『ギルガメシュ叙事詩』は、紀元前2000年頃に成立した人類最古の文学作品のひとつです。古代メソポタミアのウルク王ギルガメシュを主人公とし、友情・冒険・死への恐怖・永遠の命の探求といった普遍的なテーマを描いています。
暴君として君臨するギルガメシュの前に、神々が造り出した野人エンキドゥが現れます。激しい格闘の末に無二の親友となった二人は、杉の森の番人フンババを討伐し、女神イシュタルが放った天の牡牛を退治します。しかしエンキドゥの死を目の当たりにしたギルガメシュは死の恐怖に取り憑かれ、不死を求めて世界の果てへと旅立ちます。
登場人物一覧
アヌ
天の神にして神々の王。イシュタルの父。娘イシュタルに脅され、ウルクに7年の飢饉をもたらす危険を承知の上で「天の牡牛」を与えた。フンババと天の牡牛を殺した罰として、エンキドゥかギルガメシュのどちらかが死ぬべきだとする神々の会議を主宰した。
エンリル
風・嵐・大気を司る神。杉の森の番人としてフンババを任命した。神々の会議ではエンキドゥを処するべきだと主張し、エンキドゥの死を決定づけた。また大洪水を引き起こした神でもあり、ウトナピシュティムの物語にも関わる。
シャマシュ
正義を司る太陽神で、イシュタルの双子の兄。ギルガメシュの守護神として叙事詩の大半で彼を庇護し続けた。フンババ討伐の際には8つ(一説に13の)風を吹かせてフンババを動けなくし、勝利に導いた。
イシュタル
金星を象徴する愛と戦争の女神。ギルガメシュに求婚するが、彼に過去の恋人たちへの仕打ちを列挙されて拒絶される。激怒した彼女は父アヌを脅して天の牡牛を手に入れ、ウルクに放って大破壊をもたらした。エンキドゥが牡牛の腿を投げつけて彼女を侮辱し、これが神々の怒りを招く一因となった。
ギルガメシュ
ウルク第1王朝第5代の王で叙事詩の主人公。母が女神ニンスン、父が人間の王ルガルバンダであり、3分の2が神で3分の1が人間とされる。英雄であると同時に暴君で、都の乙女たちを奪い去る悪行で住民に恐れられていた。エンキドゥとの友情を通じて成長し、親友の死後は永遠の命を求めて世界の果てを旅するが、最終的にはウルクに帰還し死すべき運命を受け入れる。
エンキドゥ
大地の女神アルルが粘土から造り上げた野獣のような猛者。ウルクの民の訴えを受けて、ギルガメシュに対抗する存在として創造された。神殿娼婦シャムハトと六日七晩を過ごしたことで野性を失い知性を得て人間化した。ギルガメシュと長い格闘の末に互いの力を認め合い、無二の親友となる。フンババ討伐と天の牡牛退治に共に挑んだが、神々の裁定により病に倒れ死去した。
シャムハト
ウルクの神殿娼婦。ギルガメシュの命により野人エンキドゥのもとに遣わされた。エンキドゥと六日七晩を共にしたことで、毛むくじゃらだった彼の身体の毛が抜け落ち、知性を身につけた人間の姿になった。エンキドゥに衣服を着せ、人間の食事を教え、ウルクの都へと導いた。
フンババ
レバノン杉の森に住む恐ろしい番人。エンリルによって杉の森の守護者として配された怪物で、その叫び声は洪水、口は火、息は死をもたらすとされた。7つの畏怖の光輝(オーラ)をまとっていたが、シャマシュの風の助けを得たギルガメシュとエンキドゥによって討伐された。
シドゥリ
世界の果ての海辺に住む酒場の女将。エンキドゥの死後、不死を求めて旅するギルガメシュに出会い、「求める生命を見つけることはできないでしょう」と諭し、人間として生を楽しむよう助言した。それでも旅を続けるギルガメシュに対し、船頭ウルシャナビの存在を教え、ウトナピシュティムへの道筋を示した。
ウトナピシュティム
