フローチャートの種類一覧!初心者でもわかる特徴・目的別の使い分け

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フローチャート(流れ図)は、プロセスや作業の手順、情報の流れを視覚的に表現するための図です。業務の流れを分析したり、システムの設計を考えたり、複雑な手順を誰かに説明したりする際に、言葉だけでは伝わりにくい関係性や順序を明確にしてくれます。

しかし、「フローチャートを作ろう」と思っても、いざ白紙を前にすると「どの図形を使えばいいんだろう?」「どういう形式で書けばいい?」と悩んでしまうことはありませんか?

実は、フローチャートにはいくつかの「種類」があり、それぞれ得意なことや使われる場面が異なります。
この記事では、代表的なフローチャートの種類を紹介し、それぞれの特徴と「どんな時にどれを使えばよいか」という使い分けのポイントを解説します。


目的別!代表的なフローチャートの種類 5選

まずは、ビジネスやシステム開発の現場でよく使われる、代表的な5種類のフローチャートを見ていきましょう。

1. プロセスフローチャート (Process Flowchart)

最も基本的で広く使われるフローチャートです。「処理」「判断」「開始/終了」などの標準化された記号を使い、一連の作業やプロセスのステップを時系列に沿って表現します。

プロセスフローチャートの例
  • 主な目的: 単純な作業手順の明示、プロセスの標準化、問題点の発見。

  • 使われる場面: 製造工程の解説、簡単な業務マニュアル、トラブルシューティングの手順書など。

※フローチャートの基本記号は、日本工業規格 JIS X 0121(情報処理用流れ図記号) によって標準化されています。

2. 業務フローチャート (Business Process Model and Notation - BPMN)

プロセスフローチャートを、よりビジネスプロセス(業務の流れ)の記述に特化させたものです。国際標準規格(ISO/IEC 19510)にもなっており、使用する記号(イベント、アクティビティ、ゲートウェイなど)が厳密に定義されています。

BPMNの記号

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  • 主な目的: 複雑な業務プロセスの詳細な可視化、業務分析、BPR(業務改革)の検討。

  • 使われる場面: 企業内の基幹業務(購買、販売、経理など)のモデリング、システム導入時の要件定義。

3. データフローダイアグラム (Data Flow Diagram - DFD)

プロセス(処理)ではなく、「データの流れ」に焦点を当てた図です。システムや業務プロセスにおいて、データが「どこから発生」し、「どこで処理・加工」され、「どこに保存」され、「どこへ渡されるか」を表現します。

DFDの簡単な例
  • 主な目的: システムが扱うデータの流れの分析・設計。

  • 使われる場面: システム開発の上流工程(要件定義、基本設計)でのデータ中心の分析。

混同しやすいBPMNとDFDの違いを以下にまとめました。

項目

BPMN

DFD

対象

業務プロセス

データの流れ

規格

ISO/IEC 19510

非公式だが広く標準化(JIS X 0121で定義に準拠することが一般的)

記号

イベント、アクティビティ等

プロセス、データストア等

主な利用者

業務分析者

システム設計者

4. スイムレーンフローチャート (Swimlane Flowchart)

「スイムレーン(水泳レーン)」のように図全体を帯状に分割し、各レーンに担当部署や担当者を割り当ててプロセスの流れを記述するフローチャートです。クロスファンクショナルフローチャートとも呼ばれます。

スイムレーンチャートの例
  • 主な目的: 部門間や担当者間の「責任の所在」と「業務の受け渡し」を明確にする。

  • 使われる場面: 複数の部署が関わる承認プロセス、顧客対応プロセス、部門連携の改善検討時。

5. システムフローチャート (System Flowchart)

システムがどのようなハードウェア(端末、サーバー、プリンターなど)やメディア(帳票、ファイルなど)を介して処理を実行するかを示したフローチャートです。データの流れ(DFD)だけでなく、物理的な媒体や機器の流れも表現します。

システムフローチャートの例
  • 主な目的: システム全体の物理的な構成と処理の流れの把握・設計。

  • 使われる場面: システム設計書、システム運用マニュアルの作成時。


その他の主要なフローチャート・関連図

上記の5つ以外にも、特定の目的に特化したフローチャートや関連する図があります。

ワークフロー図 (Workflow Diagram)

業務フローと似ていますが、業務フローが業務全体を「見える化」するのに対してワークフロー図はその業務フローで「人」や「ITシステム」がどのように連携して作業(ワーク)を進めるかに焦点を当てた図です。

UMLアクティビティ図 (UML Activity Diagram)

