フローチャートのJIS規格とは?基本記号と書き方のルールを徹底解説

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業務プロセスやシステムの処理の流れを可視化する「フローチャート」。 自己流で作成しても意図は伝わりますが、チームや組織、あるいは取引先など、複数の関係者間で正確に情報を共有する必要がある場合、「共通のルール」が不可欠です。

そこで重要になるのがJIS(日本産業規格)です。JIS規格に沿ってフローチャートを作成することで、「誰が見ても同じ意味に解釈できる」標準化された図を作成できます。この記事では、フローチャート作成におけるJIS規格の基本、特に重要な記号や書き方のルールについて詳しく解説していきます。

フローチャートの「JIS規格」とは? (JIS X 0121)

一般的に「フローチャートのJIS規格」と呼ばれるものは、「JIS X 0121(情報処理用流れ図)」という規格を指します。これは、情報処理(システムやプログラム)の流れを図式表現するための記号や書き方を定めたものです。

JIS X 0121 の概要

  • 正式名称:JIS X 0121

  • 英語名:Information processing — Flowcharts, program network charts, and system resources charts

  • 制定:1986年(その後改正あり)

  • 対応国際規格:ISO 5807(Information processing — Documentation symbols and conventions for data, program and system flowcharts, program network charts and system resources charts)

もともとはプログラミングのために策定されましたが、その分かりやすさから、現在ではシステムの設計書だけでなく、業務フロー(仕事の流れ)の可視化やマニュアル作成など、ビジネスの様々な場面で広く活用されています。

なぜJIS規格が必要なのか?

JIS規格の最大のメリットは「共通言語」として機能することです。

例えば、あなたが独自の記号(例:★印を「処理」の意味)でフローチャートを書いたとします。あなた自身は理解できても、そのルールを知らない人が見たら「この★は何を意味するんだろう?」と混乱してしまいます。

JIS規格という共通ルールに従うことで、記号の形を見ただけで「これは処理だ」「これは分岐だ」と誰もが直感的に理解できるようになり、コミュニケーションミスを防ぎ、業務の効率化や品質向上につながるのです。

※ただしフローチャートには種類があるので注意が必要です
フローチャートの種類一覧!初心者でもわかる特徴・目的別の使い分け

【図解】JIS規格(JIS X 0121)の主要なフローチャート記号

JIS X 0121では多くの記号が定められていますが、すべてを一度に覚える必要はありません。まずは、ビジネスシーンやシステム設計で頻繁に使われる基本的な記号から押さえましょう。

必ず覚えたい基本記号

最低限これだけ覚えておけば、シンプルなフローチャートは作成できます。

  • 端子(たんし)

    • 形状: 角丸長方形(カプセル形)

    • 意味: フローチャートの「開始」と「終了」を表します。すべてのフローチャートは必ずこの記号から始まり、この記号で終わります。

    • 参考記事: フローチャートの記号解説「端子」

  • 処理(しょり)

    • 形状: 長方形

    • 意味: 計算、代入、移動、加工作業など、何らかの「作業」や「処理」を表します。最もよく使われる記号の一つです。

  • 判断(はんだん)

  • 流れ線(ながれせん)

    • 形状: 矢印(→, ↓)

    • 意味: 処理の「順序」や「流れ」を示します。必ず矢印の先端が次の記号に向かうように描きます。

    • なお先端の矢先は「流れの向きを明示する必要があるときは,矢先を付けなければならない」また「見やすさを強調するときは,矢先を付けてもよい」とされています

覚えておくと便利な記号

より詳細なフローチャートを作成する際に役立つ記号です。

覚えておくと便利な記号

JIS準拠でフローチャートを書くための基本ルール

記号の意味を覚えたら、次はそれらをどう配置するかのルールです。JIS規格に準拠した見やすいフローチャートを作成するための3つの基本ルールを紹介します。

1. 処理の流れは「上から下、左から右」

フローチャートの処理の流れは、原則として上から下へ、または左から右へと進むように描きます。これが最も直感的で理解しやすいためです。

フローチャートの向きの良い例と悪い例

もし、どうしても流れが逆行(下から上、右から左)する場合は、必ず矢印の先端(矢先)を明確に描いて、流れの方向が誤解されないようにします。

2. 流れ線(矢印)の使い方

  • 交差は避ける: 線と線が交差すると、どちらの流れが正しいのか分かりにくくなります。できるだけ交差しないように配置を工夫しましょう。

    フローチャートの流れ線はできる限り交差を避ける
  • 合流: 複数の流れが
    一つの処理にまとまる場合は、流れ線が合流するように描きます。

  • 分岐: 「判断(ひし形)」記号からは、条件に応じた複数の流れ線が出ます。各線に「はい」「いいえ」や「Aの場合」といった条件を明記します。

3. 記号の大きさとテキスト

  • 記号のサイズ: フローチャート全体で、同じ種類の記号はできるだけ同じ大きさに統一すると、見た目が整い、見やすくなります。

    フローチャートの各要素の幅を一定にする
  • テキスト: 記号の中には、その処理内容を簡潔に記述します。「〜を行う」「〜を確認する」といった動詞形で書くと分かりやすいです。


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フローチャートの色にJIS規格はある?

