するのがおすすめです。

Q3. グラフの色は何を基準に選べばいいですか?
A3. 一般的には、増加を青や緑などのポジティブな印象の色減少を赤やオレンジなどの注意を引く色合計をグレーや黒などのニュートラルな色で表現すると、直感的に理解しやすくなります。企業のコーポレートカラーに合わせて調整するのも良いでしょう。

Q4. PowerPointにきれいに貼り付ける方法はありますか?
A4. Excelで作成したグラフは、コピーしてPowerPointに貼り付ける際に「図」としてではなく、「元の書式を保持し、データをリンク」する形式で貼り付けると、画質が劣化せず、後からExcelでデータを修正するとPowerPoint側も自動で更新されるため便利です。xGrapherで作成した場合は、高画質のPNG形式でダウンロードして貼り付けるのがおすすめです。

Q5. Excelのテンプレートはどこで手に入りますか?
A5. Microsoftの公式サイトや、多くのビジネス情報サイトで無料のテンプレートが配布されています。ただし、テンプレートは作りが複雑な場合も多いため、データの差し替えに手間取ることもあります。より手軽さを求めるなら、xGrapherのようなオンラインツールの利用をご検討ください。

まとめ

この記事では、Excelを使ってウォーターフォールチャートを作成する2つの方法と、より簡単に見栄えの良いグラフを作るためのコツについて解説しました。

  • Excel 2016以降: 標準機能で手軽に作成可能。

  • Excel 2013以前: 積み上げ棒グラフを応用して作成できるが、少し手間がかかる。

  • より簡単に高品質なグラフを作りたい場合: xGrapherのようなオンラインツールの活用がおすすめ。

ウォーターフォールチャートは、ビジネスの状況を的確に伝え、次のアクションに繋げるための強力なツールです。ぜひこの記事を参考に、あなたのレポートやプレゼンテーションの質を一段階アップさせてみてください。

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コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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