古都シュルッパクの聖王で、唯一不死を得た人間。エンリルが起こした大洪水の前に、知恵の神エアの警告で方舟を造り生き延びた。洪水後に神々から永遠の命を授けられた。妻の執り成しにより、若返りの植物「シーブ・イッサヒル・アメル」が海底にあることをギルガメシュに教えるが、帰路で蛇にその植物を奪われてしまう。
ウルシャナビ
ウトナピシュティムの渡し守(船頭)。「死の海」を渡る手段を持つ唯一の存在で、石の人形を操って死の水を安全に渡っていた。しかしギルガメシュが石の人形を壊してしまったため、代わりに竿を何本も作らせ、一本ずつ使い捨てにしながら死の海を渡った。ウトナピシュティムのもとへギルガメシュを送り届けた後、帰路もギルガメシュと共にウルクまで同行した。
関係性一覧
- ギルガメシュ →無二の親友 →エンキドゥギルガメシュ は エンキドゥ に対して「無二の親友」の関係です。
- シャムハト →人間化させる →エンキドゥシャムハト は エンキドゥ に対して「人間化させる」の関係です。
- ギルガメシュ →エンキドゥのもとへ遣わす →シャムハトギルガメシュ は シャムハト に対して「エンキドゥのもとへ遣わす」の関係です。
- イシュタル →求婚→拒絶される →ギルガメシュイシュタル は ギルガメシュ に対して「求婚→拒絶される」の関係です。
- エンキドゥ →牡牛の腿を投げつけ侮辱 →イシュタルエンキドゥ は イシュタル に対して「牡牛の腿を投げつけ侮辱」の関係です。
- イシュタル →天の牡牛を要求(父娘) →アヌイシュタル は アヌ に対して「天の牡牛を要求(父娘)」の関係です。
- シャマシュ →守護神として庇護 →ギルガメシュシャマシュ は ギルガメシュ に対して「守護神として庇護」の関係です。
- シャマシュ →双子の兄妹 →イシュタルシャマシュ は イシュタル に対して「双子の兄妹」の関係です。
- エンリル →杉の森の番人に任命 →フンババエンリル は フンババ に対して「杉の森の番人に任命」の関係です。
- ギルガメシュ →討伐 →フンババギルガメシュ は フンババ に対して「討伐」の関係です。
- エンキドゥ →共に討伐 →フンババエンキドゥ は フンババ に対して「共に討伐」の関係です。
- シャマシュ →風を送り動きを封じる →フンババシャマシュ は フンババ に対して「風を送り動きを封じる」の関係です。
- エンリル →死の裁定を主張 →エンキドゥエンリル は エンキドゥ に対して「死の裁定を主張」の関係です。
- アヌ →神々の会議を主宰 →エンリルアヌ は エンリル に対して「神々の会議を主宰」の関係です。
- ギルガメシュ →不死を求めて訪問 →ウトナピシュティムギルガメシュ は ウトナピシュティム に対して「不死を求めて訪問」の関係です。
- ウトナピシュティム →不死の植物を教える →ギルガメシュウトナピシュティム は ギルガメシュ に対して「不死の植物を教える」の関係です。
- シドゥリ →生を楽しめと助言 →ギルガメシュシドゥリ は ギルガメシュ に対して「生を楽しめと助言」の関係です。
- シドゥリ →居場所への道を示す →ウトナピシュティムシドゥリ は ウトナピシュティム に対して「居場所への道を示す」の関係です。
- エンリル →大洪水を引き起こす →ウトナピシュティムエンリル は ウトナピシュティム に対して「大洪水を引き起こす」の関係です。
- シドゥリ →ウルシャナビの存在を教える →ウルシャナビシドゥリ は ウルシャナビ に対して「ウルシャナビの存在を教える」の関係です。
- ギルガメシュ →死の海を渡るよう依頼 →ウルシャナビギルガメシュ は ウルシャナビ に対して「死の海を渡るよう依頼」の関係です。
- ウルシャナビ →主人の渡し守として仕える →ウトナピシュティムウルシャナビ は ウトナピシュティム に対して「主人の渡し守として仕える」の関係です。