Excel(エクセル)で管理図を作成する方法|手軽なツールも紹介

「製品の品質を安定させたい」「製造工程のバラつきを可視化したい」と考えたとき、管理図は非常に強力なツールになります。品質管理(QC)の現場では必須とも言えるこのグラフを、「使い慣れたExcel(エクセル)で手軽に作成したい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Excelを使って管理図を作成する基本的な手順から、知っておくと便利なポイントまでを分かりやすく解説します。また、Excelでの作成が少し手間に感じる方のために、もっと直感的に、そしてスピーディーに美しい管理図が作れる方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容(目次)
そもそも管理図とは?
管理図は、工程が安定した状態にあるかどうかを判断するために用いられるグラフです。中心線(CL)と、その上下に引かれた上方管理限界線(UCL)、下方管理限界線(LCL)の間にデータがどのようにプロットされるかを見ることで、工程の異常を検知します。
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データが管理限界線内に収まり、かつ特定のパターン(連続して上昇・下降するなど)が見られなければ、その工程は「管理状態にある(安定している)」と判断できます。逆に、点が管理限界線を越えたり、不自然な並び方をしたりした場合は、何らかの異常原因が潜んでいる可能性を示唆しており、調査や改善のアクションにつなげることができます。
より詳しい管理図の見方や種類については、こちらの記事「管理図とは?QC七つ道具の一つをわかりやすく解説」でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Excelで管理図(Xbar-R管理図)を作成する基本的な手順
ここでは、最も代表的な管理図である「Xbar-R(エックスバーアール)管理図」を例に、Excelでの作成手順をステップごとに解説します。
STEP1: データの準備
まずは、元となるデータを準備します。以下のように、一定期間ごとに複数(今回は4つ)のデータをサンプリングした表を用意しましょう。この各サンプルグループを「群」と呼びます。

STEP2: 平均値、範囲(レンジ)、管理限界線の計算
次に、グラフ作成に必要な値を計算していきます。空いている列に「平均値(Xbar)」「範囲(R)」「中心線(CL)」「上方管理限界線(UCL)」「下方管理限界線(LCL)」の項目を追加し、以下の計算式を入力します。
平均値 (Xbar): 各群のデータの平均値
=AVERAGE(データ範囲)
範囲 (R): 各群のデータの最大値と最小値の差
=MAX(データ範囲)-MIN(データ範囲)
全体の平均値 (Xbarの平均): Xbar列全体の平均値
範囲の平均値 (Rbar): R列全体の平均値
これらの値を使って、中心線と管理限界線を計算します。計算には、サンプルの数(今回は4)によって決まる係数(0.729)が必要です。
中心線 (CL): 全体の平均値と同じ
上方管理限界線 (UCL): 全体の平均値 + 0.729 * Rbar
下方管理限界線 (LCL): 全体の平均値 - 0.729 * Rbar
※係数(A2)は、管理図用の係数表から求めます。サンプル数4の場合、A2=0.729です。

STEP3: グラフの作成
いよいよグラフを作成します。
「群」「平均値(Xbar)」「中心線(CL)」「上方管理限界線(UCL)」「下方管理限界線(LCL)」の列を選択します。
Excelのメニューから「挿入」→「グラフ」→「2D折れ線」→「マーカー付き折れ線」を選択します。

これだけで、管理図の基本的な形が完成します。
STEP4: グラフの書式設定
最後に、見やすいようにグラフの体裁を整えます。
グラフタイトルを「Xbar管理図」などに変更する。
軸ラベルを追加する。
中心線や管理限界線の色や線の種類(点線など)を変更して、データの線と見分けやすくする。
これでExcelによる管理図の完成です。

Excelで管理図を作成するメリット・デメリット
Excelでの管理図作成は、多くの人にとって身近な方法ですが、メリットとデメリットの両方があります。
メリット
追加コストが不要: 多くのPCに標準でインストールされているため、新たなソフトを購入する必要がありません。
操作に慣れている: 使い慣れたソフトなので、基本的な操作でつまずくことが少ないです。
カスタマイズ性が高い: グラフの色や線の種類、レイアウトなどを自由に調整できます。
デメリット
手間と時間がかかる: データの計算からグラフの書式設定まで、手作業が多く、慣れていないと時間がかかります。
専門知識が必要: 管理限界線の計算には係数表を見るなど、ある程度の統計知識が求められます。
更新や共有がしにくい: データが追加されるたびに、計算範囲やグラフの範囲を手動で修正する必要があり、ファイルの共有もメール添付などになりがちです。
【もっと簡単】オンラインツールで管理図を作成する選択肢
Excelの手順を見て、「思ったより面倒かも…」と感じた方もいるかもしれません。そんな方には、オンラインのグラフ作成ツールがおすすめです。
当サイト「xGrapher」では、専門知識がなくても、データを入力するだけで本格的な管理図をあっという間に作成できます。
xGrapherで管理図を作成するメリット
計算が不要: データを貼り付けるだけで、平均値や管理限界線はすべて自動で計算されます。
操作が直感的: ガイドに従って進めるだけで、誰でも簡単に見栄えの良いグラフが完成します。
共有がスムーズ: 作成したグラフはURLで簡単に共有でき、チームでのレビューも効率的です。
豊富なグラフ種類: 管理図だけでなく、特性要因図(フィッシュボーン図)・散布図・パレート図・ヒストグラムなど、品質管理で使用するQC7つ道具やビジネスや研究で使える多様なグラフを同じツール上で作成できます。
>> QC7つ道具とは?
Excelでの作成に時間をかけるよりも、xGrapherのような専用ツールを使えば、より本質的な「データの分析」や「改善活動」に集中することができます。ぜひ一度、その手軽さを体験してみてください。

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よくある質問(Q&A)
Q1. 管理図にはどのような種類がありますか?
A1. 管理図には、扱うデータの種類によって様々なタイプがあります。今回紹介した「Xbar-R管理図」は計量値(長さ、重さなど連続した数値)を扱いますが、他にも不良品の数などを扱う計数値の「P管理図」や「np管理図」などがあります。
>> 管理図に関する詳細の解説記事
Q2. データ点が管理限界線を越えてしまったら、どうすればいいですか?
A2. 管理限界線を越える点は「異常」を示唆しています。偶然発生する特殊な要因(機械の故障、作業者のミスなど)が原因である可能性が高いです。その点がプロットされた日時や状況を確認し、原因を調査して再発防止策を講じる必要があります。
Q3. Excelの管理図テンプレートはありますか?
A3. Web上には、数式やグラフがあらかじめ設定されたExcelの管理図テンプレートが配布されていることがあります。ただし、自社のデータ形式に合うように修正が必要だったり、マクロが含まれていてセキュリティ上の懸念があったりする場合もあるため、利用には注意が必要です。
Q4. なぜ手計算やExcelではなく専用ツールを使う方が良いのですか?
A4. 手作業には、計算ミスや設定漏れなどのヒューマンエラーが起こるリスクが伴います。xGrapherのような専用ツールは、これらの計算や描画を自動化することで、ミスなく、かつ迅速に信頼性の高い管理図を作成できるため、品質管理の効率と精度を大幅に向上させることができます。
Q5. スマートフォンでも管理図は作成できますか?
A5. Excelのスマートフォンアプリで一から作成するのは、画面の大きさや操作性の観点から難しい場合があります。xGrapherのようなWebベースのツールは、ブラウザさえあればデバイスを問わずにアクセス・閲覧できるため、スマートフォンでの確認や簡単な編集にも適しています。