システム開発(特にオブジェクト指向設計)で使われるUML(統一モデリング言語)の一種です。フローチャートと似ていますが、並行処理の記述などに強みがあります。


【シーン別】どのフローチャートを選ぶべき? 使い分けガイド

「種類はわかったけど、結局どれを使えばいいの?」という方のために、よくあるシーン別のおすすめチャートを紹介します。

ケース1:「業務の流れを可視化・改善したい」

  • おすすめ: 業務フローチャート (BPMN) または プロセスフローチャート

  • 理由: まずはBPMNで現状の複雑な業務を正確に把握するのが定石です。もし関わる人が少なくプロセスも単純なら、シンプルなプロセスフローチャートでも十分です。

ケース2:「誰が何をするのか、部門間の連携を明確にしたい」

  • おすすめ: スイムレーンフローチャート

  • 理由: 「どの部署が」「いつ」「何をするか」が一目瞭然になります。「ウチの部署の仕事はここまで」「次はA部に渡す」といった責任範囲の明確化に最適です。

ケース3:「システムのデータ処理の流れを設計したい」

  • おすすめ: データフローダイアグラム (DFD)

  • 理由: 処理(プログラム)の中身より先に、「どのデータがどう流れるか」を整理することで、システムの全体像を関係者と合意しやすくなります。


伝わるフローチャート作成の3つのコツ

どの種類のフローチャートを選ぶかにかかわらず、分かりやすい図を作成するには共通のコツがあります。

  1. 目的と対象読者を明確にする
    誰に(例:新人、上司、他部署の人)、何を(例:手順の理解、問題点の指摘)伝えるための図なのかをハッキリさせましょう。それによって、どれくらい詳細に記述すべきかが決まります。

  2. 記号のルール(凡例)を統一する
    「四角は処理」「ひし形は判断」といった基本的な記号のルールを守ることが重要です。特にBPMNなどを使う場合は、定められた記号を正しく使いましょう。
    より詳しい書き方や記号については、以下の記事も参照してください。
    参考: フローチャートの基本的な書き方と記号の意味

  3. 流れを「上から下へ」「左から右へ」統一する
    基本は上から下へ時系列に沿って配置し、判断(分岐)などで横に流れる場合も、全体の進行方向を統一することで、視線の移動がスムーズになり理解しやすくなります。
    また、色を効果的に使うことで、さらに視認性を高めることも可能です。参考: フローチャートの色分けルールと効果的な配色テクニック


オンラインで簡単!フローチャートを作成するなら xGrapher

「フローチャートの種類やコツはわかったけど、いざ作るとなると難しそう…」と感じるかもしれません。

そんな時は、オンライン作図ツールの xGrapher がおすすめです。

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  • 記号同士を線でつなぐのも自動調整でラクラク

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複雑な業務フローも、xGrapherを使えばスピーディに作成できます。無料で利用できますので、ぜひ一度お試しください。

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まとめ

この記事では、代表的なフローチャートの種類と、その使い分けについて解説しました。

  • プロセスフローチャート: 基本的な手順

  • 業務フロー (BPMN): 複雑な業務の詳細な記述

  • データフロー (DFD): データの流れの分析・設計

  • スイムレーン: 部門間の役割と連携の明確化

  • システムフロー: ハードウェアや媒体を含めた処理の流れ

フローチャートは、単に「書くこと」が目的ではありません。「伝えること」「問題を解決すること」が目的です。

ぜひ、あなたの目的やシーンに最適なフローチャートを選び、業務の可視化や効率化に役立ててください。

xGrapher紹介画像

フローチャートの種類に関するQ&A

Q1: フローチャートとワークフロー図の違いは何ですか?

A1: フローチャートは「プロセスの手順」を広く示す図であるのに対し、ワークフロー図は特に「業務(ワーク)が人やシステム間をどう流れていくか」という「作業の連鎖」に焦点を当てることが多いです。業務フローチャート(BPMN)は、このワークフローを厳密に定義する手法の一つと言えます。

Q2: プログラミングで使うフローチャートは何という種類ですか?

A2: 一般的に「プロセスフローチャート」または単に「フローチャート」と呼ばれます。「順次処理」「分岐(If文)」「繰り返し(Loop)」といったプログラムの基本的な論理構造(アルゴリズム)を示すために使われます。

Q3: スイムレーンチャートの「レーン」は、部署名以外に使えますか?

A3: はい、使えます。部署名や役職名で分けるのが一般的ですが、「システム名」(例:販売システム、在庫システム)や、「場所」(例:店舗、倉庫、本社)、「ステータス」(例:未着手、処理中、完了)などで分割することもあります。目的に応じて柔軟に設定できます。

Q4: DFD (データフローダイアグラム) と ER図 の違いは何ですか?

A4: DFDは「データの流れ(Flow)」と「処理(Process)」を表現する図です。一方、ER図は「データ同士の関係性(Relationship)」と「データの構造(Entity)」を表現する図で、主にデータベース設計に使われます。DFDが「動的」なデータの流れを示すのに対し、ER図は「静的」なデータの構造を示す、と覚えるとよいでしょう。

Q5: フローチャート作成に最適なツールは?

A5: ExcelやPowerPointでも作成可能ですが、フローチャート専用の記号や接続機能が揃っている作図ツールが効率的です。Webブラウザで手軽に始められ、共有機能も充実している xGrapherのようなオンラインツールは、特にチームでの業務可視化におすすめです。

コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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