ベン図とは?書き方から活用例、おすすめ作成ツールまで徹底解説!

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「ベン図」という言葉を聞いたことはありますか?数学の授業で見たことがあるような、丸がいくつか重なった図のことです。

「集合の関係性を表す図」と言われると少し難しく聞こえるかもしれませんが、実はとてもシンプルで、情報を整理したり、アイデアを考えたりするのに非常に便利なツールです。

この記事では、ベン図の基本的な意味から、簡単な書き方、そして仕事や学習ですぐに使える活用例まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

この記事を読み終える頃には、あなたもベン図を使いこなせるようになっているはずです。

一目でわかる!ベン図の基本

ベン図とは、複数の「集まり(集合)」が、どのような関係にあるのかを視覚的に表現する図のことです。イギリスの数学者ジョン・ベンが考案したことからこの名前がついています。

円を使ってそれぞれの集合を表し、その円の重なり具合で、集合同士の共通点や相違点を表現します。

  • 円の内側: その集合に含まれる要素

  • 円の重なっている部分: 両方の集合に共通する要素

  • 円の重なっていない部分: どちらか一方の集合にしか含まれない要素

例えば、「犬が好きな人の集まり」と「猫が好きな人の集まり」をベン図で表すと、重なった部分は「犬も猫も好きな人」となり、関係性が一目で理解できます。このように、複雑な情報や関係性をシンプルに整理できるのが、ベン図の最大の特長です。

「犬が好きな人の集まり」と「猫が好きな人の集まり」のベン図

ベン図の歴史:考案者ジョン・ベンと知られざる起源

私たちが当たり前のように使っているベン図ですが、一体いつ、誰によって考え出されたのでしょうか。その歴史を少しだけ紐解いてみましょう。

考案者はイギリスの論理学者ジョン・ベン

ベン図は、その名の通り、19世紀に活躍したイギリスの論理学者・哲学者であるジョン・ベン(John Venn, 1834–1923)によって体系化されました。彼は1880年に発表した論文「On the Diagrammatic and Mechanical Representation of Propositions and Reasonings」で、複数の集合の関係性を視覚的に表現する方法を提案し、論理学の理解を助けるツールとして紹介しました。

ベン図はオイラー図の進化形

ジョン・ベンが全くのゼロからこの図を発明したわけではありません。18世紀のスイスの数学者レオンハルト・オイラー(Leonhard Euler, 1707–1783)が考案した「オイラー図」が基礎にあります。

オイラー図の例

オイラー図は集合間の実際の関係を直感的に示すものでしたが、ベンは「論理的に可能なすべての関係」を網羅的に表現できる図法として一般化しました。

> オイラー図に関する解説記事はこちらをご参照ください!

「ベン図」という名前は後世の呼び名

興味深いことに、ジョン・ベン自身は自分の図を「ベン図」とは呼ばず、「Eulerian Circles(オイラー円)」と表現していました。
現在使われている「Venn Diagram(ベン図)」という呼称は、20世紀初頭に広まりました。アメリカの哲学者クラレンス・アーヴィング・ルイス(C.I. Lewis)が1918年の著書『A Survey of Symbolic Logic』で「Venn diagram」という言葉を用いたことで定着したとされています。

専門ツールから普遍的な思考法へ

もともとは論理学の分野で考案された専門的なツールでしたが、その直感的なわかりやすさから教育・統計学・ビジネス・コンピュータサイエンスなど幅広い分野で使われるようになり、今日では思考や説明を整理する基本的な図法として定着しています。

ベン図の書き方をマスターしよう【基本編】

ベン図の作成は決して難しくありません。ここでは、最もよく使われる2つの集合と3つの集合のパターンについて、書き方のステップを解説します。

1. 2つの集合(2つの円)の書き方

最も基本的なパターンです。2つの物事の共通点と相違点を比較する際に使います。

【例】「コーヒーが好きな人」と「紅茶が好きな人」

  1. まず、比較したい2つのテーマを決めます。(例: コーヒー、紅茶)

  2. 左側に「コーヒー」、右側に「紅茶」の円を描き、中央が重なるようにします。

  3. それぞれの領域に、当てはまる要素を書き出します。

    • 左の円(重なっていない部分): コーヒーは好きだが、紅茶はそうでもない

    • 右の円(重なっていない部分): 紅茶は好きだが、コーヒーはそうでもない

    • 中央の重なった部分: コーヒーも紅茶も好き

2. 3つの集合(3つの円)の書き方

3つの要素が絡み合う、少し複雑な関係性を整理する際に便利です。

【例】「A社の強み」「B社の強み」「市場のニーズ」

  1. 比較・分析したい3つのテーマを決めます。(例: A社、B社、市場)

  2. 3つの円がそれぞれ少しずつ重なり合うように描きます。すると、合計7つの領域ができます。

  3. それぞれの領域が何を表すかを考え、要素を書き出していきます。

    • 円が1つだけ重なっている部分: 2社間の共通点など

    • 中央(3つの円すべてが重なる部分): 3つの要素すべてに共通する部分(例: A社・B社ともに持っている強みで、かつ市場のニーズにも合致する点)

