ボロノイ図の書き方を3ステップで解説!垂直二等分線を使った作図のコツ

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生き物の細胞やキリンの模様、あるいはトンボの羽など、自然界のいたるところに見られる「ボロノイ図」。幾何学的で複雑な模様に見えますが、実はその仕組みは驚くほど単純です。

一見難しそうに見えるこの図形ですが、中学校で習う「垂直二等分線」さえ理解していれば、誰でもコンパスと定規を使って描くことができます。

この記事では、紙とペンを使って手書きでボロノイ図を作成する手順をステップ・バイ・ステップで解説します。手を動かすことで、ボロノイ図が持つ「一番近い勢力圏」という性質がより深く理解できるはずです。

ボロノイ図とは?その仕組みを簡単に解説

書き方に入る前に、そもそもボロノイ図がどういうルールでできているのかを簡単に確認しておきましょう。

ボロノイ図とは、一言で言えば「一番近い親分(母点)は誰か?」で縄張りを決めた図のことです。

[ボロノイ図の例(コンビニの縄張り)]

ボロノイ図の例(コンビニの縄張り)

平面上に配置された複数の点(母点)に対し、どの点に一番近いかによって領域を分割しています。この分割された各領域を「ボロノイ領域」と呼びます。

ボロノイ図は何に使われる?身近な活用例

単なる幾何学模様に見えますが、実は「一番近い」という性質を利用して、実社会の様々な場面で活用されています。

  • マーケティング(商圏分析): コンビニや郵便局などが、どこからのお客さんを集められるかを分析するのに使われます。

  • 建築・デザイン: 自然界のパターンを模した、美しく強度のある構造デザインに使われます。

  • 生物学・生態学: 細胞の配置や、縄張りを持つ動物の生息域の研究などに使われます。

ボロノイ図の例

「もっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事で仕組みや面白い事例を徹底解説していますので、ぜひ合わせて読んでみてください。

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【図解】ボロノイ図とは?仕組み、面白い活用事例、簡単な作り方を世界一わかりやすく解説

ボロノイ図を書くための準備と基本ルール

それでは、実際に手書きで作図するための準備に入りましょう。

用意するもの

  • 紙(無地のものがおすすめ)

  • 鉛筆またはシャープペンシル

  • 定規

  • コンパス(垂直二等分線を正確に書くため)

基本ルール:隣との境界線は「垂直二等分線」

ボロノイ図の本質は、「ある点から見て、隣の点との中間地点に壁を作る」ことです。
幾何学的に言うと、「2つの点を結んだ線分の垂直二等分線」が、その2点の境界線(ボロノイ辺)になります。

垂直二等分線の図解

【実践】3ステップで完成!ボロノイ図の書き方

それでは実際に描いてみましょう。今回はわかりやすくするために、以下の6点のみある状態を想定して、中心の点の領域(ボロノイ領域)を作っていきます。

今回ボロノイ図に使用する6点

STEP1: 母点(ぼてん)を描く

まずは「母点」と呼ばれる基準となる点を描きます。
今回は例として、中心に1つ、その周りを取り囲むようにランダムに5つの点を描いてみてください。あまり規則正しく並べるよりも、少し不規則な方がボロノイ図らしい形になります。

STEP2: 中心点と隣接する点の「垂直二等分線」を引く

まず、中心の点と、その隣にある点の1つに注目します。コンパスを使用して2点の垂直二等分線を引きます。

これが、この2つの点の「境界線」になります。垂直二等分線より中心側が「中心の点の勢力圏」、反対側が「隣の点の勢力圏」ということです。

STEP3: すべての隣接する点に対して繰り返す

STEP2の作業を、中心の点を取り囲む他のすべての点に対して行います。

これを繰り返していくと、中心の点の周りにたくさんの線が引かれます。すると、線の内側に囲まれた多角形が見えてくるはずです。

STEP3: すべての隣接する点に対して繰り返す

仕上げ:不要な線を消して完成

囲まれた多角形が、中心の点の「ボロノイ領域」です。
これで中心の1点と隣り合う点についての境界ができました。同じ作業を外側の5点に対して行うことで、全体がタイルのように敷き詰められたボロノイ図ができあがります。

