Excelで単位の違う2軸グラフを作る方法【棒グラフ・折れ線】

Excelでグラフを作成する際、「売上金額(円)」と「契約件数(件)」のように、単位が全く違うデータを一緒に表示させたいと思ったことはありませんか?または、「全体の売上(百万円単位)」と「特定の商品の売上(万円単位)」のように、データの数値(スケール)が大きく異なり、片方のグラフが潰れて見えなくなってしまうこともあるでしょう。
こうした問題を解決し、異なる種類のデータを1つのグラフで効果的に見せる手法が「2軸グラフ(複合グラフ)」です。
この記事では、Excelを使って2軸グラフ(主に棒グラフと折れ線グラフの組み合わせ)を作成する基本的な手順から、グラフを調整する方法までを、初心者の方にも分かりやすく解説します。
この記事の内容(目次)
Excelの2軸グラフ(複合グラフ)とは?どんな時に使うの?
Excelにおける「2軸グラフ」とは、文字通り2つの異なる縦軸(Y軸)を持つグラフのことを指します。通常、左側に「第1軸(主軸)」、右側に「第2軸」が表示されます。

2軸グラフが必要になる主なケース
2軸グラフは、以下のような場合に非常に役立ちます。
単位が異なるデータを比較したい時
例:売上金額(円)と販売個数(個)
例:気温(℃)と降水量(mm)
例:Webサイトのアクセス数(PV)とコンバージョン率(%)
数値のスケール(規模)が大きく異なるデータを比較したい時
例:会社全体の売上(億円単位)と、ある新製品の売上(百万円単位)
例:株価(数万円)と出来高(数百万株)
これらのデータを無理やり1つの軸で表現しようとすると、数値の小さい方のグラフがほとんど見えなくなってしまいます。そこで、片方のデータ系列を「第2軸」に関連付けることで、両方のデータの傾向を同時に、かつ明確に読み取れるようになります。
Excelでは、この2軸グラフを「複合グラフ」機能の一部として作成するのが一般的です。複合グラフとは、棒グラフと折れ線グラフのように、異なる種類のグラフを1つに組み合わせたグラフのことです。
Excelで2軸グラフ(棒グラフと折れ線グラフ)を作成する基本手順
ここでは、最もよく使われる「棒グラフ(売上)」と「折れ線グラフ(達成率)」を組み合わせた2軸グラフの作成手順を、Excel 2016以降(Microsoft 365含む)のバージョンを例に説明します。
(※Excel 2013でもほぼ同様の手順で作成可能です)
STEP 1: グラフ化するデータを選択する
まず、以下のような表データを用意します。グラフにしたい範囲(見出し行も含む)をすべて選択してください。

STEP 2: 「複合グラフ」を挿入する
データを選択した状態で、Excelのリボン(上部メニュー)から「挿入」タブをクリックします。
「グラフ」グループにある「おすすめのグラフ」をクリックします。
ダイアログの左端メニュー内の「組み合わせ」から「集合縦棒 第2軸の折れ線」を選択するとそれだけで二軸のグラフが完成します。
STEP 3: グラフの種類と「第2軸」を設定する
「組み合わせ」を選ぶと、各データ系列(この例では「売上」と「達成率」)ごとに、グラフの種類と使用する軸を設定する画面が表示されます。
「売上(円)」: グラフの種類を「集合縦棒」にします。(主軸のままなので「第2軸」のチェックは不要です)
「達成率(%)」:
グラフの種類を「折れ線」(マーカー付き折れ線など)に変更します。
「第2軸」のチェックボックスにチェックを入れます。
設定ができたら「OK」ボタンをクリックします。
これで、左軸(主軸)を「売上(円)」のスケールとする棒グラフと、右軸(第2軸)を「達成率(%)」のスケールとする折れ線グラフが組み合わさった、2軸グラフ(複合グラフ)が作成されます。

もっと見やすく!2軸グラフの調整・編集方法
グラフを作成しただけでは、まだ情報が伝わりにくい場合があります。以下の調整を行って、より分かりやすいグラフに仕上げましょう。
1. グラフタイトルと軸ラベルの追加
グラフタイトル: グラフ上部の「グラフタイトル」部分をクリックして、「売上と達成率の推移」のように内容がわかるタイトルに変更します。
軸ラベル(軸のタイトル):
グラフを選択した状態で、右上に表示される「+」(グラフ要素)ボタンをクリックします。
「軸ラベル」(または「軸のタイトル」)にチェックを入れます。
表示されたテキストボックスに、それぞれ「売上(円)」(左軸)、「達成率(%)」(右軸)、「月」(横軸)と入力します。