JIS規格(JIS X 0121)について学ぶと、「色にもルールがあるのでは?」と疑問に思うかもしれません。

結論から言うと、JIS X 0121では記号の「形状」や「線」については定められていますが、「色」に関する厳密な規定はありません。

これは、規格が策定された当時は白黒印刷が主流であり、色に頼らなくても図の意味が正確に伝わるように「形」で意味を定義する必要があったためです。

色分けは「見やすさ」のために行う

規格で決まっていないからといって、色を全く使ってはいけないわけではありません。現代のフローチャート作成では、むしろ「見やすさ」「分かりやすさ」を向上させる目的で、色が積極的に使われています。

例えば、以下のような使い方が一般的です。

  • 役割ごと: 「顧客の操作」は青、「システム処理」は緑、など。

  • 記号の種類ごと: 「判断」はすべて黄色、「処理」はすべて水色、など。

  • 特に注意すべき点: 「エラー処理」や「重要な確認」だけ赤色にする。

特定の色に対して抱く共通のイメージ(心理的効果)を使うことで、複雑なフローチャートでも、流れや担当範囲が直感的に理解しやすくなります。

色が持つ共通のイメージ(心理的効果)

ただし、色覚の多様性に配慮し、「色だけに頼らない」デザインを心がけることも重要です。色で分けても、必ず記号の「形」と「中のテキスト」で意味が分かるようにしておきましょう。

効果的な色の使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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オンラインでJIS準拠のフローチャートを簡単に作成する方法

JIS規格のルールや記号を理解しても、いざ手書きや汎用的な描画ソフトでこれらを正確に描くのは意外と大変です。記号の形を整えたり、線をきれいに引いたりする作業に時間がかかってしまいます。

そこでおすすめなのが、オンラインのフローチャート作成ツールです。

フローチャート作成オンラインツール

xGrapherのような専用ツールを使えば、ドラッグ&ドロップでJIS規格に準拠した記号を簡単に配置できます。

  • JIS規格の記号が標準で用意されている

  • 記号を動かすと線が自動で追従・調整される

  • チームでの共同編集や共有が簡単

面倒な「描画」作業をツールに任せることで、あなたは「どのような流れにするか」という本来の目的に集中できます。xGrapherでは、直感的な操作でJIS準拠のきれいなフローチャートをすぐに作成開始できます。

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まとめ

今回は、フローチャート作成におけるJIS規格(JIS X 0121)について解説しました。

  • JIS規格は、フローチャートを「共通言語」にするためのルール

  • 端子」「処理」「判断」が最も基本的な記号

  • 流れは原則「上から下、左から右

  • 専用ツールを使えば、JIS準拠の図を効率的に作成できる

JIS規格は、決して難しいルールではなく、誰もが正しく情報を理解できるようにするためのガイドラインです。ぜひこの機会に基本をマスターし、分かりやすいフローチャート作成に役立ててください。

xGrapher紹介画像

フローチャートとJIS規格に関するQ&A

Q1. フローチャートは必ずJIS規格に従わないといけませんか?

A1. いいえ、必須ではありません。個人用のメモや、ルールを共有できている内輪のチームだけで使う場合は、分かりやすければ独自の記号を使っても問題ありません。ただし、部署間や取引先など、共通理解が必要な場合は、JIS規格に準拠することでスムーズな情報共有が可能になります。

Q2. JIS X 0121は最新の規格ですか?

A2. JIS X 0121は1986年に制定された規格ですが、現在も広く参照されています。国際規格であるISO 5807と整合性が取られています。基本的なフローチャート作成においては、この規格の記号とルールを押さえておけば十分です。

Q3. 「処理」と「定義済み処理」はどう使い分けますか?

A3. 「処理」は、その場で完結する単一の作業(例:「データを入力する」「請求書を発行する」)に使います。一方、「定義済み処理」は、それ自体が複数のステップを含む複雑な作業や、他のフローチャートで詳細が説明されている作業(例:「在庫引当処理」「承認ワークフロー」)をひとまとめに示す場合に使います。

Q4. フローチャートの線は、直角に曲げないといけませんか?

A4. 必ずしも直角である必要はありませんが、線は直線で描き、角は直角(カクカク)に曲げるのが一般的です。曲線を使うと、流れが複雑に見えたり、他の線と見分けがつきにくくなったりすることがあるため、特別な意図がない限り直線と直角で構成するのが見やすいとされています。

Q5. 海外の会社とやり取りする場合もJIS規格で通じますか?

A5. JIS X 0121は国際規格のISO 5807とほぼ同等の内容となっているため、海外でも主要な記号(端子、処理、判断、データなど)はほぼ共通認識として通じます。ただし、細かな記号や表現については、認識齟齬がないか事前に確認することをおすすめします。

コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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