ウォーターフォールグラフ(滝グラフ)とは?見方・作り方と活用事例を解説

ビジネスデータの分析やプレゼンテーションで、「全体の数値は分かっているけど、その内訳や変動の要因を分かりやすく伝えたい…」と感じたことはありませんか?そんな悩みを解決してくれるのが「ウォーターフォールグラフ(チャート)」です。
「滝グラフ」とも呼ばれるこのグラフは、ある期間における数値の増減を視覚的に表現するのに非常に優れています。売上の増減要因を分析したり、プロジェクトの予算がどのように使われたかを報告したりと、様々なビジネスシーンで活躍します。
この記事では、ウォーターフォールグラフの基本的な見方から、具体的な活用シーン、そしてExcelやオンラインツールを使った簡単な作成方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、あなたもウォーターフォールグラフを使いこなし、説得力のあるデータ説明ができるようになるでしょう。
この記事の内容(目次)
なぜ「滝」なの?ウォーターフォールグラフの基本構成と見方
ウォーターフォールグラフは、その名の通り、棒グラフが滝の水が流れるように見えることから「滝グラフ(Waterfall Chart)」と呼ばれています。まずは、このグラフがどのような要素で構成されているのか、基本的な見方を見ていきましょう。

グラフは主に以下の4つの要素で構成されています。
開始値 (Start): 分析の起点となる最初の数値です(例:期初の売上高)。
増加 (Increase): プラスに影響した要素です。通常は青や緑で示されます。
減少 (Decrease): マイナスに影響した要素です。通常は赤やオレンジで示されます。
最終値 (End): 全ての増減を合計した最終的な数値です(例:期末の売上高)。
これらの棒グラフが、前の項目の終わりから次の項目の始まりへと浮いているように配置されることで、数値の変動プロセスがステップバイステップで可視化されます。つまり、「何が」「どれくらい」全体の数値を押し上げたり、引き下げたりしたのかが一目で直感的に理解できるのです。
ウォーターフォールグラフを使うメリット
ウォーターフォールグラフを活用することには、主に3つの大きなメリットがあります。
メリット1:増減の要因が一目でわかる
最大のメリットは、最終的な結果に至るまでの「過程」を可視化できる点です。例えば、「今期の利益が前期比で10%増加した」という事実だけでは、その要因は分かりません。ウォーターフォールグラフを使えば、「主力商品の売上が伸びた」「一方で広告宣伝費が増加した」といったプラスとマイナスの両方の要因を具体的に示すことができます。
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メリット2:インパクトの大きさを視覚的に伝えられる
各増減要素が棒グラフの「長さ」で表現されるため、どの項目が最終結果に最も大きな影響を与えたのかを直感的に伝えられます。数字の羅列だけでは伝わりにくい各要素のインパクトを、視覚的に訴えかけることが可能です。
メリット3:プレゼンテーションでの説得力が増す
複雑な数値報告も、ウォーターフォールグラフを使えばシンプルで分かりやすいストーリーとして伝えることができます。聞き手は増減の理由をスムーズに理解できるため、プレゼンテーションやレポートの説得力が格段に向上するでしょう。
こんな時に使える!ウォーターフォールグラフの具体的な活用シーン
ウォーターフォールグラフは、様々なビジネスシーンでその力を発揮します。ここでは、代表的な3つの活用シーンをご紹介します。
シーン1:財務分析(売上や利益の変動要因分析)
最もよく使われるのが、損益計算書(P/L)の可視化です。「売上」から始まり、「売上原価」「販売管理費」といった費用(減少要因)を差し引いていき、最終的に「営業利益」や「純利益」に着地するまでの流れを示すのに最適です。年度間の利益比較などにも応用できます。
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シーン2:プロジェクト管理(タスクの進捗や予算消化状況の可視化)
プロジェクトの予算管理にも有効です。「当初予算」から「各タスクで消化した費用」を引いていくことで、現在の「残予算」を明確に示せます。どの工程で予算を多く使っているのかが一目瞭然になります。
シーン3:在庫や人員数の増減管理
月初時点の在庫数から、「入荷数」を足し、「出荷数」を引いて、最終的な「月末在庫数」を示すといった使い方もできます。同様に、期初の従業員数から「採用数」と「退職者数」を増減させて期末の従業員数を示すなど、モノやヒトの数の変動を管理する際にも役立ちます。
ウォーターフォールグラフの作り方
ウォーターフォールグラフは、Excelや専門のオンラインツールで作成できます。ここでは代表的な2つの方法をご紹介します。
Excel(2016以降)での基本的な作り方
比較的新しいバージョンのExcel(2016以降)には、ウォーターフォールグラフが標準機能として搭載されています。
データを用意する: 増減させたい項目と数値を入力します。合計(最終値)としたい項目は、後で設定します。
グラフの挿入: データ範囲を選択し、「挿入」タブ → 「グラフ」→ 「滝または株価チャートの挿入」→「ウォーターフォール」を選択します。
合計の設定: グラフに表示された「開始値」と「最終値」の棒グラフをダブルクリックし、「データ要素の書式設定」から「合計として設定」にチェックを入れます。
これで基本的なグラフは完成です。細かい色の調整なども可能です。
【もっと簡単!】オンラインツール「xGrapher」で作る方法
「Excelの操作は少し面倒…」「もっとデザイン性の高いグラフを手軽に作りたい」という方には、オンライングラフ作成ツールの利用がおすすめです。
当社のxGrapherなら、専門知識がなくても、ブラウザ上で直感的に美しいウォーターフォールグラフを作成できます。
xGrapherで作成するメリット:
直感的な操作: データを入力するだけで自動的にグラフが生成されます。
デザイン性が高い: 洗練されたデザインのグラフを簡単に作成できます。
Web上で共有可能: 作成したグラフはURLで簡単に共有したり、画像としてダウンロードしたりできます。
作り方はとても簡単です。
ウォーターフォールグラフ(滝グラフ)を作成する手順:
xGrapherの該当ページへアクセス
データを入力(コピー&ペーストも可能)
「画像をダウンロード」もしくは「グラフを保存」からウェブへ公開
アカウント登録も不要ですぐに試せるので、ぜひ一度、その手軽さを体験してみてください。