2. 軸の最大値・最小値の調整
特に「達成率」のような割合(%)のグラフでは、第2軸の最大値が自動で「120% (1.2)」などになってしまうことがあります。これを「100% (1.0)」に固定すると、グラフがより見やすくなります。
調整したい軸(この例では右側の第2軸)の数値部分をダブルクリックします。(または、軸を右クリックして「軸の書式設定」を選択)
画面右側に「軸の書式設定」作業ウィンドウが表示されます。
「軸のオプション」で、「境界値」の「最大値」を「1.0」(100%の場合)に、「最小値」を「0」(0%の場合)などに手動で設定します。

同様に、主軸(左軸)の売上なども、最小値を設定して見やすく調整することができます。
Excel以外でも?オンラインで簡単に2軸(混合)グラフを作成する方法
Excelでのグラフ作成は高機能ですが、「もっと手軽に作りたい」「Webページやレポートにすぐ埋め込みたい」という場合もあるかもしれません。
そんな時は、オンラインのグラフ作成ツール「xGrapher(エックスグラファー)」も便利です。
xGrapherでは、ExcelファイルやCSVデータをアップロードしたり、データを直接貼り付けたりするだけで、直感的に美しいグラフを作成できます。

Excelの「複合グラフ」にあたる「混合グラフ」も簡単に作成可能です。どのデータを棒グラフにするか、どれを折れ線グラフにし、第2軸(右軸)を使うかをプルダウンメニューから選ぶだけで、すぐにプレビューに反映されます。
Excel操作に慣れていない方や、素早くグラフを共有したい方は、ぜひ一度試してみてください。
→ xGrapherで混合グラフ(2軸グラフ)を作成してみる
また、xGrapherのコラムでは、Excelでのグラフ作成に関する他のテクニックも紹介しています。
Excelの2軸グラフに関するよくある質問(Q&A)
Q1: 棒グラフと折れ線グラフ以外でも2軸グラフは作れますか?
A1: はい、作れます。Excelの「複合グラフ」設定画面では、系列ごとに「面グラフ」「散布図」など他のグラフ種類も選択可能です。ただし、データの特性に合った組み合わせ(例:時系列データなら折れ線)を選ぶことが重要です。
Q2: グラフを作成した後から2軸グラフに変更できますか?
A2: 可能です。すでに作成したグラフ(例:棒グラフ)を選択し、リボンの「グラフのデザイン」タブから「グラフの種類の変更」を選びます。そこで「組み合わせ」を選択し、Q&AのSTEP 3と同様の手順で第2軸を設定したい系列を選べば変更できます。

Q3: 第2軸を左側、主軸を右側に設定することはできますか?
A3: Excelの標準機能では、主軸は左側、第2軸は右側に固定されています。これを入れ替える直接的な設定はありません。もし入れ替えたい場合は、グラフ作成時にデータ系列の主軸と第2軸の設定を逆にする(例:「売上」を第2軸、「達成率」を主軸にする)必要があります。
Q4: 2軸グラフの「横軸(X軸)」も2つに分けられますか?
A4: Excelの標準的な2軸グラフでは、縦軸(Y軸)は2つ持てますが、横軸(X軸)は共通の1つのみとなります。横軸が2種類あるようなグラフ(例:散布図のバブルチャートなど)は、異なるグラフ種類や設定が必要になります。
>> バブルチャートに関する解説記事
Q5: スマートフォン版(スマホ版)のExcelでも2軸グラフは作れますか?
A5: スマートフォン版のExcelアプリは、デスクトップ版に比べて機能が限定されています。2軸グラフ(複合グラフ)の新規作成や詳細な設定は難しい場合が多いです。グラフの閲覧や簡単な編集は可能ですが、複雑なグラフを作成する場合はデスクトップ版のExcel、またはxGrapherのようなPC/スマホ両対応のWebツールのご利用をおすすめします。
まとめ
今回は、Excelで「2軸グラフ(複合グラフ)」を作成する方法について解説しました。
2軸グラフは、単位やスケールが異なるデータを見やすく比較するのに最適
「挿入」→「おすすめグラフ」→「すべてのグラフ」→「組み合わせ」から作成
グラフの種類を選び、第2軸にしたい系列の「第2軸」にチェックを入れる
作成後は、軸ラベルの追加や、軸の最大値・最小値の調整で見やすくする
異なるデータを無理やり1つのグラフにまとめて見にくくなっていた方は、ぜひこの2軸グラフを活用してみてください。
また、Excelでの操作が複雑に感じる場合や、Web上で素早くグラフを作成・共有したい場合は、オンライングラフ作成ツール「xGrapher」 もぜひご検討ください。
