【簡単3ステップ】Excel(エクセル)でのヒストグラムの作り方!

「手元にあるデータのばらつきや分布を、視覚的に分かりやすく表現したい…」そう思ったことはありませんか?そんな時に役立つのがヒストグラムです。アンケート結果の分析や、製品の品質管理など、ビジネスの様々な場面で活用されています。
この記事では、最も身近な表計算ソフトであるExcelを使って、誰でも簡単にヒストグラムを作成する方法を解説します。基本的な作り方から、見方や分析のポイント、そしてよくある疑問まで、この一本で解決できるように構成しました。Excelでのグラフ作成に少し苦手意識がある方でも、手順通りに進めれば必ず作れるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容(目次)
そもそもヒストグラムとは?棒グラフとの違い
まず、ヒストグラムがどのようなグラフなのか、混同されやすい「棒グラフ」との違いを明確にしておきましょう。

ヒストグラム: 連続するデータを特定の範囲(階級)で区切り、各階級にどれだけのデータが含まれるかを柱の高さで表すグラフです。データの分布、つまり「どのあたりにデータが集中していて、どのようにばらついているか」を把握するのに適しています。例えば、生徒のテストの点数分布や、製品の重量のばらつきなどを表現するのに使われます。
棒グラフ: 売上や人口など、項目ごとの量の大小を比較するためのグラフです。各項目は独立しており、順番を入れ替えても問題ありません。
一番の違いは、横軸が連続した数値(ヒストグラム)か、独立した項目(棒グラフ)かという点です。ヒストグラムの柱は隣り合っていますが、これはデータが連続していることを意味しています。
より詳しい違いについては、こちらの記事「ヒストグラムとは?見方や作り方を初心者向けにわかりやすく解説」でも解説していますので、参考にしてください。
【一番簡単】Excelのグラフ機能でヒストグラムを作成する3ステップ
それでは、早速Excelでヒストグラムを作成してみましょう。最近のExcel(2016以降)には、ヒストグラムを簡単に作成できる機能が標準で搭載されています。
STEP1: データの入力
まず、ヒストグラムにしたいデータをExcelの1つの列に入力します。今回は例として、40人分のテストの点数データを使用します。

STEP2: ヒストグラムの挿入
入力したデータ範囲(A1からA41までなど)を選択します。
Excelのメニューから「挿入」タブをクリックします。
「グラフ」の項目にある「統計グラフの挿入」(滝のようなアイコン)をクリックし、「ヒストグラム」を選択します。

たったこれだけで、Excelが自動的に階級を区切ってヒストグラムを作成してくれます。
STEP3: グラフの書式設定(階級の調整)
自動で作成されたグラフでも十分ですが、より分析しやすくするために階級(ビンの数や幅)を調整しましょう。
グラフの横軸(階級が書かれている部分)を右クリックし、「軸の書式設定」を選択します。
画面右側に「軸の書式設定」メニューが表示されます。
ここで、「ビンの数」や「ビンの幅」を指定できます。
ビンの幅: 「0-10点」「10-20点」のように、区切る範囲を固定したい場合に指定します。
ビンの数: グラフの柱を何本にするかを指定します。
例えば、「ビンの数」を8に設定すると、最低点から最高点までを8本の柱に分けて表示してくれます。

これで、見やすいヒストグラムの完成です。グラフタイトルを「テストの点数分布」のように変更したり、色を調整したりして、目的に合ったグラフに仕上げましょう。
【応用編】分析ツールや関数を使った作成方法
より詳細な分析を行いたい場合や、古いバージョンのExcelを使っている場合は、以下の方法も有効です。
データ分析ツールを使う方法
Excelには「分析ツール」というアドイン(拡張機能)があり、これを使うと度数分布表とヒストグラムを同時に作成できます。
「ファイル」→「オプション」→「アドイン」と進み、管理で「Excelアドイン」を選択して「設定」をクリックします。
「分析ツール」にチェックを入れてOKを押します。(初回のみ必要な設定です)
「データ」タブの右端に「データ分析」が表示されるようになります。
「データ分析」をクリックし、「ヒストグラム」を選択してOKを押します。
ダイアログボックスで「入力範囲」に元のデータ、「データ区間」に自分で設定した階級の区切り(例:10, 20, 30...)を入力し、「グラフ作成」にチェックを入れ、出力先を指定すれば完了です。

[完成したヒストグラム]