ウォーターフォールグラフを作成する際の注意点
便利なウォーターフォールグラフですが、使う際にはいくつか注意したい点があります。
項目が多すぎると見づらくなる: 増減の項目数が多すぎると、グラフが複雑になりすぎてかえって分かりにくくなることがあります。重要な項目に絞るか、関連する項目をグルーピングするなどの工夫が必要です。
増減の順番が重要になる場合がある: 分析の内容によっては、項目を並べる順番が重要になることがあります。例えば、売上から原価、販管費と引いていくように、論理的な順序で項目を並べると、よりストーリーが伝わりやすくなります。
まとめ
今回は、ウォーターフォールグラフ(滝グラフ)について、その基本的な見方から活用シーン、作成方法までを解説しました。
ウォーターフォールグラフは、数値の増減要因を可視化するのに最適なグラフ
財務分析やプロジェクト管理など、幅広いビジネスシーンで活用できる
Excelや、より手軽なオンラインツールxGrapherで作成可能
最終的な結果だけでなく、そこに至るまでのプラスとマイナスの要因を分かりやすく示すことで、あなたのレポートやプレゼンテーションは格段に説得力を増すはずです。ぜひ、日々の業務に取り入れてみてください。
ウォーターフォールグラフに関するQ&A
Q1. ウォーターフォールグラフと普通の棒グラフとの違いは何ですか?
A1. 普通の棒グラフは各項目の絶対的な量を比較するのに使いますが、ウォーターフォールグラフは、ある開始値から最終値に至るまでの「増減のプロセス」を可視化することに特化しています。各棒が前の棒の終わりから始まるのが特徴です。
Q2. Excelの古いバージョン(2013以前)でも作れますか?
A2. 古いバージョンにはウォーターフォールグラフの機能が標準搭載されていません。積み上げ棒グラフを応用し、一部のデータを透明にするなどのテクニックを使えば作成可能ですが、非常に手間がかかります。簡単作成ツールのxGrapherのご利用をおすすめします。
Q3. グラフの色の意味は決まっていますか?
A3. 厳密なルールはありませんが、一般的に「増加」を青や緑、「減少」を赤やオレンジで表現することが多いです。これは、見た人が直感的にプラス・マイナスを理解しやすくするためです。開始値や最終値は灰色や紺色などがよく使われます。
Q4. 項目は何個くらいまでが見やすいですか?
A4. 一概には言えませんが、一般的には増減の項目が5〜7個程度に収まると見やすいとされています。それ以上になる場合は、重要度の低い項目を「その他」としてまとめるなどの工夫をすると良いでしょう。
Q5. ウォーターフォールグラフはどのような職種の人に役立ちますか?
A5. 経営企画、財務・経理、営業企画、マーケティング、プロジェクトマネージャーなど、数値を扱って分析や報告を行う多くの職種で役立ちます。業績報告や予算説明、販売実績の分析など、様々な場面で活用できる汎用性の高いグラフです。