3つの円になると少し複雑に見えますが、一つひとつの領域を丁寧に見れば、新しい発見や重要なポイントが見えてきます。

「A社の強み」「B社の強み」「市場のニーズ」のベン図

【コピペOK】ビジネスで使えるベン図の活用例3選

ベン図は、ビジネスシーンにおける情報整理や意思決定の強力なサポーターになります。ここでは、すぐに使える具体的な活用例を3つご紹介します。

1. 競合分析と自社の戦略立案

「自社の強み」「競合の強み」「顧客のニーズ」という3つの円でベン図を作成します。

  • 自社の強みと顧客ニーズが重なる部分: 自社がアピールすべき独自の価値(USP)

  • 3つの円すべてが重なる部分: 競争が激しい市場

  • 顧客ニーズがあり、かつ競合が手を出していない部分: 新しいビジネスチャンス(ブルーオーシャン)

競合分析と自社の戦略立案のベン図

このように、自社の立ち位置を客観的に把握し、今後の戦略を立てるのに役立ちます。

2. 課題の原因分析

ある問題が発生した際に、「人(Man)」「機械(Machine)」「方法(Method)」といった複数の観点から原因を探るのに役立ちます。

「人(Man)」「機械(Machine)」「方法(Method)」のベン図

それぞれの円に考えられる要因を書き出し、重なる部分を見ることで、複数の要因が絡み合って発生している根本原因を特定しやすくなります。

3. 採用要件の整理

理想の採用候補者を定義する際にもベン図は有効です。「スキル(専門性)」「マインド(価値観)」「経験(実績)」の3つの円を用意します。

「スキル(専門性)」「マインド(価値観)」「経験(実績)」のベン図


3つの円が重なる中央部分が、まさに採用したい「理想の人物像」となります。これにより、面接官の間での評価基準のズレを防ぎ、採用のミスマッチを減らすことができます。

綺麗なベン図をオンラインで簡単作成!xGrapherの使い方

「ベン図は便利そうだけど、手書きやPowerPointで作るのは少し面倒…」と感じた方もいるかもしれません。そんな方におすすめなのが、当サイトが提供する無料のオンライングラフ作成ツールxGrapherです。

xGrapherを使えば、面倒な図形の調整は一切不要。テキストを入力するだけで、誰でも簡単に見栄えの良いベン図を作成できます。

xGrapherでのベン図作成ステップ

  1. xGrapherのベン図作成ページにアクセスします。

  2. 左側の入力欄に、各集合の名称と、それぞれの領域の数値を入力します。

  3. 入力すると同時に、右側のプレビューにベン図が自動で描画されます。

  4. 完成したベン図は、画像としてダウンロードしてすぐに資料などに活用できます。

xGrapherのベン図作成画面

アカウント登録も不要で、サイトにアクセスすればすぐに使い始められます。思考の整理や資料作成の際に、ぜひ一度お試しください。

ベン図に関するQ&A

最後に、ベン図についてよくある質問とその回答をまとめました。

Q1. ベン図の円は4つ以上にできますか?
A1. はい、可能です。ただし、円の数が増えると図が非常に複雑になり、重なり合う領域の関係性が分かりにくくなるため、一般的には3つまでで使われることが多いです。4つ以上の集合を扱う場合は、ベン図以外の方法(表など)で整理する方が適している場合もあります。

[ベン図(5つ)の例]

5つの円を使ったベン図

Q2. ベン図とオイラー図の違いは何ですか?
A2. ベン図とオイラー図は非常によく似ていますが、厳密には違いがあります。ベン図は「可能性のあるすべての関係性」を描くため、実際には要素が存在しない重なり部分も描画します。一方、オイラー図は「実際に存在する関係性」のみを描くため、共通要素がない集合同士の円は重ねずに描きます。

ベン図とオイラー図の違い(図解)

[ベン図とオイラー図の関係性]

ベン図とオイラー図の関係性

Q3. 数学以外で、どのような分野で使われますか?
A3. 論理学、統計学、コンピュータサイエンスなどの学術分野はもちろん、本記事で紹介したように、ビジネスにおけるマーケティング分析、製品開発、プロジェクト管理など、幅広い分野で思考を整理するためのフレームワークとして活用されています。

Q4. ベン図を作成する際のコツはありますか?
A4. まずは、それぞれの集合に何が含まれるのかを自由に書き出すことから始めましょう。その後、共通する要素を整理して重なりの部分に配置していくとスムーズです。最初から完璧な図を目指さず、思考を整理するための下書きと捉えて気楽に始めるのがコツです。

Q5. xGrapherで作成したベン図は商用利用できますか?
A5. はい、xGrapherで作成したグラフやチャートは、個人利用・商用利用を問わず無料でお使いいただけます。会議の資料やプレゼンテーション、Webサイトのコンテンツなどにぜひご活用ください。

まとめ

ベン図は、一見すると単純な図ですが、複数の物事の関係性を整理し、新たな視点や気づきを与えてくれる非常にパワフルなツールです。ビジネスの戦略立案から日々のタスク整理まで、様々な場面であなたの思考を助けてくれるでしょう。

手書きでも手軽に始められますが、より綺麗で正確なベン図を素早く作成したい場合は、ぜひxGrapherのようなオンラインツールを活用してみてください。きっとあなたの作業効率を格段にアップさせてくれるはずです。

コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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