COUNTIFS関数を使う方法
階級の区切り方をより柔軟に設定したい場合は、COUNTIFS関数を使って自分で度数分布表を作成し、それを元に棒グラフを作成することでヒストグラムを表現することも可能です。少し手間はかかりますが、自由度が最も高い方法です。
=COUNTIFS(データ範囲, ">="&階級下限, データ範囲, "<"&階級上限)
作成したヒストグラムの見方と分析のポイント
ヒストグラムは、ただ作るだけでなく、その形状からデータの分布状態を読み取ることが非常に重要です。注目すべきは以下の5つのポイントです。
左右対称か(正規分布): グラフが中央を頂点とした、左右対称の釣鐘型に近い形をしている場合、データは平均値の周りに集まっている安定した状態(正規分布)と推測できます。
右に裾が長いか(右に歪んだ分布): 頂点が左に寄っていて、右側(数値の大きい方)に裾が長く伸びている形。平均値が中央値よりも高くなる傾向があり、一部に非常に高い数値のデータが存在することを示します。(例:所得の分布)
左に裾が長いか(左に歪んだ分布): 頂点が右に寄っていて、左側(数値の小さい方)に裾が長く伸びている形。平均値が中央値よりも低くなる傾向があります。(例:満点が近い簡単なテストの点数分布)
山が二つあるか(二峰性の分布): グラフに山が2つある場合、性質の異なる2つのグループが混在している可能性があります。例えば、午前と午後の来客数のデータなど、背景に何か要因が隠れていることが示唆されます。
外れ値はないか: 他の柱から大きく離れた場所に、ぽつんと柱ができていないかを確認します。これは入力ミスか、あるいは特異なデータ(外れ値)である可能性があり、分析の際に注意が必要です。
もっと手軽に、デザイン性の高いグラフを作るなら
Excelは非常に高機能ですが、「サッとグラフを作って共有したい」「もっと直感的に操作したい」「デザイン性の高いグラフを作りたい」と感じる場面もあるでしょう。
そんな時は、Webブラウザ上で完結するオンライングラフ作成ツールが便利です。
私たちが運営する「xGrapher」は、アカウント登録不要で、データをコピー&ペーストするだけで、すぐに美しいヒストグラムを作成できる無料のツールです。
直感的な操作: 面倒な設定は不要。数値を入力するだけでリアルタイムにグラフが描画されます。
デザイン性が高い: 洗練されたデザインのグラフが簡単に作成できます。
共有が簡単: 作成したグラフは画像として保存したり、URLで共有したりすることが可能です。
Excelでの作業に少し手間を感じたら、ぜひ一度「xGrapherのヒストグラム作成ツール」を試してみてください。その手軽さに驚くはずです。

よくある質問(Q&A)
Q1. ヒストグラムの階級の数(柱の数)は、いくつにするのが適切ですか?
A1. 明確な決まりはありませんが、一般的にはデータの数に応じて5〜20程度に設定することが推奨されます。目安として「スタージェスの公式」などがありますが、まずはデータの全体像が把握しやすい数に設定し、その後で調整するのが良いでしょう。少なすぎると分布の特徴が掴めず、多すぎると細かすぎて全体の傾向が分かりにくくなります。
Q2. Excelでヒストグラムを作ろうとすると、エラーが出ます。
A2. データ範囲の選択が間違っているか、データに数値以外の文字列(例:「-」や「欠席」など)が含まれている可能性があります。データが半角数値で入力されているか、空白セルや文字列が混じっていないかを確認してください。
Q3. ヒストグラムの各柱の上に、度数を表示させることはできますか?
A3. はい、可能です。作成したヒストグラムのグラフエリアをクリックし、右上に表示される「+」アイコン(グラフ要素)をクリックします。次に、「データラベル」にチェックを入れると、各柱の上に度数が表示されます。
Q4. なぜヒストグラムの棒はくっついているのですか?
A4. ヒストグラムの横軸は、テストの点数や身長・体重のように「連続したデータ」を扱っているためです。棒がくっついていることで、データが途切れることなく連続していることを視覚的に示しています。一方、棒グラフは項目ごとに独立しているため、棒と棒の間には隙間があります。
Q5. 複数のグループのデータ分布を比較したい場合はどうすればいいですか?
A5. 2つのグループであれば、同じ階級で作成したヒストグラムを重ねて表示する(透過させるなど工夫が必要)ことで比較できます。しかし、3つ以上のグループになると非常に見づらくなるため、その場合は箱ひげ図やバイオリンプロットなど、他のグラフ手法を検討することをおすすめします。