完成したボロノイ図

応用:ドロネー図との関係

ボロノイ図を作図する過程で、「隣り合う点同士を結ぶ」という作業を行いましたね?
実は、この「隣接している点同士を結んでできた三角形の集まり」のことを「ドロネー図(Delaunay Diagram)」と呼びます。

[先ほどのボロノイ図をドロネー図にした図]

先ほどのボロノイ図をドロネー図にした図

ボロノイ図とドロネー図は表裏一体の関係(双対関係)にあり、ボロノイ図が描ければドロネー図も描けることになります。

あわせて読みたい
ボロノイ図とセットで覚えると理解が深まる「ドロネー図」についてはこちらで解説しています。
ドロネー図とは?ボロノイ図との関係や活用事例を世界一わかりやすく解説

複雑なボロノイ図を一瞬で作成するなら「xGrapher」

ここまで手書きの方法を紹介しましたが、点が10個、20個と増えてくると、コンパスと定規ですべて正確に作図するのは非常に大変な作業になります。

  • 「レポート用に正確な図が欲しい」

  • 「デザイン素材として大量の点のボロノイ図を使いたい」

  • 「手書きより綺麗にデータを保存したい」

そんな時は無料のオンラインツール「xGrapher」をご活用ください。

xGrapherの特徴:

  • インストール不要: ブラウザ上で今すぐ使えます。

  • 直感的な操作: クリックして点を打つだけで、リアルタイムにボロノイ図が生成されます。

  • カスタマイズ: 色や線の太さも自由に調整可能。

  • 下図に対応:下図として画像をしようすることができます。

xGrapherボロノイ図作成画面

手書きで作図の原理を理解したら、実際のデータ作成はデジタルツールに任せてしまいましょう。

まとめ

ボロノイ図の書き方は、「隣り合う点との垂直二等分線を引く」という非常にシンプルなルールに基づいています。

  1. 点を打つ(母点)

  2. 隣り合う点との間に垂直二等分線を引く

  3. 線で囲まれた領域を残す

この3ステップさえ覚えれば、どんな配置でも作図することが可能です。
手書きで構造を楽しみながら学ぶもよし、xGrapherのようなツールを使ってデザインやデータ分析に活用するもよし。ぜひ、奥深いボロノイ図の世界に触れてみてください。

xGrapher紹介画像

ボロノイ図に関するよくある質問 (Q&A)

Q1. ボロノイ図とは一言でいうと何ですか?

A1. ある点が配置された空間において、「どの点に一番近いか」という基準で領域を分割した図のことです。それぞれの点の「勢力圏」を表しているとも言えます。

Q2. 垂直二等分線を使わずに書く方法はありますか?

A2. 定規とコンパスを使って正確に作図する場合は、垂直二等分線を使うのが基本です。ただし、大まかなスケッチであれば、点と点の中間を目分量で通り、直角になるような線を引くことでも近い形を描くことは可能です。

Q3. 点が3つ以上ある場合、境界線はどうなりますか?

A3. 3つの母点から等距離にある場所は、3つの垂直二等分線が交わる1点(交点)になります。この点はボロノイ点と呼ばれ、ここから3方向に境界線が伸びる形になります。

Q4. 手書きだとうまく描けない時はどうすればいいですか?

A4. 点が多すぎると混乱しやすくなります。まずは3〜4点程度の少ない数で練習してみましょう。また、正確な図が必要な場合は、無理に手書きせず無料ツールのxGrapherを使用することをおすすめします。

Q5. ボロノイ図は身近なところにありますか?

A5. はい、たくさんあります。例えば、キリンの網目模様、亀の甲羅、トンボの羽の模様、乾燥した地面のひび割れなどは、自然界に存在するボロノイ図の一例です。これらは物理的な力が均等に働く結果、ボロノイ図のような形状になると考えられています。

コラム著者・編集者

xGrapher編集チーム

xGrapher編集チームは、オンラインチャート作成ツールの開発者、技術ライターからなる専任チームです。グラフやチャートに関する実務経験から得た知識を活かし、ユーザーにとって価値のある情報を提供することに努めています。

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